2024年はこれからずっと語り継がれる歴史的な年
ディズニーから常にエネルギーをいただいているという風間さんにとって、ファンタジースプリングスが生まれる2024年は、日本のエンターテインメントテーマパーク史で歴史的な年になると期待を寄せる。
「今までパークで新しいアトラクションが1つできるだけでも大騒ぎでしたが、一気にアトラクションが4つできたことは、僕の記憶にはないぐらいの衝撃で、これほど大掛かりなアップデートは、世界的でも先例がない出来事です。もう1個テーマパークを造ったくらいすばらしいことだと思います。仮に何十年先に振り返っても、2024年に、パークが変わったと語り継がれることが今起ころうとしているんです」
ただ、アトラクションで遊ぶことだけが目的ではない。すでに30年以上パークに通っているが、その楽しみ方は徐々に変わってきたと実感している。
「小さい時から、パークの空気が好きですね。異世界というか、本来はあり得ないことが起きる魔法に魅了されてたんだと思います。10代、20代はアトラクション目当てという部分もありましたが、20代の真ん中から、何にも乗らなくてもいいから出かけたいという心境に変化しました。例えばきれいな山の前にあるカフェで風景を眺めながらお茶をする。この最高の瞬間がディズニーパークでは成立するんです」
同世代のビジネスパーソンにとっても、パークにはエンターテインメントとは別に、仕事に生かせる発見もあるという。
「キャストのホスピタリティーや志の高いスピリットは30代オーバーの人に刺さると思います。1冊の自己啓発本を読むより、そのホスピタリティーを、ビジネスパーソンの観点で体感したほうが多くの発見があるはずです」
風間さん自身の仕事の流儀の根底にも、ディズニーで影響を受けたことは多い。
「仕事に対し、このぐらいでいいかって思いそうな瞬間に鼓舞してくれるのは、ディズニーの、自分より数段クオリティーの高い仕事をしているプロフェッショナルの存在です。追いつきたいとか追い抜きたいと言うのではなく、もっとすごい人たちを知っていると、仕事に妥協はできなくなりますよね」
「植物のプロに、日本で一番手入れがよく、花の種類が多いのが、東京ディズニーリゾートにある通称ミッキー花壇だと教わりました。花壇の花がすべて生花とは、驚きでした」
風間さんは東京ディズニーランドが開園した1983年生まれだ。自分の歩みとパークの進化にリンク点はあるのだろうか。
「東京ディズニーリゾートも開業後40年間を経て、古くなり始めたものもたくさんあります。『ディズニーランドは永遠に完成することがない、進化し続けるパークだ』というウォルトの言葉どおり、新しいことに挑戦してリニューアルされることもあれば、古くなっていくこと、受け継がれていくこともあります。僕自身も40歳になって10代の体力や感性があったからできたできたことで、今はもうできないこともあります。寂しいことですが、月日を重ねるとはそういうことなんだと、パークの移り変わりに重ね合わせることがありますね。ただパークと同じように、今僕ができることがいつかできなくなっても、その代わりに何か新しくできることが生まれることもあると信じています。僕はいつだって今のパーク、今のディズニーを楽しんでいるように、現在の自分だからできることにチャレンジして、いつかタネが一生わからない魔法を皆さんにお見せしたいですね」
KAZAMA’S RESPECT POINT【02】
噴火で飛んだ石も学術的に再現されるプロメテウス火山
「テレビ番組で地質学者さんと一緒に回った時、ディズニーシーのプロメテウス火山は、地質学的にも完璧だと聞き、別エリアに噴火で飛んできた石を見つけた時は感動しました」
KAZAMA’S RESPECT POINT【03】
四季折々の生花が365日咲く日本一豪華なミッキー花壇
KAZAMA’S RESPECT POINT【04】
キャストの表現力だけでもパークに行く楽しみに値する
「シアター型のアトラクションやショーに登場する方々はキャストと呼ばれています。その表現力はまさにプロフェッショナルそのもので、動きひとつが胸を打ちます」
KAZAMA’S RESPECT POINT【05】
パークのざわめきが届くミラコスタの屋外プール
「東京ディズニーシー・ホテルミラコスタには宿泊者限定の屋外プールがあります。パークにいながらプールに入るという選択は勇気が必要で僕も数えるほどしかやっていません」
取材・文/安藤政弘 撮影/干川 修 スタイリング/手塚陽介 ヘアメイク/清家いずみ © Disney