国内の各携帯電話会社で培ったノウハウを活かせるか
この十数年、国内のモバイル業界は、端末を供給するメーカーの顔ぶれが大きく変わってしまった。ケータイ時代に市場をリードしていた国内メーカーは事業縮小や撤退などによって、現在はシャープ、ソニー、京セラなど、限られたメーカーのみが端末を供給している。
その一方で、市場でシェアを拡大してきたのが海外メーカーだ。なかでもAppleはiPhone投入から約10年で、市場の半数近くを占めるほどの成長ぶりを見せたが、近年は高価格路線が受け入れられず、販売は一時期の勢いを失いつつある。これに対し、最近ではXiaomiやOPPOといった中国勢が存在感を増しつつあり、Lenovo傘下といった老舗メーカーのモトローラも次々と新製品を投入し、着実に支持を拡げようとしている。
今回、「nubia」ブランドの新製品2機種を発表したZTEジャパンは、他の端末メーカーと違い、ケータイ時代から各携帯電話会社が求める仕様の端末を供給してきた実績を持つ。「nubia」というブランドはまだ認知度が低いが、グローバル市場において、デザインの良さやコストパフォーマンスの高さが支持されている状況を鑑みると、国内でも十分に戦えるポテンシャルを持っていると言えそうだ。今回発表された「nubia Flip 5G」と「nubia Ivy」は、すでにワイモバイルで「Libero Flip」、ソフトバンクで「あんしんファミリースマートフォン」として、それぞれ採用されていることを考慮すると、『キャリアモデル』としての採用でユーザーの認知度を高めつつ、オープン市場向けにも同等の製品を投入することで、幅広いユーザーを獲得していくという戦略も展開できそうだ。グローバル市場で発売したばかりのフラッグシップモデル「nubia Z60 Ultra」なども意外に早い時期に国内展開が期待できるかもしれない。
今後、ZTEジャパン「nubia」ブランドをどのようにアピールし、ラインアップを拡充していくのか、市場でどう受け入れられていくのかを注目していきたい。
取材・文/法林岳之
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。