小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

覚えておきたいことわざ「鰻の寝床」の意味と言葉の由来

2024.03.30

「鰻の寝床」とは、うなぎのように細長い場所を意味することわざである。間口が狭く、奥行きのある建物や土地を例える時に使われるが、意味や由来を知っているだろうか。

本記事では、鰻の寝床という言葉について解説していく。間取りや建物としてのメリット・デメリットも紹介していくため、代表例である京都の町家に憧れる人も参考にしてほしい。

「鰻の寝床」とは?

「鰻の寝床」とは、間取りや建物の形を例える時に使われることわざだ。現代では主に不動産用語として知られている。まず、意味と由来を詳しく確認していこう。

■意味

間取りを例える表現である「鰻の寝床(うなぎのねどこ)」とは、「間口が狭く、細く奥行きのある場所」という意味である。カウンター式の間取りや長屋、すれ違いが困難なほどの狭い裏路地など、うなぎが寝床として好むような場所全般を指す。

細長い体をしたうなぎが横たわる姿もまた、まさに長屋やカウンター式の建物のようだ。さらに、うなぎは岩の隙間や川床の泥といった、狭く窮屈な場所で暮らす習性がある。つまり細く狭い場所を、うなぎにの見た目や様子に例えた言葉であるとわかるだろう。

■由来

鰻の寝床という言葉は、うなぎの姿・生活に由来していると共に、昔の税金システムにも関係している。

豊臣秀吉が天下を取っていた時代および江戸時代には、間口の広さで決まる税金(間口税)があった。家や土地を持っている人が税金を減らそうと考えた結果、多く建てられるようになったのが、間口が狭く奥行の深い「鰻の寝床」なのだ(諸説あり)。

「鰻の寝床」の特徴

京都や大阪に多く残る「鰻の寝床」には、いくつかの特徴がある。以下では、建物や間取りとしてのメリットを交え、4つ解説していく。

■空間が広く見える

鰻の寝床の形状は奥行きが深く、扉を開くと同時に奥まで見通せるのが特徴だ。

部屋や仕切りで区切られていないため、おのずと空間全体が広く見える。空間の奥に鏡を置いて工夫する建物がある一方、工夫なしに広く見せられるのは何よりのメリットだろう。

■土地の価格が低い

鰻の寝床を土地に当てはめた時に、土地価格を抑えられるのもメリットである。間口税対策として取り入れられていたこともある総面積の少なさは、狭小地にあたりやすく、現代においてもリーズナブルな土地購入を検討中の人に向いている。土地代を安く済ませ、建築費用に回したい人にもメリットになるだろう。

■生活動線を重視できる

間取りとして取り入れると、生活動線にこだわった建物にできるのも特徴の一つだ。扉をくぐると奥や左右に部屋が分かれるのが一般的なのに対し、鰻の寝床を適用した間取りでは、手前から奥まで部屋を順に辿って行くことになる。

手前の部屋を通らずに奥まで行けないのは、やや考え物だ。しかし、一から設計する場合、手前からトイレ→バスルーム→キッチン→リビングといった風に、あらかじめ生活動線を考えた間取りにできるのはメリットと言える。

■プライバシーが守られる

プライバシーを確保できることも、鰻の寝床の間取りの特徴だ。奥行きが深いため、道路に面する玄関から奥の部屋までは一定の距離ができる。奥の部屋にリビングや寝室、バスルームを持ってくると、より外からの視線や音を感じず生活できるのがメリットだ。

「鰻の寝床」を選ぶ際の注意点

鰻の寝床にはメリットが複数ある一方、デメリットもある。最後に、鰻の寝床を間取りや建物に取り入れる時の注意点を解説していく。

■間取りが限られる

鰻の寝床は奥行きがある一方、左右に部屋を設けられないため、間取りが限られてしまうことは覚えておかなければならない。生活動線に沿って奥へと部屋をつなげていけるのはメリットだが、横幅によっては、希望の部屋の広さを確保しにくいデメリットがある。

2階や3階を作れば、部屋数はカバーできる。ただし、バリアフリー化を考える上階への移動が困難な家庭にはネックとなってしまうだろう。

■採光・通風しに難点

光や風を取り込みにくいことも、鰻の寝床の注意点の一つ。奥行きはあるものの細長い形状のため、特に奥の部屋は採光・通風性に問題が出やすい。風が十分に通らなければカビが生えやすくなり、光が届かないと部屋全体が暗くなってしまうのがデメリットだ。

ただし、部屋の途中に中庭やベランダを設ければ、採光と通風の問題は随分と改善されるだろう。希望の間取りと比較検討してほしい。

■工事費がかさみやすい

鰻の寝床と言われる建物は、間口が狭いことから、工事費が高くつきやすいことにも注意が必要である。近隣の建物に極めて接近しているケースが多く、工事に高い技術が求められるのだ。

また、通常の住居より幅が狭く、一般的な家具が入らないケースも少なくない。場合によっては特注で作らなくてはならず、総じて費用がかさむ局面が出てきやすいだろう。

京都の町家に見る「鰻の寝床」

「鰻の寝床」とは、解説してきたとおり、細長い間取りや建物を意味し、うなぎの姿や行動に由来することわざだ。

奥まった形状は採光や通風には工夫が必要だが、空間を広く見せられるのは見逃せないメリットである。家や土地の購入を考えている人は、今も京町家を例に情緒あふれる建物として現存する、鰻の寝床を検討してみてはいかがだろうか。

文/shiro

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2024年4月16日(火) 発売

DIME最新号は「名探偵コナン」特集!進化を続ける人気作品の魅力、制作の舞台裏まで徹底取材!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。