3月22日、三井化学はケミカルリサイクル製品の販売を新規事業化することを発表した。
三井化学はサーキュラーエコノミーの実現に向けて、株式会社 CFP(広島県福山市)より調達した廃プラ分解油を、クラッカーへ投入しマスバランス方式によるケミカルリサイクル由来の誘導品(化学品・プラスチック)の製造・販売を開始する。
2050年のカーボンニュートラルに向けて取り組む化学メーカーとしては大きな一歩となる。
その背景には、廃プラが抱えるCO2排出の問題がある。
廃プラスチックのリサイクル、焼却で年間1600万トンのCO2が排出されている現実
「2050年カーボンニュートラル」達成に欠かせない、CO2排出量削減という問題。2019年における日本のCO2排出量11億794万トンを部門別で分類すると、産業部門・工業プロセスは3億2437万トンと、全体の29.3%を占めている。この3億2437万トンのうち、18.6%にあたる6018万トンが、化学分野からの排出となっているのである。
出典:経済産業省資源エネルギー庁「カーボンニュートラルで環境にやさしいプラスチックを目指して(前編)」より
CO2が排出される工程のひとつが、「廃プラスチックをリサイクルする」段階だ。日本におけるプラスチックリサイクル率約84%のうち、約57%が、エネルギー源としての利用であるサーマルリサイクル(2018年のデータ)である。
サーマルリサイクルでは燃焼する際にCO2が排出され、単純焼却も合わせると最終的に年間1600万トンのCO2が排出されている。排出量削減のためには、ケミカルリサイクルやマテリアルリサイクルの技術を確立し、増やしていくことが必要となる。
出典:プラスチック循環利用協会プラスチックリサイクルの基礎知識2020 ※一般廃プラスチックの排出係数2.77kg-CO2/kg-廃プラから算出