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「起承転結」は、わかりやすく文章をまとめる際に使われる文章構成の一つ。小学校で作文を書く際に習った人も多いのではないだろうか。
作文の他にも、小説や曲、論文などさまざまなものに使用されている起承転結だが、本来の意味や、シーンごとに異なる活用の仕方を気にかける人は少ないだろう。ビジネスシーンでは起承転結の型が合わない場面に遭遇することもあるため気をつけたい。
そこで本記事では、起承転結の意味や由来、シーン別での起承転結の活用の仕方、ビジネスシーンで利用する際の注意点などを解説する。ぜひこの機会に正しい起承転結の活用方法を押さえておこう。
「起承転結」の由来やそれぞれの意味、例文
文章の構成の仕方を意味する起承転結は、「物事の順序や組み立て」の意味もある。はじめに「起承転結」四文字それぞれの役割や言葉の由来、例文を確認していこう。
■由来
起承転結は元々、漢詩の世界で用いられた詩型の一つ。
漢詩には四句からなる「絶句」があり、「起句」「承句」「転句」「結句」で構成される。「起句」で詩の内容を言い起こし、「承句」で受け、「転句」で発展させて、「結句」でまとめる流れだ。短い文章の中で読み手に詩の内容を簡潔に伝えるテクニックとして起承転結が使われた。
■起承転結は文章をわかりやすく構成するのに役立つ
起承転結の型を使って、まとまりのある文章を書くためには、四つのパートそれぞれがどのような役割を果たすかを押さえておく必要があるため以下で解説する。
起:これから書かれる話が展開するきっかけとなる部分。内容を理解するのに役立つ前提条件やものごとの背景、設定などを記載する。
承:内容の深掘りをするパート。次の「転」で何かが起こることを予感させるのも効果的とされる。
転:文章全体でもっとも伝えたい内容を盛り込む本題部分。前の部分までの流れを変える出来事が起こり、4つの中でもっとも盛り上がる場面と言える。
結:結果やしめくくり。全体を通して伝えたいことを含める。
起承転結で文章を書く際は、始まりと終わりを簡潔にし、「承」と「転」の配分を多くするのがポイント。
■物語で見る起承転結の例
起承転結を理解するには、起承転結の流れを持つ物語を分解して考えるとわかりやすい。今回は『桃太郎』を例に見ていこう。桃太郎を起承転結の四つのパートに分けると以下の通りになる。
【桃太郎】
起:おばあさんが川で大きな桃を発見。桃の中から桃太郎が生まれる。
承:鬼ヶ島の噂を聞いた桃太郎は鬼ヶ島へ鬼退治へ向かう。道中で犬やキジなど仲間を集める。
転:桃太郎は鬼ヶ島で鬼と対決する。
結:桃太郎たちは鬼を倒すことに成功し、村に財宝を持ち帰る。
また「起承転結」の言葉を日常で使う場合の例文も紹介する。
■起承転結という言葉を使った例文
・彼のプレゼンは起承転結があって分かりやすいと好評だ。
・事の起承転結を報告しなくて良いから、結果だけを教えてほしい。
シーン別・起承転結を使った文章の書き方
起承転結は、小説や曲などさまざまな構成に使用される。今回は多くの人が執筆する機会を得やすい作文や小論文、論文を作成する上で活用できる起承転結の書き方を見ていこう。
■作文
テーマに沿って自分が感じたことを書く作文は、論文や小論文と比較すると、定型がなく自由度が高い。
「何から書いて良いかわからない」状態に陥らないためにも起承転結の構成を意識して書くのがおすすめだ。「起」で執筆テーマを説明し、「承」で詳細説明、「転」で伝えたいことを盛り込み、「結」で全体をまとめていく。
■小論文
高校や大学入試、就職活動で提出を求められることのある小論文。それぞれに以下の内容を含め、テーマに沿った説得力のある文章を書く必要がある。
起:問題提起
承:自身の意見
転:客観的なデータの提示
結:自身の意見を再提示し、全体をまとめる
■論文
論文は、仮説を検証した研究結果などをまとめる際に用いられる。
論文は事実を述べるもののため「転」のパートは不要とされ、「起」「承」「結」それぞれを「序論」「本論」「結論」とする。序論で主題を示し、本論で、主題で述べたことをサポートする例などを提示、結論で再び主題を提示して総括する。
ビジネスシーンでの「起承転結」使用時の注意点
ビジネスシーンでは、必ずしも起承転結の型が好まれるとは限らないため、状況にあわせて使うようにしよう。
■起承転結が適さない場合がある
ビジネスシーンでは効率性が重視されるため、「結論」をはじめに伝えるのが良しとされるケースがほとんど。ストーリー性が重視されるプレゼンテーションの場では、聴衆が理解しやすいよう、はじめに結論を示した上で、起承転結の構成を使うパターンもあるだろう。
■ビジネスシーンにおすすめの文章構成
限られた時間の中で行う商談や、ビジネス上のメール作成時に役立つ文章構成法に「PREP(プレップ)法」がある。PREP法は「Point(結論)」「Reason(理由)」「Example(具体例)」「Point(結論)」のそれぞれの頭文字をとったもの。
PREP法を意識しながら必要な5W1Hを漏れなく組み込むと、簡潔で分かりやすい文章となる。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部