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社員同士の交流時など懇親会という言葉を多用するが、意味を説明できるほど知っているだろうか。親睦会と混同されやすい言葉だが、実際のところどのような違いがあるのだろうか。
本記事では、懇親会について解説していく。
言葉の意味だけでなく、当日の流れや覚えておきたいマナーまでまとめていくので、主催者側・参加者側ともに参考にしてほしい。
そもそも懇親会とは?
懇親会を辞書で引くと、意味は以下の通り。
参加した人々が互いに知り合い、また、親しみを深めるための会。飲食を伴うことが多い。親睦会。 |
懇親会とは、上記の通り「参加者が知り合いとなり、仲良くなるための集まり」だ。
そもそも「懇親」には、「親しいこと・様」「親しみ合うこと」といった意味がある。食事会や飲み会が一緒に開かれる傾向にあり、親睦会と同じような意味合いを持つと分かるだろう。
■ 懇親会の目的
懇親会の目的は、意味からも分かる通り「参加者同士の親しみを深めること」にある。会社の内定者や社員、学校・地域に関連する懇親会の目的を細かく見ていくと、以下の通りだ。
内定者懇親会:入社意識を高める、会社のことをより知ってもらう、入社辞退を防ぐ
社員懇親会:社員同士の交流、会社全体の士気を高める
学校の懇親会:保護者間または保護者と先生の顔合わせ・交流、課題や問題の共有・議論
地域の懇親会:同じ地域に暮らす人々との意見交流・情報交換
上記の中でも、特に学校や地域の懇親会は複数に渡る。学校で言うとPTAの保護者懇談会や学年単位の懇親会、地域で言うと自治会の懇談会などだ。
これらは参加者同士が仲良くなることはもちろんだが、保護者と学校、そして地域住民間での情報交換や課題・問題の共有や議論も大きな目的となる。
■ 親睦会との違い
懇親会と親睦会では、参加者同士の関係性に違いがある。親交を深めることを目的とする懇親会の参加者は、お互いをまだ十分に知らない段階だ。対して、親睦会は元々ある程度の親交があり、そのうえで親睦を深めることを目的として開催される。
辞書には同義語として記載されているように、どちらも仲を深める目的があり、ビジネスや学校関連の集まりなどを指す言葉であることは同じだ。まだそこまで親しくない者同士が集まる会合であっても、懇親会を親睦会と言い換えても大きな問題はない。逆も同様だ。
あえて意識的に使い分けるとすると、部署を超えて開催され、他部署間の社員交流を目的とするのが懇親会で、部署内のより小規模な飲み会や食事会が親睦会といったところだろうか。
どちらかというと、親睦会は懇親会よりややカジュアルで親密な集まりと覚えておくと良いだろう。
懇親会当日のおおまかな流れ
懇親会は、まず開会の言葉から始まり、閉会の挨拶で締めくくるのが一般的だ。合間には来賓の挨拶と乾杯、食事や交流を行うこととなる。当日の流れを見ていこう。
■ 開会の言葉
懇親会の始まりには、まず主催者側より開会の言葉が述べられる。
組織の代表者や責任者が担当することが多く、内容としては会合の目的や集まってくれたことへの感謝などだ。開会の言葉の後に、改めて代表者が挨拶する場合もある。
■ 来賓の挨拶・乾杯
開会の言葉の後には、来賓の挨拶へと続くことが多い。事前に指名された参加者の代表が登壇し、今回の会合開催に対する言葉をいただくこととなる。
挨拶の最後には参加者全員に起立を促し、そのまま乾杯の音頭を取る流れが一般的だ。
■ 食事・交流
乾杯の後は、食事をしながら参加者同士で交流をすることとなる。会合によっては、合間に余興が挟まる場合もあるだろう。
ちなみに、代表や役員クラスの参加者は、上座もしくは演台に近い席に座ってもらえるよう計らうのがベストだ。
■ 閉会の挨拶
閉会の時間になったら、締めの挨拶をする流れとなる。
開会の言葉に加え、今一度足を運んでくれたことへの感謝と今後の取り組み、会合の後に二次会がある場合は今後の案内などを述べると良い。
懇親会でのマナー
初めて顔合わせする人も多い懇親会では、参加する側のモラルも問われる。以下では当日のマナーを確認しておこう。
■TPOに合った服装
