上場ベンチャーの事業成長を支援するグロース・キャピタルは、上場企業役員123名を対象に、「新規上場基準/上場維持基準の引き上げに関する上場企業役員調査」を実施。結果を図表にまとめて発表した。
新規上場基準の引き上げ検討について
「新規上場基準の引き上げ検討について、あなたの考えをお答えください」という質問に対し、賛成(賛成である、どちらかというと賛成である)が57.7%に及ぶことがわかった。
上場市場別にみたところ、グロース市場上場企業役員では57.8%、プライム市場上場企業役員では60.8%と差はわずか3ポイントと、大きな差はみられなかった。
上場維持基準の引き上げ検討について
「現在の「上場10年で時価総額40億円」という上場維持基準(≒上場廃止基準)の引き上げ検討について、あなたの考えをお答えください」という問いに対して、賛成(賛成である、どちらかというと賛成である)がおよそ5人に4人の78%に及ぶことがわかった。
当事者であるグロース市場上場企業役員の賛成も78%と高い水準となっている。
■「新規上場基準と、上場維持基準の引き上げ」の影響
「新規上場基準と、上場維持基準の引き上げについて、日本のスタートアップ・エコシステムにとって、どちらの方がプラスに働くと思いますか」という問いに対し、上場企業役員は、「新規上場基準の引き上げ」よりも「上場維持基準の引き上げ」が26ポイントの差をつけて上回った。
グロース市場上場企業役員の間では、「上場維持基準の引き上げの方がプラス」との回答が54.2%に及び、半数以上が上場維持基準の引き上げの方がプラスであると考えていることがわかった。
■“早期”上場することのメリット
”早期”に上場することの最大のメリットについて、グロース市場上場企業役員では「取引先の信用を得やすくなる」ことが最大となり、「資金調達の選択肢が広がる」、「上場審査を通じた経営管理、ガバナンスの整備」といった回答が続いた。
上場市場別でみると、グロース市上場企業役員の方がプライム市場上場企業役員に比べ、「取引先の信用を得やすくなる」の選択が20ポイント以上高かった。
また、時価総額別(※2024年2月末時点)で見ると時価総額100億円未満の上場企業役員の32%が「取引先の信用を得やすくなる」ことがメリットと回答。
グロース市場上場企業や時価総額100億円未満の規模の企業において、「取引先の信用獲得」が大きなメリットとなっていることがわかった。
■“早期”に上場することの最大のデメリット
「”早期”に上場することの最大のデメリットについて、あなたの考えをお答えください」という問いについて、上場市場別にみると、グロース市場上場企業役員では「上場維持コスト」を最多の41%が回答したのに対して、プライム市場上場企業役員では「成長投資がしづらくなること」との回答が43.5%で最多となった。
時価総額別(※2024年2月末時点)では時価総額100億円未満の上場企業役員では「上場維持コストがかさむ」との回答が最多の38.7%だった。
新規上場基準の引き上げが行われた場合のデメリット
「新規上場基準の引き上げが行われた場合、どのようなデメリットがあると感じますか」という問いについて、デメリットTOP2は、「VCなどの未上場株投資家の投資が慎重になる」「スタートアップの資金調達の選択肢が減る」と資金調達環境の悪化を懸念する回答となった。
特にグロース市場上場企業役員は「スタートアップの資金調達の選択肢が減る」との回答が他市場上場役員に比べ20ポイント以上高かった。
調査概要
調査名/新規上場基準・上場維持基準の引き上げに関する上場企業役員123人調査
集計期間/2024年1月22日(月)~3月5日(火)
対象/上場企業役員(取締役、執行役員など)123名<グロース市場 83名、プライム市場 23名、スタンダード市場 17名>
方法/Web実名アンケート
※2024年3月7日開催の成長企業の役員が集う「Growth CFO Camp Vol.4」申込時のフォームにて実名回答。334名の回答者のうち上場企業役員以外の回答は調査から除外
出典/グロース・キャピタル株式会社調べ
構成/清水眞希