「オフィス賃貸の敷金」というニッチな課題に取り組んできたのが、2011年創業の日商保。「敷金フリー(ゼロ円)のオフィス」をいかにして実現するのか? 独自のビジネスモデルをチェックしよう。
推定5兆円におよぶオフィス敷金のうち、1割=5000億円を保証に代えるのが同社のビジョン。急増しているとはいえ、日本のスタートアップ投資額が1兆円に満たないなかで、敷金の成長資金化は大きなインパクトになり得る。
いっぽう、コロナ禍を経て変化したオフィスへのニーズは、どのように影響するか?
「成長を目指すスタートアップは、リアルなコミュニケーションを重視している。ただし、オフィスの使い方は、毎日決まった席に全員が着くような以前のようなものではなく、フリーアドレスで週に何度か社員が集まるなど、求められる機能は変わっている。
会社としては社員分の広さを用意するだけでなく、内装などを含め来たくなるような環境を整えなければならない」と同社は指摘する。
数字を見れば、2019年に1%台だった都心のオフィス空室率は、2022年末で6%超。コロナ禍以前は超過気味だった需要が落ち着いたのは確かだが、空室の余裕ができて、企業が新たに入居しやすい環境になったとも言える。一定の流動性がある状態は、保証ビジネスには追い風だ。
さらに、都内では新規オフィスビルの竣工が相次いでおり、2023年には供給過多になる見込み。競争を迫られたビルオーナーにとって、「敷金フリー」は有効な選択肢。
入居企業側、オーナー側ともに、コロナ禍以前よりも、オフィスそのものへの関心は高まっている。同社はこの機に、敷金の商慣習を変え、将来性のあるスタートアップを応援する機運を盛り上げていく。
取材・文/ソルバ!
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