地震の際、キッチンなどの戸棚、引き戸が開き、中に入っている食器などが飛び出して散乱することがある。頭などに当たれば大けがをすることもあるだろうし、床に散乱して割れた食器は極めて危険だ。そこで食器棚などに100均でも買える滑り止めシートを敷いておくといいのは周知の通りだが、問題は扉が開いてしまうこと。
100均のアイテムでできる引き戸の地震対策
わが家の台所のキッチンカウンターの上には横一列に収納が並んでいて、そこには調味料やラップなど軽いものだけではなく、鍋や器なども入っているため、万一、地震で扉が開いてしまうと、その下にいる人やペットを直撃することになる。これは相当にまずい。
2024年は年明けから各地で地震が頻発していることを念頭に、わが家の災害対策主任として、どうにか至急できる対策はないものかと考え、まずは通販でタンスなどに付ける安全ロック直角型を入手。しかし、もともとタンスの引き出しなどに対応したロックだったため、片開引き戸、両開き引き戸などには使えないことが判明。幸い、キッチンの一部の片側が壁面になっているところには使えたものの、そのほかの引き戸の地震対策にはなり得なかった。
引き戸の内部に地震の揺れを感知してロックしてくれるグッズもあるにはあるのだが、お値段はそれなり。そこで考えた。引き戸の把手となにかを、脱着しやすいものでつなげばいいのではないか・・・と。で、試しに100均に出掛け、いろいろとチェックしたみたところ、ちょうどよさそうなアイテムがあったのである。
まずは扉を開きにくくするアイテムとして、リングゴムである。キッチンカウンターの上の作り付けの収納は木材なので、茶色の太いものを購入。
さらに下側でそれを引っかけ、固定するための受けとして、両面テープで固定できる、可動式のフック(耐荷重2kg)をいくつか購入した。
結論から言うと、これが簡単&リーズナブルな引き戸の地震対策として大正解。タンスなどに付ける安全ロック直角型が付けられない部分でもOKで、なおかつひとつの把手に対して2本のリングゴムで強固に固定すればほぼ万全だ。ひとつは把手に二重巻にして外す際の脱落を防止。実際に付けて、扉を開けるためにリングゴムを外す手間、つまりフック側を外す、フック側に戻す・・・という手間はまったく問題なしだった。フックの取り付けのコツは、ある程度リングゴムにテンション(引っ張る力)がかかる場所に貼り付けること。費用は2か所であればたった220円である(フックは2個入り、リングゴムは5個で110円)。
ところで、両開き式の食器扉などは、すでにおそらく多くの人がやっている、これまた100均でも手に入るS字フック(サイズは左右の把手の間隔に合わせること。わが家は7cmのものを使用し、やや伸ばして使っている)を用いた固定をしているのだが、扉の開閉時、外したS字フックが落ちてしまうことがある。落ちたS字フックをなかなか探せないこともあり、以前はやっかいだった。
そこでわが家では、両開き扉の左右の把手にS字フックをかける際、左側の把手のほうだけ、S字フックの先端をギュッと縮めて、落ちないように工夫している。これなら右側の把手にかかっているS字フックを外した際、左側はくるりんと回転するだけで、落ちることはない。S字フックを曲げるにはけっこう力がいるが、ペンチなどを使えばいいだろう。
もちろん、備え付けではないあとから設置した食器棚やタンス、本棚などはつっかえ棒(さすがに100均には売ってないだろうが)で天井と固定したり、天井との隙間にぴったりハマる大きさの段ボール(めったに着ない衣類などの収納にもなる!?)を挟むなどの家具そのものの転倒防止対策も忘れてはいけない。とにかく、食器棚からの食器の飛び出し防止に加え、家具やテレビなどが倒れないための固定、家具の中の物が飛び出さない、棚に置いてあるものが落ちないための、100均でも手に入る滑り止めシートの設置などの地震対策の随所への工夫は不可欠だ。
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文・写真/青山尚暉