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正社員、バイト、パート、給料明細の見方と確認すべきポイント

2024.04.22

会社員や公務員として働いている方は、毎月勤務先から給料日に給与明細を受け取っているだろう。給与明細には、給与額だけでなく税金や社会保険料をはじめとした控除額が記載されている。

「総支給額」と「振込額」だけ見て、ほかの個所は見ていないという方も多いのではないだろうか。社会保険に関する知見を深めるためにも、各項目について確認することは有意義だ。

こちらの記事では、給料明細の見方や正社員とアルバイト・パート別で見るべき項目などを解説する。

給与明細は会社によって違うの?

給与明細のフォーマットは、勤務先によって異なる。大まかに出勤日数や欠勤日数に関する「勤怠」、基本給や各種手当に関する「支給」、税金や社会保険料に関する「控除」に分けられる。

多くの労働者にとって気になるのは、「支給」に関しての項目だろう。総支給額と最終的な振込額だけ見て、ほかの項目はチェックしていないという方もいるかもしれない。

しかし、給与明細を見ることで、社会保険の仕組みや社会保険料の計算方法を知るきっかけを得られる。例えば、控除されている項目として以下が挙げられる。

  • 健康保険料
  • 厚生年金保険料
  • 介護保険料
  • 雇用保険料
  • 所得税
  • 住民税

いずれも、ルールに則って計算されている。「総支給額のわりに、最終的な手取りが少ない」と感じている場合は、税金や社会保険料の計算方法を理解し、控除額を少なくする方法を考えるとよいだろう。

なお、所得税法において、労働者に対して給与明細を交付することが義務付けられている。交付方法は紙媒体でもWEB上でも問題ない。

※出典:厚生労働省「第3章 働くときのルール」

給与明細の正しい見方

社会人としての一般的な教養を得て、マネーリテラシーを高めるためにも給与明細の見方を理解することは有意義だろう。

以下で、正社員とパート・アルバイトのケースで、具体的にどのような点を見るべきか解説する。

■正社員の給与明細のチェックポイント

・基本給

正社員が給与明細を見る際には、給与の基盤となる基本給を見よう。

・各種手当

また、条件を満たしている場合は住宅手当や資格手当などの各種手当も支給されるため、支給漏れがないか確認するとよい。

残業した場合は、「時間外手当」「残業手当」が含まれているかも確認しよう。残業した時間に誤りがないか、割増された金額になっているか計算してみるといいだろう。

・社会保険料

控除に関しても、社会保険料をいくら負担しているか確認しよう。主な社会保険料は「健康保険料」「介護保険料」「厚生年金保険料」「雇用保険料」がある(介護保険料は40歳以降)。負担に感じやすいのが健康保険料と厚生年金保険料だ。いずれも4月~6月の給料の平均額をベースに、毎月の負担額が決まる。つまり、3月~5月に残業を行なうと、社会保険料負担が重くなりやすい。

・所得税と住民税

社会保険料以外の控除で確認すべきは、所得税と住民税だ。細かい計算方法は異なるが、いずれも収入から各種所得控除を行なって算出した「課税所得」をベースにして、最終的な税額を決定する。基本的に、社会保険料も税金も、収入が上がれば上がるほど負担も重くなる点は押さえておこう。

・手取り額

最終的に手元に残るのは、総支給から控除を引いた金額となる。総支給額ではなく、手取り額を基準に生活設計を行うことが大切だ。

■パート・アルバイトの給与明細のチェックポイント

パート・アルバイトの方が給与明細でチェックすべきポイントは、基本的に正社員の方と同じだ。ただし、パート・アルバイトの方は時給制や日給制で働いているケースが多いだろう。そのため、出勤日数・稼働時間に誤りがないか確認することが大切だ。

・出勤日数/稼働時間/時給単価

時給制の場合、出勤日数と稼働時間が合っているか、時給単価を乗じた金額が総支給額になっているか確認しよう。シフト表と照合して、もし計算が合わなければ経理担当者に確認すべきだ。

・年収の壁

ほかにも、パート・アルバイトならではの確認ポイントとして「年収の壁」がある。扶養内で働いている方であれば、扶養内で働ける年収を超えていないか確認することが欠かせない。

例えば、年収130万円を超えると配偶者の扶養から抜ける必要がある(60歳以上、障害者の方は180万円)。つまり、年収130万円を超えると自分で国民年金保険料と国民健康保険料を負担しなければならない。

さらに、厚生年金保険の被保険者が101人以上の特定適用事業所で勤務しており、特定の条件に該当する方は、年収106万円を超えると勤務先の健康保険と厚生年金保険に加入する(2024年10月以降は51人以上)。具体的には、以下の条件に該当したケースだ。

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上
  • 雇用期間が継続して2か月を超えて見込まれる
  • 賃金の月額が8.8万円以上
  • 学生ではない

例えば、特定適用事業所に勤務しており年収が110万円の場合は、配偶者の扶養から抜けて自分自身で勤務先の社会保険に加入する。勤務先の社会保険に加入するということは、控除が増えて手取り収入が減ることになる。

「扶養内で働いて手取り収入を減らしたくない」と考えているパート・アルバイトの方は要注意だろう。なお、政府は年収の壁を気にせずに働けるように配慮した「年収の壁・支援強化パッケージ」を行なっている。勤務先によっては、年収106万円を超えた時に手取り収入を減らさないように、各種手当の支給に取り組んでくれる。

年収130万円を超えたとしても、繁忙期や突発的な都合などで「一時的である」と勤務先が証明した場合は、引き続き配偶者の扶養内に留まれる仕組みとなっている。

いずれの対策も、労働者が主体的に利用できるものではない点には注意が必要だ。扶養内で働きたいという希望を持っているパート・アルバイトの方は、勤務先に「年収の壁・支援強化パッケージ」を活用する予定があるか確認するとよいだろう。

※出典:厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ」

まとめ

給与明細を通じて「何日出勤したのか」「いくら支給されているのか」「いくら控除されているのか」「最終的にいくら受け取れるのか」を確認できる。

給与計算が間違っていないかの確認はもちろん、どの程度の税金や社会保険料を負担しているのかチェックしよう。給与明細の各項目を理解すれば、税金や社会保険の仕組みを知ることができるだろう。

正社員でもパート・アルバイトでも、基本的に確認すべきポイントは同じだ。ただし、扶養内で働きたいパート・アルバイトの方は、106万円の壁や130万円の壁にも意識を向けよう。

文/柴田充輝
厚生労働省、保険業界、不動産業界での勤務を経て独立。FP1級、社会保険労務士、行政書士、宅建士などの資格を保有しており、特に家計の見直しや資産運用のアドバイスのほか、金融メディアで1000記事以上の執筆を手掛けている。

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