YouTubeショートの収益化開始から1年が経過したことを受け、関連記事が同社ブログに掲載されたので、本稿ではその概要をお伝えする。
YPP に参加するチャンネルの25%以上が YouTubeショートから収益を得ている
2021年にYouTubeの60 秒以下の動画フォーマットである YouTubeショートが登場して以来、その人気は高まり続けている。
YouTubeショートの視聴回数が1日あたり700億回に達し、新しい収益化の方法が見出されるなか、ショート動画のコミュニティも、また盛り上がりを見せている。
クリエイターが収益を得るための最新の方法であるYouTubeショートでの収益分配がYouTube パートナー プログラム( YPP )に導入されてから、1 年が経過。
YouTubeの利用期間の長さにかかわらず、あらゆるクリエイターが成功して初めてYouTube 自らの成功があるという前提のもとに、ユニークなビジネスモデルを築き、それを保ち続けている。
まだ始まったばかりとはいえ、昨年、YouTube ショートでの収益化を開始して以来、YPP に参加するチャンネルの25%以上が YouTubeショートから収益を得ている。
創造性の発揮と経済的な成功の両方を達成する機会をクリエイターに提供できることが、YouTubeの利点と言える。
今では、ショート動画向けの資格要件を満たしてYPPに加入したクリエイターの80% 以上が、広告、視聴者ファンディング、YouTube Premium、ショッピングなど、YPPの他の収益化機能も利用して YouTubeで収益を得ている。
これは、YouTubeショートがクリエイターにとって他の収益化方法への入口として機能しており、クリエイターに還元されていることを意味する。
現在 YouTubeは、コンテンツを複数のフォーマット(ショート動画、長尺動画、ライブ配信、ポッドキャスト、音声)で投稿する選択肢をクリエイターに提供する唯一のプラットフォームでもある。
ショート動画の力を活用してどのようなことが可能なのか、クリエイターからのコメントを紹介する。
■Bayashi TV(チャンネル登録者数約2300万人)
https://www.youtube.com/@BayashiTV_
視聴者の90% 以上が日本国外 (インド、インドネシア、米国、ブラジルなど) の Bayashi TVは、言語に依存しない世界規模のフード ASMRコンテンツを制作している。
MrBeast や ROSALÍA といった国際的なトップクリエイターやアーティストとのコラボレーションを実現させ、マルチフォーマット戦略のもと、より幅広いオーディエンスと収益を獲得している。
<本人からのコメント>
YouTube から収益があることによって、自分が撮りたい動画をすぐに撮れるようになりました。例えば、コラボ動画の反応が良いということがわかったら『アメリカに行ってコラボ動画を撮ろうかな?』と思えて、それをすぐに実行することができます。
移動や撮影に掛かる費用は悩みの種になりますが、その悩みは収益があることによって解消できて、より動画制作に集中できるようになり、今まで以上に動画制作が楽しくなりました。
■コスメヲタちゃんねるサラ (チャンネル登録者数約100万人)
https://www.youtube.com/@CosmeWotaSara
サラさんは幅広い年代の女性に人気のメイクレビューで知られている。特にZ世代からの支持が厚く、長尺動画で強固なファンベースを築き上げた。
さらなるリーチの拡大や新たな視聴者との接点を求め、ショート動画を自身のチャンネル戦略に導入。今では「メイクレビュー × 世界のトレンド」というユニークなショート動画のスタイルでも人気を獲得している。
<本人からのコメント>
拡散力と大衆認知の向上としての YouTube ショートの力には日々驚いています。短尺動画は私のチャンネルを見た事がない人がチャンネルに訪れる入り口としての役割を果たしており、投稿し始めてから、長尺の再生回数&チャンネル登録者数の伸び率が急激に上昇しました。
また、短尺動画を撮影する工数に対しての収益率は長尺を大きく上回っているため、広告をしながら収益を生み出せる、私にとっては夢のような機能です。
■Alan Chikin Chow(チャンネル登録者数約3870万人)
https://www.youtube.com/c/Alanchikinchow
クリエイター、俳優、プロデューサー、コメディアン、起業家、そして社会運動家。さまざまな顔を持つ Alan氏は、グローバル チャートで何度も 1 位の座に輝いた、最もよく視聴されるショート動画クリエイターでもある。
陽気なコンテンツで知られる彼は、世界中の何千何百万もの視聴者に活力と楽しみを届けている。
<本人からのコメント>
YouTube ショートでの収益分配は、自分と自分のチャンネルにとって本当に画期的でした。ショート動画をメインに作成するクリエイターとして、また全米有数の視聴者数を誇るチャンネルの運営者として、このフォーマットを利用して制作の面でどのようなことができるのかを実際に体験してきました。
そこに YouTube ショートでの収益分配が加わり、自分のビジネスを成長させ続ける持続可能な方法がもたらされたのです。私は、YouTube が自分とコミュニティにとって正しいことをしてくれると信じています。その信頼とそこで得られる体験こそが、YouTube の素晴らしいところだと思います。
YouTube は3年間で700億ドルをクリエイターやアーティスト、企業に支払う
YPP を16年前に導入したとき、YouTubeは、素晴らしいコンテンツとその背後にいる創造的な人たちが報いられ、保護され、称賛されるシステムを構築した。
ほんの一握りのクリエイターから始まった同プログラムは、全世界で300万人のクリエイターが加入するまでに成長。そして YouTubeは、この3年間で700億ドルをクリエイター、アーティスト、メディア企業に支払ってきた。これはどの収益化が可能な他社のプラットフォームよりも、最も大きな金額となる。
今回、大きな節目を迎えたが、ショート動画を活用する機会を広げるというYouTubeの取り組みはまだ始まったばかり。
長尺動画は今後もコミュニティに素晴らしい成果をもたらし続けるだろう。そして今、ショート動画の登場により、クリエイター、視聴者、そして広告主を結びつけることで、ショート動画のエコシステムがどのように拡大してきたかを目の当たりにしている。
クリエイター コミュニティが YouTubeショート動画に注力し続ける限り、この成長が止まることはない。
関連情報
https://youtube-jp.googleblog.com/2024/03/shorts-revenue-sharing-update.html
構成/清水眞希