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「天網恢恢疎にして漏らさず」は誰の言葉?読み方、意味、使い方を解説

2024.04.11

「天網恢恢疎にして漏らさず」ということわざをご存じだろうか。

ビジネスシーンや日常生活で使う機会は多くないため、正しい意味や使い方を理解している人は少ないのではないだろうか。読み方すらわからないという人もいるかもしれない。

本記事では、「天網恢恢疎にして漏らさず」について、例文や類義語・対義語を交えながら解説していく。誰の言葉が元になっているのか知りたい人も、ぜひ参考にしてほしい。

「天網恢恢疎にして漏らさず」とは?

「天網恢恢疎にして漏らさず」は、あまり聞き慣れない言葉であると推測される。そこでまず、読み方と意味、由来を確認していこう。

■読み方と意味

「天網恢恢疎にして漏らさず」を辞書で引くと、意味は以下の通り。

読み方:てんもうかいかいそにしてもらさず

《「老子」七三章から》天の張る網は、広くて一見目が粗いようであるが、悪人を網の目から漏らすことはない。悪事を行なえば必ず捕らえられ、天罰をこうむるということ。

引用:weblio辞書/デジタル大辞泉(小学館)

読み方は「てんもうかいかいそにしてもらさず」で、大まかな意味は「天は悪人を見逃さない」ということだ。「天網恢恢疎にして失わず」と書くこともある。

言葉を区切って見ていくと、天網は天に張りめぐらされた網=この世の摂理や道徳、恢恢は大きく包み込むように、ゆったりとしたさまを表す。これらを組み合わせると、この世にある自然の摂理や道徳には目が粗く抜けているところもあるが、悪事や不正を働いた者は捕らえられて罰せられるという意味になる。

また、悪人は裁かれる、悪は滅びるという意味を持つのと同時に、正義は必ず勝つ、正しい行ないをすべきという価値観・戒めでもあると考えられている。

■由来

「天網恢恢疎にして漏らさず」は、中国に古くから伝わることわざに由来している。言葉の発端は、数々の名言を残した中国の哲学者である老子。老子第七十三章中の句として「天網恢恢疏而不失」が登場している。

「天網恢恢疎にして漏らさず」の使い方

「天網恢恢疎にして漏らさず」のことわざは、悪事や不正を働いた者・状況に対し、もしくは悪いことを防ぐための戒めとして使用できる。ビジネスシーンや日常で使う機会はあまり多くないが、教養を深めるため、2パターンの例文を確認しておこう。

■悪事や不正が明るみになり、報いを受ける状況への使い方

悪事や不正を働いた者・状況に対する例文は、以下の通り。

Aさんは後輩に仕事を押しつけて遊び惚けていたところを上司に見つかり、しばらくの謹慎を言い渡されたらしい。「天網恢恢疎にして漏らさず」のことわざ通り、悪事に対する天罰は即座に下るのだ。

上記では、Aさんは仕事を放り出して遊んでいることをまさか見つからないと思ったが、意外なところで上司に遭遇するなどし、謹慎といった処分を受けたということになる。人は見られていないようで案外見られており、まさに「天網恢恢疎にして漏らさず」なのだ。

■正しい行ないをすることへの戒めとしての使い方

悪に手を染めず、正しい行ないをすることへの戒めとしての使い方は、以下の通り。

・偽ブランド品を安く仕入れ、正規品と同じ値段で転売していた業者が捕まったとニュースで見た。何事にも不正を働いたりせず、まっとうな道を行くべきなのだ。「天網恢恢疎にして漏らさず」という言葉もあるしな。

上記は不正を働く転売ヤーを例に、不正はいけない・正しい行ないをすべきという戒めとしてことわざを当てはめた例文だ。損得を考える時に、ぜひ頭の片隅に置いておきたい言葉でもあるだろう。

「天網恢恢疎にして漏らさず」の類義語

天網恢恢疎にして漏らさずの類義語には、「信賞必罰」や「天罰覿面」、「眼は天を走る」などがある。以下では、意味を詳しく確認していこう。

■信賞必罰

「天網恢恢疎にして漏らさず」と同じ中国発祥の言葉には、「信賞必罰(しんしょうひつばつ)」がある。意味は功績のある者は賞し、罪を犯した者は罰するだ。犯した罪は必ず自分に返ってくるという意味で、よく似た言葉と分かるだろう。

■天罰覿面

「天網恢恢疎にして漏らさず」に極めて近い意味合いを持つのが、「天罰覿面(てんばつてきめん)」だ。覿面とは物事の効果・報いはすぐ目の前にあることを指し、「悪事を働いた天罰はたちまち現れる」といった意味を持つ。

■眼は天を走る

「眼は天を走る(まなこはてんをはしる)」は、「天網恢恢疎にして漏らさず」と視点が似ている言葉の一つ。鋭い洞察力を持った天の目はどんな悪事も見抜いてしまうため、行動には配慮しなければならないとの意味がある。

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