医師不足および医師の勤務環境改善は長らく喫緊の課題とされており、今年4月には医師の働き方改革の一環として時間外労働の上限規制が適用される法改正が施行される予定だ。
こうした状況を受けて、テーラード技術を取り入れた白衣を中心に、メディカルアパレルの企画・製造・販売を行うクラシコはこのほど、医師に対して実施した「医師の白衣に関する調査」の結果を発表した。
本調査は、普段白衣とスクラブを両方月1回以上着ている、24~59歳の医師200名を対象に行われた。
Point.1:労働時間の約8割において白衣を着用
1日当たりの労働時間と白衣の着用時間について聞いたところ、1日の労働時間は平均9.0時間、そのうち白衣の着用時間は平均7.1時間と、約8割(78.9%)もの時間を白衣で過ごしていることがわかった。白衣を着るシーンとしては、全体では「外来診療」「入院患者の診療」「患者家族等との面会」の順で多く、中でも「外来診療の時」の着用率は、整形外科・精神科では100%の回答になった。
全体では4位以下だった項目でも、「院内会議に出る時」は産婦人科・放射線科・麻酔科が6割超と特筆して高く、「学会に行く時」は救急科・放射線科が比較的高く、診療科ごとに白衣の着用シーンに違いが見られた。
Point.2:白衣は「購入派」42%、「病院支給派」58%
白衣の入手環境について聞いたところ、自分で購入した人は42.0%、病院支給の人は58.0%と病院支給のほうが多い結果に。また、病院支給の人のうち「病院支給のため、満足なものを選べなかった」人は34.5%と、病院支給の3人に1人が長時間着用する白衣について選べない環境で、不満を抱えたまま着用していることがわかった。
さらに、購入派も含め現状の白衣に不満を感じる点について聞いたところ、約半数(49.5%)が不満を回答。回答数の多い不満をみると、伸縮性のなさ、ポケットの小ささなど、肉体労働が多く物を持ち歩くような業務に、一般的な白衣の機能が合っていないことが見受けられた。また、着心地や肌ざわりなど、素材自体への不満も伺えた。
Point3:白衣に求めることは機能性だけでなく“デザイン性”
白衣に求めることについて聞いたところ、TOP3には「長時間着ても楽な着心地の良さ」「汗をかく環境でも快適な通気性・速乾性」「見た目をよく見せる質感やデザイン性」が挙がった。着心地の良さが前提としてありつつ、機能性だけでなくデザイン性についても同等に重視する意向が強いことが伺える。
なお、TOP3において男女別の回答を比べると、すべてにおいて男性よりも女性の方が必要と感じている割合が高くあった。また「丈が長く、おしりまで隠れる」については女性の回答率が男性の3倍以上に上り、動いた時に背中やお腹が見えることが気にならず、おしりなど体型が出ないようなユニフォームの需要が見られた。
さらに、診療科別でみても白衣に求める要素に傾向が見られた。
まず「見た目をよく見せる質感やデザイン性」は、小児科や産婦人科など、精神面でのサポートがひと際重視される科や、院内会議や学会での白衣着用率が全科の中で最も高かった放射線科、外来時の白衣着用率が100%であった整形外科と精神科にて、平均を上回った。「キャラクターイラストやカラフルな色など印象を和らげるデザイン」は、子どもと向き合う小児科や、専門外の医師との連携が求められる放射線科において回答率が高くなった。
また、「丈が短い、ジャケットタイプ」は、院内会議や学会の着用率が比較的高い、呼吸器科・消化器科・循環器科、産婦人科、救急科、放射線科、麻酔科で平均を上回った。汚れから守る観点では丈の長いドクターコートに及ばないものの、スーツのようにスタイリッシュで、移動の際の足捌きも楽だからこそ、臨床時以外での使用シーンを鑑みて選ばれていると考えられる。診療科ごとの特性に応じて求めるデザインも異なる可能性が明らかになった。
ほか、「自宅の洗濯機で洗えること」は放射線科と整形外科で重視される傾向にあった。整形外科に関しては、本調査における整形外科医の回答者をみると「クリニック勤務医(院長含む)」の割合が57.1%と全体平均(13.0%)の3倍に上り、個人クリニックの場合個人が自宅で洗濯するケースが多いと考えられる。
<調査概要>
調査名 :「医師の白衣に関する調査」
調査期間:2024年1月25日(木)~1月26日(金)
調査対象:普段白衣とスクラブを両方月1回以上着ている、24~59歳の医師200名
調査方法:インターネット調査
調査会社:ネオマーケティング
出典元:クラシコ株式会社
構成/こじへい