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「ピンチはチャンス」とは、追い詰められた状態は、何かをするのに良い機会であることを指す意味を持つ。
著名人や偉人が使用したこれにまつわる名言が多く残っているが、本当にピンチはチャンスなのだろうか。
本記事では、言葉の意味と誰の言葉なのか、実際の名言を含め解説していく。ピンチをチャンスに変える方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてほしい。
「ピンチはチャンス」とは
「ピンチはチャンス」は、追い詰められているときにかけられることの多い言葉だ。苦境のなかで言われても響きにくいものだが、真の意味は単なる励ましだけではない。
はじめに、正しい意味と誰の言葉なのか解説していく。
■ 意味
単語ごとに紐解いていくと、ピンチには苦境や窮地、追い詰められた状態などの意味がある。また、チャンスは何かをするのに良い機会であることを意味する言葉だ。
そのまま意味をつなげると、「ピンチはチャンス」とは追い詰められた状態は何かをするのに良い機会、となる。
しかし、先述の通り、苦境の最中にある本人に激励や助言めいた言葉は届きにくい。さらに、本当にピンチはチャンスなのだろうかと疑う人も少なくないだろう。言葉の真意へと導いてくれるのが、似た意味を持つとされる「災い転じて福となす」ということわざだ。
「災い転じて福となす」を辞書で引くと、意味は以下の通り。
身にふりかかった災難を、うまいこと活用して、そのまま自分に役立つものとして利用するさま。あるいは、厄介ごとが一転して幸福の種に転じるさま。「災いを転じて福となす」とも言う。 |
「追い詰められていた状態が、良いものへと転じる」といった意味は同じだが、注目すべきは、好転するためにはどうすれば良いかという部分である。上記ではうまく活用し、自分に役立つよう利用するとあり、苦境から脱するためには自らの行動が肝なのだ。
上記に倣うと、「ピンチはチャンス」もまた、追い詰められた状態を活かすも殺すも自分次第と分かる。言葉通り、ピンチをチャンスに変えられるかは、自分の行動にかかっていると言えるだろう。
■ ピンチはチャンスとは誰の言葉なのか
「ピンチはチャンス」は、陸軍軍人を経て起業した経営者・実業家である大橋武夫氏の言葉だ。
大橋氏は社長業を引退した後に、自らが戦時中に身につけた知識がビジネスに通ずると実感する。
そこで中国の軍事思想家・孫氏の兵法書を活用し、一般人にも分かりやすく兵法を教える塾を開き大成功を収めた。これらに関連する自身の著書の表題もまた『座右の銘―経営名言集・ピンチはチャンスなり』だ。
ピンチはチャンスにまつわる名言
元陸軍軍人の大橋氏をはじめ、まさに「ピンチはチャンス」を体感した著名人や偉人は少なくない。以下では、関連する3つの名言を紹介する。
■イチロー氏の名言
元プロ野球選手であり大リーガーのイチロー氏の名言は、以下の通り。
・「後になってピンチは自分にとってのチャンスだったと思えることがたくさんあった。あれは自分を前に進めるためのチャンスだった、と言える日が来てほしい」
結果的にピンチはチャンスにつながることが多いが、苦境の最中にある時は好機とは思えないと語っている。
いくら才能に溢れる人でも、苦しい時は苦しいもの。乗り越え、振り返った時に良かったと思えれば万々歳といった、何とも肩の力を緩められる名言だ。
■ビル・ゲイツ氏の名言
マイクロソフト社の創業者のビル・ゲイツ氏の名言は、以下の通り。
・「Your most unhappy customers are your greatest source of learning.(あなたの顧客の中で一番不満をもっている客こそ、あなたにとって一番の学習源なのだ。)」
クレームを言う客は企業やブランドを危機に追いやるが、勉強材料として受け止め、改善を図ることでさらなる成長につながっていく。
指摘する人がいないトップの考えが保守的になってしまうように、成長のためには危機的状況が必要不可欠と言えるだろう。
■アインシュタイン氏の名言
ノーベル物理学賞を受賞したアインシュタイン氏の名言は、以下の通り。
・「In the middle of difficulty lies opportunity.(困難の中に、機会がある。)」
革新的な目線で物理学を率いてきたアインシュタイン氏だが、実のところ平和主義者でもあったとされている。
その中で物理的にも精神的にも、苦境に立たされることが多かったに違いない。しかし同時に、乗り越えた先にある景色の眩さを感じさせる名言である。
ピンチをチャンスにする方法とは
ピンチをチャンスに変えられるのは、著名人や偉人だけではない。最後に、ピンチをチャンスに導けるようにするための方法を3つ紹介する。
■地道に努力する
まず一つ目は、コツコツと努力することだ。いくら早くピンチを切り抜けたくても、多くの場合は早々に結果が出るものではない。無理をして急速に進めても、更なるピンチを招くことになり、自らの手でチャンスを遠ざけてしまうだろう。
「急がば回れ」の精神で、慌てず着実に進めると良い結果につながると言える。
■原因を明らかにする
着実に進めると同時に、原因を明確にしておくことも重要である。一歩ずつ努力するにしても急速に進めるにしても、たどり着くべきところが分かっていないと迷走するだけだ。
つまり、ピンチをよく知ることこそ、チャンスへと向かう大きな一歩なのだ。苦しい状況に置かれると人は冷静な判断ができなくなりがちだが、落ち着いて対応しよう。
■周りに助けを求める
冷静な判断を欠き、余裕がなくなるピンチにこそ、周りの助けが欠かせない。たとえ原因が自分一人にあったとしても、自身の負担を減らすためにSOSを申し出てみてほしい。
負担が減ると自ずと本来の発揮できるようになり、正しくチャンスへと舵を切れるようになるだろう。
本当に「ピンチはチャンス」?
元陸軍軍人の大橋氏をはじめ、イチローやアインシュタイン氏など、多くの著名人や偉人が体現する「ピンチはチャンス」という名言。別の言い方をすると「災い転じて福となす」となり、ただぼんやりとやり過ごすだけではチャンスにはなり得ないことを教えてくれる。
名言通り、ピンチをチャンスにするためには、苦境から這い出すための工夫や行動が必要なのだ。
もちろん逃げてもいけない。ピンチの原因を正しく突き止め、時には周りの協力も得ながら努力を重ねると、きっと好機をものにできるだろう。
文/shiro