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企業や社会に「ノーマライゼーション」が求められる理由

2024.04.30
全ての人が生き生きと暮らせる社会をつくるには、ノーマライゼーションを理解する必要があります。障害者が抱える悩みや雇用における課題を知り、私たちに何ができるかを考えましょう。ノーマライゼーションの意味や歴史、企業の取り組みを紹介します。

ノーマライゼーションとは?意味や歴史を解説

『ノーマライゼーション』は、より良い世の中にするために欠かせない概念です。言葉自体は見聞きしたことがあっても、意味を知らない人は多いのではないでしょうか?ノーマライゼーションが誕生した背景を交えながら、意味・定義を解説します。

■ノーマライゼーションの意味と定義

ノーマライゼーションとは、障害者・高齢者・社会的マイノリティーなどの社会的弱者が排除されたり、特別視されたりしない社会を実現しようとする概念です。

英単語の『normalization』には、標準化や正常化という意味があります。かつての社会では、健常者と障害者を区別するケースが多く見受けられました。就労における差別や物件の入居拒否がその例です。

障害の有無にかかわらず、全ての人が同等の権利を有する社会を『正常(normal)』とした上で、正常な社会を目指すことがノーマライゼーションの本質です。

厚生労働省におけるノーマライゼーションの施策

厚生労働省では、ノーマライゼーションの理念として、『障害のある人もない人も、互いに支え合い、地域で生き生きと明るく豊かに暮らしていける社会を目指す』を掲げています。

出典:厚生労働省:障害福祉施策の考え方

主に、障害者の自立と社会参加の促進に力を入れており、以下のような施策を行っています。

  • 利用者が福祉サービス事業者と直接契約できる利用制度の導入
  • 入院する精神障害者の処遇改善
  • 地域における精神障害者の生活支援
  • 障害者への情報提供の充実化
  • 全国障害者スポーツ大会の開催
  • 手話・点訳を行う奉仕員の養成および派遣

■ノーマライゼーションが浸透するまでの歴史

ノーマライゼーションを最初に提唱したのは、デンマーク人のN・E・バンク=ミケルセン(1919~1990)です。

知的障害者施策を管轄する社会省の行政官だった彼は、知的障害者が隔離・収容・断種という非人間的な扱いを受けている事実を知り、『どのような障害があっても、一般の市民と同等の生活と権利が保障されなければならない』というノーマライゼーションの考えを提唱しました。

障害者の子どもを持つ親たちと社会運動を展開した結果、1959年にデンマークで『知的障害者福祉法(1959年法)』が成立します。この法律の中で、ノーマライゼーションという言葉が初めて使われました。

ノーマライゼーションにおける2つの課題

国際連合の旗

(出典) pixta.jp

国連総会は、1981年を『国際障害者年』と定め、『障害者の完全参加と平等』を呼び掛けました。日本でも、国際障害者年推進本部を設置し、障害者への本格的な施策を開始しました。

現在、ノーマライゼーションという言葉自体は、徐々に社会に浸透し始めましたが、課題は少なくありません。

■職場に定着しにくく離職リスクが高い

従業員が一定数以上の規模の企業では、障害者の割合を法定雇用率以上にする義務があります。障害者を雇用している企業では、障害者の定着率の低さが課題です。

厚生労働省では、障害者求人および一般求人の定着率(2017年度)を公表しています。一般求人に障害開示で就職する場合の「一般求人(開示)」の1年後の定着率は、以下の通りです。

  • 身体障害者:52.8%
  • 知的障害者:46.2%
  • 精神障害者:45.1%

定着率が約半数に下がる理由としては、職業のミスマッチのほかに、企業におけるサポート体制が構築されていないことが考えられるでしょう。障害者の受け入れ実績が少ない企業では、周囲の配慮不足も問題になっています。

出典:障害者雇用の促進について関係資料|厚生労働省

■企業・一般の人の理解が浅い

政府や民間団体は、ノーマライゼーションを広める取り組みを行っていますが、社会全体に浸透しているとはいえないのが現状です。

障害者を差別したり、特別視したりする風潮は消えてはおらず、肩身の狭い思いをしている人もいます。「障害があってかわいそう」という考え方は、差別につながることを忘れてはいけません。

日本は、まだまだ健常者や多数派を中心とした社会です。障害のある人やマイノリティーが当たり前に生活をするには、社会の仕組みや基盤を整備する必要があるといえます。

企業がノーマライゼーションに取り組むには

車いすで働く女性

(出典) pixta.jp

全ての人が生き生きと暮らす社会を実現するには、企業がノーマライゼーションに目覚める必要があります。具体的に、どのような取り組みを行えばよいのでしょうか?身近な事例を紹介します。

■取り組みやすいものから始める

企業が取り組みやすい施策の一つに、オフィスや店舗のバリアフリー化が挙げられます。バリアフリーとは、生活する上でのさまざまな障壁(バリア)をなくすことです。

例えば、スロープを設置して段差を解消すれば、足の不自由な人や車いすの人の出入りが容易になります。視覚障害者のために音声案内を流したり、聴覚障害者向けの案内表示を多くしたりする方法もあるでしょう。

障害者を雇用している企業では、個々の事情を考慮したマニュアルの整備や業務フローの改善が求められます。チャットや音声読み上げサービスなど、最新のデジタルツールを取り入れる方法も有効です。

■ノーマライゼーションの事例から学ぶ

大手企業では、中小企業や小規模企業者よりもノーマライゼーションの取り組みが進んでいます。

例えば、りそなホールディングスでは、店舗に訪れる障害者や高齢者などのために、優先ATMや視覚障害者対応ATM、優先シートを設置しました。

りそな銀行・埼玉りそな銀行では、取引内容を点字で通知する『預金取引通知サービス』を導入し、聴覚障害者の利便性向上を目指しています。また、認知症サポーターを配置するなど、高齢者への支援も行き届いています。

出典:ノーマライゼーションへの取り組み|人権|りそなホールディングス

ノーマライゼーションで誰もが生きやすい社会に貢献

書類をチェックする人事

(出典) pixta.jp

ノーマライゼーションは、デンマークで知的障害者福祉法が成立した1959年頃から、徐々に世界で認知されるようになりました。日本でも福祉や障害者に関する法律が制定されていますが、ノーマライゼーションへの取り組みはまだまだ不十分であるといえます。

誰一人取り残されない社会を実現するには、障害者をはじめとする社会的弱者の現状を理解するところからスタートする必要があります。国の施策だけに頼らず、企業や個人ができる身近な事例を考えてみましょう。

構成/編集部

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