新年度がはじまり、真新しいスーツを身にまとった新社会人をチラホラ見かけるようになった。現在のビジネスシーンでは、ChatGPTをはじめAIツールの活用が急速に進んでいる。では、企業の採用活動においてAIツールはどのように利用されているのだろうか。
Thinkings(シンキングス)は、企業の人事・採用担当者200名を対象に「2023年度の採用活動におけるAI活用」に関するアンケート調査を実施した。
※2023年度採用活動の定義:新卒:2024年4月入社の新卒採用、中途・その他:2023年度中の中途採用
43%がChatGPTなどのAIツールを採用活動に活用!採用した「人材の質」は?
2023年度の採用活動におけるChatGPTなどのAIツールの活用状況について尋ねたところ、「活用した」と回答したのは43.0%、「活用していない」と回答したのは53.5%であった。
Q1で「活用した」と回答した人にどの領域でAIツールを活用したか尋ねたところ、「求人票の制作」が60.5%で最も多く、次いで「スカウト」、「WEB面接」がともに31.4%という結果に。
※「スカウト」とは、採用スカウトサービスでユーザーに送信するメール文の制作などを指す。
AIツールを「活用した」と回答した人と「活用していない」と回答した人に、採用目標数の達成状況を尋ねた結果、「活用した」グループのうち81.4%が目標を「達成した」と回答があった。
一方、「活用していない」グループで「達成した」と回答した人は47.7%に留まり、その差は33.7%となった。
この結果から、AIツールの活用が採用目標数の達成に寄与している傾向が伺えた。また、目標数を「達成していない」と回答したのは、「活用した」グループが18.6%、「活用していない」グループが44.9%とこちらも差が出る結果に。
同様に、採用した「人材の質」の観点からも、AIツールを「活用した」人のうち74.4%が目標を「達成した」と回答した。
「活用していない」グループで「達成した」と回答した人は46.7%にとどまり、「人材の質」の向上にもAIツールの活用が寄与している傾向がうかがえる。
2023年度の採用活動における人事・採用担当者の人員リソースの充足状況を質問したところ、AIツールを「活用した」と回答した人の73.3%が「足りていた」「まあまあ足りていた」と回答。
一方、「活用していない」グループでは、「足りていた」「まあまあ足りていた」と回答した人が49.5%に留まった。
調査概要
調査対象:企業の人事・採用担当者
調査人数: 200名
調査期間:2024年2月
調査方法:オンラインアンケート
調査主体:Thinkings株式会社
回答者の属性(業界、従業員規模):
■Thinkings CHRO 佐藤邦彦氏のコメント
私たちが2023年11月に発表した2025年卒の採用トレンド予測では、「採用3.0」というキーワードでAIがもたらす採用環境の過渡期について解説しました。
今回の調査は、この過渡期におけるAIツールの活用状況と、それが採用成果に与える影響を明らかにするために実施されました。
調査結果によると、AIツールを活用している企業は、目標採用数や採用の質に対する満足度が高く、人事のリソースについても比較的充足している傾向があります。
AIツールの導入によって効率化されたリソースを、まだ手が付けられていない課題対応やより中長期的な戦略立案業務などにアサインすることで、採用チーム全体のパフォーマンスが向上していると考えられます。
AIツールは今後もさらなる進化が予想されますので、採用活動の質の向上に大きく貢献するでしょう。
しかし、ただ単にAIツールを使うのではなく、定量的かつ定性的な目標を設定し、その実現にむけて適したAIツールを戦略的に取り入れていくことが、「採用3.0」時代における成果を出す鍵になりそうです。
構成/Ara