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「艱難汝を玉にす」とは、苦難を乗り越えた後に成長があることを説いたことわざだ。
ビジネスシーンにおいて使用できるほか、さまざまな場面で活用できる。とはいえ、日常会話で活用されることわざではないため、正しく理解をしないと意味を間違えて恥をかいてしまうことも。
今回は、「艱難汝を玉にす」の意味や由来をはじめ、例文を交えて活用シーンを解説をしていく。類義語も補足するので、ぜひ最後まで読んでいただきたい。
「艱難汝を玉にす」とは?
「艱難汝を玉にす(かんなん なんじを たまにす)」とは、「困難を乗り越えた暁に、人は成長をすること」を意味することわざである。あらためて、意味と由来を確認しておこう。
■意味
「艱難汝を玉にす」を辞書で引くと、以下の意味が記されている。
人間は苦労・困難を乗り越えることによってりっぱな人物になる。 引用:weblio辞書 |
それぞれの言葉を分解していくと、「艱難(かんなん)」とは、困難にあって苦しみなやむことを指す。
続く「汝(なんじ)」の意味は「あなた、君」といった二人称が対象。結婚式の誓いの言葉でも、神父の「(新郎および新婦を指して)汝」と呼びかけるフレーズを聞いたことがあるだろう。
残す「玉にす」は、「宝石のように光り輝かせる」という意味合いを持つ。こちらは、宝玉(ほうぎょく)をイメージすると忘れにくいので、ぜひ覚えておこう。
■由来・語源
ことわざ「艱難汝を玉にす」の由来は西洋からである。
英訳は「Adversity makes a man wise」で、「地中から掘り出された粗玉(あらたま)が、磨かれて美しい玉になる」が、意訳された文である。
上記は、逆境が人を賢くするという意味を持ち、「艱難汝を玉にす」と類似した言葉だ。これを語源とし、日本のことわざとなり定着したと考えるのが妥当だろう。
「艱難汝を玉にす」の使い方
「艱難汝を玉にす」は、叱咤激励や成長を期待して使うなど、上下関係がうかがえる際の使用が最適だ。では、シーン別の使い方を例文で把握しよう。
■ビジネスシーンにおける例文
ビジネスシーンでの例文は、以下の通り。
・新入社員にとって厳しい局面だな。「艱難汝を玉にす」にならって、3年目を超えるまでひたむきに頑張ってみなさい。
上司が部下に対し、叱咤激励するシーンを表現している。厳しくも、ことわざを入れたことで、クッション効果が表れているともいえるだろう。
■受験シーンにおける例文
合格を祝うシーンでの例文は、以下の通り。
・苦しい日々の連続だったと思うけど、無事目標校に合格できたね。「艱難汝を玉にす」を重んじて努力した結果だ。
難関といえる受験に合格した時、親が我が子に対して使う例だ。高いハードルに立ち向かう時だけでなく、乗り越えた暁に祝福する場合にも使える。
「艱難汝を玉にす」の類義語
「艱難汝を玉にす」には、「若い時の苦労は買ってでもせよ」「雪に耐えて梅花麗し」などの類義語がある。以下では、意味を詳しく確認していこう。
■若い時の苦労は買ってでもせよ
「若い時は楽な立ち回りばかりをせず、困難な方を選んで苦労を経験しなさい」という意味である。
ことわざ全体を見ても、難しい語句が何一つ入っていないため、「艱難汝を玉にす」を言い換える際にも最適だ。
年下の人間と話すシーンで使いやすいだろう。ただ、命令形となっているため、双方の立場を考慮した上で選びたいもの。伝え方によっては偉そうに聞こえてしまうので注意したい。
■雪に耐えて梅花麗し
「雪に耐えて梅花麗し(ゆきにたえてばいかうるわし)」は、禍根の状況下でも忍耐すると、成長できるという意味合いである。
梅花の梅の由来だが、冬の寒さが厳しいほどにきれいな花を咲かせるとされていた。よって「冬の雪に耐えると、梅の花が美しく咲く」と解釈すれば、すんなりと覚えられる。
高い壁を乗り越えたい時に「艱難汝を玉にす」を使おう
「艱難汝を玉にす」は、自分や相手を鼓舞する際に使えることわざだ。
困難極まりない状態でも、乗り越えることで立派な人になれることを意味する。
会話に自然と溶け込むことわざではないが、叱咤激励をするシーンでは非常に使いやすい。ぜひ、類語も覚えてバリエーションのある活用をしてみよう。
文/shiro