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朝食をよく噛んで食べている人と食べていない人を比べてわかった脳の働きの違い

2024.04.08

坂本 貴和子 先生(自然科学研究機構 共創戦略統括本部 特任准教授)による調査結果および咀嚼と脳の目覚めについての解説

朝食をきちんととることが習慣づけられている人は、日々ご自身の体調に気を遣っていらっしゃる方が多いのではないでしょうか。朝の寝起きの時は、からだが一番栄養を欲しているタイミングです。

その時にきちんとエネルギーを摂ることは、からだをその日1日きちんと機能させる上でとても大切なことだと思います。

私たちが行った研究によると、咀嚼は、外界から入力された刺激を脳が認知、判断、処理する過程へ影響を与え、結果的に脳の活性化や反応時間の短縮など、さまざまな効果をもたらすことがわかっています。

朝食をしっかり噛んで食べた人の多くが覚醒を実感できたという回答は、上記の研究成果からも不思議ではないと思います。

■咀嚼をすることの意味 -咀嚼によって脳の活動を賦活化(ふかつか)-

噛み切ることに適した切歯とすり潰すことに適した臼歯を併せ持つ人間は、咀嚼することで食物を細かく分解し、胃や腸での消化と吸収を助けます。

しっかりよく噛むことは、食べ物をより消化・吸収しやすくすることで、迅速に栄養を全身に巡らせることにつながります。さらに最近の研究では、咀嚼によって脳の活動を賦活化することがわかってきました。

■咀嚼によって脳が活性化する(脳が目覚める)理由 -リズム運動は脳の覚醒を促す効果-

たとえば歩行や自転車漕ぎなどのリズム運動(無意識で続けることができる運動)には、脳の覚醒を促す効果があることが知られています。

咀嚼は、体勢や場所を選ばない、静止状態でもできるミニマムなリズム運動ですので、歩行などと同じく脳の覚醒を促すことにつながっているのではないかと考えられます。

■朝食をよく噛んで食べることのメリット -寝起きは脳もまだきちんと覚醒していない状況-

朝寝起きの時は、からだも低血糖状態で栄養を必要としていますし、脳もまだきちんと覚醒していない状況です。朝によく噛んで食べることで、胃や腸の負担を軽減しながらいち早くからだ全体へ栄養を行き渡らせることにつながります。

加えて咀嚼には脳の覚醒効果があることから、ドリンクなどで朝食を済ませてしまうより、よく噛む必要のある食事のほうが、脳をより迅速に覚醒させることにつながると考えます。

■脳を目覚めさせる、おすすめ朝食メニュー

歯ごたえがある食材が好ましいのは当然なのですが、朝はどうしてもきちんと朝食を準備する時間がない人も多いのではないでしょうか。となると、噛みごたえのある食材でできた栄養バーやシリアルなどが選びやすいかもしれません。

その中でも、味覚や嗅覚、食感など、さまざまな感覚を刺激する食材が一口の中に含まれていれば、脳もより刺激されやすいのではないかと思います。なにより食べていて楽しいですしね。

■新生活のシーズンにおける、朝食習慣のアドバイス

咀嚼による脳の活性を促す上で大切なのは、無理に固いものを食べよう、たくさん噛もう、と意識し過ぎないことです。お口や顎の状態は人それぞれ違いますし、体調も日によって違うため、食材の硬さや噛む回数の最適解は、人それぞれ、日によって異なります。

脳を覚醒させるリズム運動のポイントは、無意識で続けられる運動であることです。自分の体や生活そのものに負荷をかけない範囲で、まずは朝食をとる生活を意識しましょう。

そしてその中に、できる範囲で良いので、よく噛む食品を選ぶことから始めてみてはいかがでしょうか。

参考文献
1.Kiwako Sakamoto et al., The effect of mastication on human cognitive processing: A study using event-related potentials. Clinical Neurophysiology, 2009, 120, 41-50. DOI: 10.1016/j.clinph.2008.10.001

2. Kiwako Sakamoto et al., The effect of mastication on human motor preparation processing: A study with CNV and MRCP. Neuroscience Research, 2009, 64, 259-266. DOI: 10.1016/j.neures.2009.03.008

3. Kiwako Sakamoto et al., Mastication accelerates Go/No-go decisional processing: An event-related potential study. Clinical Neurophysiology, 2015, 126, 2099-2107. DOI: 10.1016/j.clinph.2014.12.04

関連情報
https://www.calbee.co.jp/

構成/Ara

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