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「みなし残業」は違法?覚えておきたいみなし残業が違法になるケースと注目の判例

2024.06.07

一定の残業が発生することを織り込んで、あらかじめ固定の残業代を支給する「みなし残業」という仕組みがある。みなし残業の時間は勤務先によってさまざまだが、場合によっては違法となるケースがある。

労働者側は安心して働くためにも、みなし残業の仕組みや計算方法、違法となるケースを知っておくことが大切だ。こちらの記事では、みなし残業の計算方法や違法となるケースなどを解説する。

みなし残業は違法?

みなし残業は「固定残業」と呼ばれることもあるが、いずれも違法ではない。

あらかじめ、法定時間外労働・法定休日労働・深夜労働に対する割増賃金を支払うものだ。

みなし残業代は、基本給の上乗せとして定額の手当で支給する方法と、基本給の一部に織り込んで支給する方法がある。いずれにしても、みなし残業代を支給するにあたり、事業主には以下の情報を伝えることが求められている。

  • 固定残業代を除いた基本給の額
  • 固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法
  • 固定残業時間を超える時間外労働、休日労働および深夜労働に対して割増賃金を追加で支払う旨

また、みなし残業が導入されている勤務先で働いている場合でも、みなし残業時間を超過した労働時間に関しては別途で残業代が発生する。例えば、みなし残業時間が月30時間で、実際の残業時間が月35時間だった場合、5時間分の労働に関しては別途で残業代を請求できる。

※出典:厚生労働省「固定残業代 を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします。」
※出典:厚生労働省「しっかり学ぼう!働くときの基礎知識」

みなし残業と残業時間の上限

みなし残業時間に、特段法令上の上限は設けられていない。勤務先によっては、45時間のみなし残業や60時間のみなし残業を設定しているケースもあり得る。

ただし、労働基準法では残業時間の上限として「1カ月45時間以内、1年360時間以内」と定められている(残業させる場合は、36協定の締結と届出が必要)。社会通念上、みなし残業を設ける場合であっても、45時間以内に収めるのが妥当だ。「特別条項付き36協定」を締結すると状況は異なる。以下の条件の範囲内で、事業主は労働基準法で定められている内容以上の残業を行わせることができる。

  • 年720時間以内

  • 複数月の平均80時間以内(休日労働を含む)

  • 月100時間未満(休日労働を含む)

  • 月45時間以上の残業ができるのは年6回まで

「特別条項付き36協定」を締結している場合でも、青天井で残業できるわけではない。また、残業できるのは大規模なクレーム対応や決算業務など、やむを得ない事情があるケースに限られる。

みなし残業に法令上の上限は設けられていないとはいえ、45時間を超える時間で設定しているケースにおいては、違法と判断される可能性があるだろう。

なお、実際にみなし残業時間が公序良俗に反し無効と判断された判例がある(マンボー事件)。これはインターネットカフェで発生した事案で、みなし残業代の合意があったとしても、月100時間以上の時間外労働が恒常的に義務付けられている場合は「公序良俗に反し無効である」と判断された。

みなし残業が違法になるケースとは?

みなし残業が違法になるケースは、ほかにも考えられる。具体的に、どのようなケースで違法となり得るのか確認しよう。

■みなし残業代を基本給に含めている

みなし残業代を、基本給に含めて求人募集をかけるのは違法だ。みなし残業を導入している場合、以下の情報を明記しなければならないためだ。

  • 固定残業代を除いた基本給の額
  • 固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法
  • 固定残業時間を超える時間外労働、休日労働および深夜労働に対して割増賃金を追加で支払う旨

みなし残業を導入している場合は、必ず残業時間と残業代の内容を明記する必要がある点は押さえておこう。

■基本給の部分が最低賃金を下回っている

みなし残業代を除いた基本給が最低賃金を下回っている場合、違法となる。最低賃金は地域別最低賃金と特定最低賃金の2種類が定められており、最低賃金に満たない条件の求人は違法だ。

最低賃金は上昇傾向にあり、例年通りだと10月に改定される。改定が行われたあとに「最低賃金が下回っていた」というケースもあり得るため、確認するとよいだろう。

■みなし残業を超過した労働時間の残業代が支払われない

みなし残業を超過した労働時間の残業代が支払われない場合も、違法となる。例えば、みなし残業時間が月30時間にもかかわらず、実際には40時間残業した場合は10時間分の残業代を支払う義務が発生する。

労働者側は、きちんと労働時間を管理して、みなし残業時間を超えた労働を提供していないか確認しよう。

■労働基準法を大きく超過するみなし残業時間が設定されている

労働基準法上での残業時間の上限である月45時間を超えたみなし残業時間が定められている場合も、違法となる可能性がある。例えば、60時間や80時間のみなし残業時間が設けられている場合、特別条項付き36協定を締結していても、否定される可能性がある。

みなし残業時間には法令上の上限規定はないものの、実際に、月100時間以上の時間外労働が恒常的に義務付けられている場合は公序良俗に反し無効という判例もある。

実務上は、みなし残業時間の上限は月45時間~50時間程度が目安と考えられる。労働者側は、みなし残業が設けられている事業所で勤務する場合、社会通念上妥当な時間かどうか確認しよう。

■就業規則にみなし残業について明記されていない

みなし残業時間について、就業規則に明記されていない場合も違法となる。労働基準法において、労働時間や賃金の決定方法などの労働条件は、明示することが義務付けられているためだ。

みなし残業代や残業時間について就業規則に記載がない場合、給料の計算根拠が不明であることになる。これでは労働者は安心して働けないため、就業規則にみなし残業に関する規定の記載がない場合は、違法となる。

まとめ

みなし残業は、さまざまな業種の事業所で導入されている。みなし残業時間に法令上の上限は設けられていないが、労働基準法の規定を大幅に超過した場合に違法となるケースがある。

また、みなし残業時間を超過した残業に対する賃金を支払わない場合や、みなし残業代を除いた基本給の部分が最低賃金を下回っている場合も、違法となる。

労働者側は、自分が給料を受け取る正当な権利を行使するためにも、就業規則や雇用契約書でみなし残業の規定を確認することが大切だ。また、きちんと労働時間を管理することも意識しよう。

文/柴田充輝
厚生労働省、保険業界、不動産業界での勤務を経て独立。FP1級、社会保険労務士、行政書士、宅建士などの資格を保有しており、特に家計の見直しや資産運用のアドバイスのほか、金融メディアで1000記事以上の執筆を手掛けている。

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