デジタル遺品とは、デジタル機器を通さなければ確認できない遺品を指す。スマートフォンやPCなどのデバイスはもちろん、ネットショップに登録したクレジットカード情報やSNSのアカウントなど、ログインすることで把握できるものまで含まれる。そのため、故人がどのようなデジタル遺品を残していたかの把握が難しく、社会問題にもなっている。
こうした状況を受けて実家の片付け・遺品整理業者比較サイト「みんなの遺品整理」を運営するLIFULL seniorはこのほど、家族の遺品整理を担った経験のある100名を対象に「デジタル遺品整理の実態調査」を実施し、その結果を発表した。
デジタル遺品の整理を完了させられずに「放置」している人は約3割、すべて完了させられたのはわずか2割
故人のデジタル遺品に関する整理状況について聞いたところ、「概ねの整理は完了できた」が51%と最も多いものの、「対応がわからず、すべて放置した」が2%、「あまり整理が完了できず、放置するものが多かった」が27%に上り、放置という選択をした人が約3割もいることが明らかになった。
「すべての整理を完了できた」は20%にとどまり、整理をやりきれない背景には、デジタル機器を通さなければ実態把握ができないという、デジタル遺品の特性があると考えられる。
国民生活センターによせられた相談例として、故人が使用していたスマートフォンやPCなどのロックが解除できず、手続きに自体に進めないというものもある。
9割の人は故人が生前のときにデジタル遺品に関する会話をできていない
生前の故人とデジタル遺品の対応について話し合うことができていたか聞いたところ、「故人に働きかけたがが、十分に対応してもらえなかった」(36%)が最も多く、次いで「故人から働きかけがあったが、十分に対応できていなかった」(31%)、「故人と話すことができなかった」(23%)という結果に。9割の人は会話が不十分であったと認識していることがわかった。
会話が不十分なままとなった背景については、デジタル遺品の整理まで考えが及んでいなかったり、急逝したことで備えられなかったりしたという意見が目立った。また、生前整理の話題そのものを避けるような振る舞いをする方がいることも明らかになった。
●「故人と話すことができなかった」を選択した人の自由回答抜粋
・デジタル遺品という物に考えが及んでいなかった。
・デジタル遺品に関する知識が不十分で、危機感を持っていなかったから。
・突然病気で亡くなったので話し合う暇すらなかった。
・余命宣告はされていたが、元気だったのに数日後亡くなったため話せなかった。
・生前整理の話題を出すと親が必ず機嫌が悪くなり、話せる雰囲気ではなかった。
・あまり触れられたくなかったよう。
6割強の人がデジタル遺品を認知していながら、対策が不十分であったと回答
故人の生前、ご家族がデジタル遺品というものを認知していたかを問う設問では、「認知していたが、対策が不十分だった」と回答した人が最も多く、63%に上った。また、デジタル遺品という概念を「認知していなかった」という人も28%いることが明らかになった。
当結果の背景としては、前設問述の「会話が不十分であった」理由と同様に、デジタル遺品まで思考が及んでいなかったり、まだ検討する段階にないと判断していたりするケースがあると考えられる。