懇親会に着ていく服装は、何よりTPOを重視したい。基本的に参加者同士の親交を深めるための会合ではあるが、カジュアルすぎる服装は懇親会の種類によってはNGだ。
以下では、懇親会ごとに合った服装をまとめている。
・内定者懇親会:リクルートスーツ、私服指定の場合はオフィスカジュアル
・社員懇親会:通勤時もしくは勤務中の服装、普段着(旅行など動くことを想定した集まりなら、ジーンズにトレーナーなどもOK)
・学校の懇親会:カジュアルフォーマル(スーツ、アンサンブル)、普段着(屋外でのイベントなどでは軽装でもOK)
・地域の懇親会:派手すぎない普段着・軽装
上記のうち、最も迷いやすいのが私服指定の内定者懇談会である。私服と言っても、Tシャツやジーンズといったラフすぎる服装は、TPOに反するため要注意だ。
男性は、襟付きのシャツにジャケットをはおり、下はスラックスに革靴などが好ましい。また、女性は白もしくはパステルカラーのシャツやブラウスに、ひざ丈のスカートやスラックス、足元はローヒールのパンプスをおすすめする。
■ 座る位置や乾杯の順番を考える
懇親会の会場では、自分にふさわしい席に座るのがルールだ。席指定がある、もしくは奥から詰めるよう指示がある場合を除き、入口から遠い席が代表者や役員クラスが座るべき上座、近い席がそのほかの参加者が座る下座と覚えておこう。
また、乾杯の音頭が取られた後には、個別に乾杯するのが一般的な流れだ。懇親会によっては上座から順に乾杯するなどの流れがあり、普段の飲み会のように自由に乾杯して良いとは限らない。流れが掴めていない場合は、少し様子見をして周りに倣うと良いだろう。
■ 節度を持って、積極的に交流する
参加者と交流する時は、積極的かつ節度を持った態度を心掛けよう。親交を深める目的とはいえ、羽目を外しすぎては相手に迷惑をかけ、かえって悪い印象を与えてしまうかもしれない。上の立場の人が羽目を外していたとしても、同様だ。かといって大人しくしすぎるのも、十分に交流できずに終わることとなるため問題である。
ちょうど良い関係性を築くためには、お酒を飲みすぎたり大声を出したりしないようわきまえつつも、やや前のめりに交流するのがベストと言える。上手く話せるか不安な人は、自己紹介をした後、聞き役に回ると会話がスムーズだろう。
■ 写真撮影やSNSへの投稿には配慮する
節度を持った行動には、むやみやたらの写真撮影やSNSの投稿の自粛も該当する。今でこそスマホで撮影するのが当たり前の時代になったが、中には写真が嫌いな人もいて、カメラを向けること自体が失礼にあたるケースもある。写真をお願いしたい場合は、相手にきちんと断りを入れてから撮影しよう。
また、写真撮影がOKだからといって、無断でSNSに載せて良いわけではない。
不特定多数が見ることになるため、ビジネスや学校関係の懇親会での写真をアップするのは好ましくない。掲載許可をもらったとしても、他の参加者の映り込みには要注意だ。
■ 参加後は主催者にお礼メールを贈る
懇親会の参加後は、主催者側に向け、速やかにお礼メールを送るのが鉄則である。好印象を与えたいなら、当日中に送るのがベストだ。
お礼メールの例文は、以下の通り。
件名:懇親会のお礼 懇親会に参加させていただいた〇〇です。本日は貴重な集まりにお招きいただき、誠にありがとうございました。最初は緊張しておりましたが、〇〇様のご配慮のおかげで他の参加者の方とも交流でき、楽しい時間を過ごせました。またの機会がありましたら、今後ともよろしくお願いいたします。 |
お礼メールのポイントは、簡潔にまとめることだ。ダラダラと書いてしまっては、相手の時間を奪うこととなる。感謝の旨と感想を述べ、次につながる言葉で締めくくろう。
参加者同士の絆を深める懇親会は、本当に意味がないのか
懇親会とは、参加者同士の親交を深めることを目的とする会合だ。ビジネスや学校関連、地域ごとの懇親会と、種類は多岐に渡る。親睦会とよく混同されるが、関係性やラフさが多少異なるだけで、目的や形式に大きな違いはない。
多様性が重んじられる昨今、懇親会の必要性が問われている。「意味がない」と思い、参加を渋っている人も多いだろう。
とはいえ、参加すれば参加者同士の絆を深められ、問題や課題も解決しやすい傾向にある。大切なコミュニケーションの一環として、慎重に参加を検討しよう。
文/shiro