2024年3月22~24日に開催された日本最大級のバイクの祭典、「第51回東京モーターサイクルショー」。国内外の車両・用品メーカーが一堂に会し、その年のバイク業界の最新情報を知ることができました。
「今年はなにが流行っているんだろう?」そう思いながらすべてのブースをぐるっと回ったところ、「クラシック」と「カジュアル」という2つのキーワードが見えました。
コロナ禍以降のバイクブーム
新型コロナウイルスの影響による2年間の休止を経て、2022年より再び毎年開催されることとなったモーターサイクルショー。振り返ってみると2022年は「アウトドア」関連が、2023年は「電動バイク(電動キックボードを含む)」関連の展示が多く、コロナ禍の余波や海外メーカーの勢いを感じる内容でした。
ところが2024年はアウトドア・電動バイクの両方ともが大きく数を減らし、トレンドの移り変わりを感じずにはいられません。
ただし、ゼロになったわけではありません。特に電動バイク関連の展示には未来を感じるものがあり、イタリアのメーカー『ENERGICA(エネルジカ)』の充電ステーションの展示は、電動バイクをより身近に感じるきっかけとなりました。
これまでの電動バイクは、バラエティ豊富な車両を披露して魅力を広めるフェーズであったように見えましたが、今後は運用方法も含めたより現実的な提案が求められているように感じました。
「クラシック」が熱い!
今年のモーターサイクルショーでは、様々な方向性の製品が展示され、全体を通してのメインとなる流行はなかったように思います。
そんな中で比較的数が多く、個人的にも気になったのは「クラシック」な製品です。世間では数年前からレトロブームが勢いを増していますが、その波はバイク業界にも届いている模様。かつて人気を集めた名車の復活や、オプションパーツによるレトロなカスタムも増えています。
少し前まで細く尖ったヘッドライトが主流だった新車は、すっかり昔ながらの丸いヘッドライトの車両が勢いを取り戻し、一気にクラシカルな車両が増えました。(写真はカワサキの『W230』とホンダの『GB350C』)
国内企業のクラシックバイクといえば、2018年にカワサキの『エストレヤ』、2021年にヤマハの『SR400』と、人気車両が排ガス規制を受けて生産終了となりました。「もうクラシックバイクの時代は終わってしまうのか?」と思うこともあったのですが、徐々に勢いを取り戻していることに、元クラシックバイクのオーナーとしては嬉しく感じます。
ちなみにスーパーカブC125の新色『パールボスポラスブルー』も、初代C100のカラーリングを連想するような鮮やかな青いボディ×真っ赤なシートと、原点回帰のような雰囲気でした。
また、ヘルメットでもクラシック路線は人気です。ショウエイのレトロなフルフェイスヘルメット『グラムスター』は2020年の発売以降人気が衰えることがなく、今年は『ABIDING(アバイディング)』という新グラフィックが登場しました。
シルバーや黒を基調とした、80年代のレースシーンを彷彿とさせるようなデザイン。「SHOEI」のロゴも相まってレトロな雰囲気です。
近年、バイクを「乗って楽しむ」に加え「撮って楽しむ」人が増えました。クラシカルな製品は写真・映像に映えやすく、年齢を問わず選ばれやすいデザインなのかもしれませんね。