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「燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや」(えんじゃくいずくんぞこうこくのこころざしをしらんや)とは、小鳥に大鳥の気持ちなどわかりはしないという、蔑みにも似たニュアンスのあることわざだ。しかし、現代でスマホ・PCから変換をしようとしても、ストレートに漢字は出てこないことも。よって、書きの時点で調べることを止めた人もいるだろう。
そこで本記事では、「燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや」の意味・由来を、後半では類義語・対義語も含め解説していく。言葉を理解をするために、ぜひ最後まで読んでみてほしい。
「燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや」とは
■意味
「燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや」を辞書で引くと、以下の意味となる。
《「史記」陳渉世家から》ツバメやスズメのような小さな鳥には、オオトリやコウノトリのような大きな鳥の志すところは理解できない。小人物には大人物の考えや志がわからない、というたとえ。 |
まず燕、雀が小さな鳥を表すことはわかりやすい。次の「安んぞ」が多くの人のネックになるところだが、「いずくんぞ」と読む。意味は「どうして~することがあろうか、いや、ないという反語の意味で用いられる表現である。
続いての「鴻鵠(こうこく)」は大きな鳥を指すが、残す「知らんや」に首をかしげたはずだ。知らんやは動詞の知る+推量の助動詞む+反語の終助詞や、が合わさったものだと言われている。これで「知らないだろう」という意味になる
■由来・語源
「燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや」は、中国前漢の学者・司馬遷(しばせん)による『史記』が由来だ。舞台は中国の泰(しん)、小作人からのし上がった陳渉(ちんしょう)の逸話による。
耕作の休憩時、先々身分が高くなったとしても、お前のことは忘れないと仲間に告げたのだが、なんと陳渉は一笑に付された。対して「燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや」とつぶやいたのが、語源となっている。
時は流れ、結果として王位についたという成り上がりとなったため、勇猛な陳渉の行く道と信念は正しかったといえるだろう。
「燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや」の使い方
「燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや」のことわざは、ビジネスシーンや日常生活の一部で使用できる。では例文と共に早速使い方を見てみよう。
■ビジネスシーンにおける例文
ビジネスに使える例文は以下の通り。
・逆境であれども「燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや」を想起しよう。顧客のため、社内の者の妨害は気にせず、信念を貫くべきだ。
周囲に振り回されている会社員を、上司が激励するシーン。君は鴻鵠のように大きいからこそ、小さな燕雀のガヤなんて気にしなくて良いと言っている。
ことわざを通じてのコミュニケーションにつき、当事者同士で意思疎通が図れれば、仲間の絆もより深くできるのではないだろうか。
■助言における例文
助言に使える例文は以下の通り。
・夢に反対するドリームキラーがいても萎縮しては勿体ないよ。「燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや」と言うじゃないか。
聞き手がアドバイスをするシーンだ。大きな山のように、もっとどっしりと構えたって良い、異を唱える者は燕雀のように小さいのだと勇気づけている。多様性を持っており、上記だと親友間における一コマにも見えるだろう。
「燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや」の類義語
■鷽鳩大鵬を笑う
「鷽鳩大鵬(がくきゅうたいほう)を笑う」は「燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや」と似た意味を持つ。「鷽鳩」とは小鳩を指し、「大鵬」は読んで時のごとく大鳥を指している。
鷽鳩、大鵬+を笑うと、2つへシンプルに分けられるため、むしろこちらの方を先に把握し燕雀の理解をしても良いくらいだ。
なお、「鷽(がく)」を変換で出そうとするとなかなか出てこないかもしれない。だが、鷽鳥(うそどり)で変換してみるとすぐに出る場合があるため、あとは鳥を切り離してみるとメッセージでも使いやすいだろう。
■猫は虎の心を知らず
「猫は虎の心を知らず」も鷽鳩大鵬のように、極めて似た意味を持っている。特に猫と虎は大小で考えると燕雀+鴻鵠、鷽鳩+大鵬と比べれば、最もイメージも湧きやすいのではないだろうか。
より誰にでも伝わりやすい表現として、脳裏にインプットさせておくのも良いだろう。