ドクタートラストは同社が運営するストレスチェック研究所において、ストレスチェックサービスを利用した累計受検者200万人超のデータを活用し、さまざまな分析を行なっている。
今回は2022年度にストレスチェックサービスを利用した受検者のうち、高ストレス者(E判定)となった1万8389人のデータをもとに、女性の年齢別に高ストレス者率分布を分析。結果をグラフにまとめたリポートが到着したので概要をお伝えする。
高ストレス者率とは何か
ストレスチェック制度は、従業員のメンタル不調の予防やその気付きを促すこと、また、ストレスが高い人の状況把握やケアを通して職場環境改善に取り組むことを目的として制定され、2015年12月以降、従業員数50名以上の事業場で年1回の実施が義務づけられている。
高ストレス者率とは、実際に受検をした人の中で、高ストレス状態であると判定された人がどれくらいいるかを示した割合になる。
図1
図1は、女性受検者全体(18歳から65歳)のストレス度合の分布を示したグラフで、高ストレス者(E判定)率は、13.94%だった。
ドクタートラストのストレスチェックは、個人のストレスレベルを5段階(A~E)で評価する。Aはストレスが最も低く、Eが最も高い。
以下では、上記のうち高ストレス者と判定された合計1万8389人のデータをもとに、年齢別の高ストレス者率分布を分析している。
■女性の高ストレス者率は30代後半が最も高く、60~65歳が最も低い
図2
図2は女性の過去4年分における年代別の高ストレス者率分布を示した表になる。
高ストレス者率が最も高かったのは、2019・20年度が「30代前半」、2021・22年度が「30代後半」でした。高ストレス者率は30代を中心に高くなる傾向があり、2023年度も同様の傾向がみられる可能性もある。
一方で、過去4年継続して同比率が最も低かったのは、「60~65歳」だった。2023年度でも、60歳を過ぎると高ストレス者は著しく下がる傾向がみられるかもしれない。
■女性の高ストレス者率は37歳が最も高く、58歳以降は毎年低くなっていく
図3
図3は女性の年齢別高ストレス者率を示したグラフだ。
女性で高ストレス者率が最も高いのは37歳(16.92%)で、32歳(16.91%)、38歳(16.75%)、30歳(16.55%)、31歳(16.41%)と続いている。
一方で、同比率が最も低いのは65歳(5.55%)で、64歳(7.71%)、63歳(8.74%)、62歳(8.77%)、61歳(9.86%)の順。
58歳以降では、年齢を重ねるごとに高ストレス者率が低下している。
さらに、28歳から40歳までは高ストレス者率が15%を継続して超えていることがわかった。
■YouTubeでも解説動画公開中
女性の年齢と高ストレス者率の関係性を調査した結果、高ストレス者率は28歳から40歳にかけて高水準が続き、32歳と37歳でそれぞれピークを迎えている。
過去の4年分を見ても、30代で高ストレス者率が高くなる傾向がみられる。
「令和4年(2022)人口動態統計」(厚生労働省)では、女性の平均初婚年齢は29.7歳となっている。また、出産時の母の平均年齢は、第1子が30.9歳、第2子が32.8歳だった。
晩婚化・晩産化が進んでいる現状において、30~32歳にかけて高ストレス者率が高い背景には、婚期の不安や出産時期などが影響しているかもしれない。
また、37歳前後は第1子が就学する時期もあり、ワークライフバランスが崩れやすいことが考えられる。
加えて「令和4年度雇用均等基本調査」(厚生労働省)によると、女性の管理職は年々増加傾向にあり、企業としても女性の管理職登用に向けて教育に力をいれている昨今では、37歳前後が特にストレスを感じやすい可能性がある。
一方で、40歳を過ぎると高ストレス者率は比較的減少する傾向がみられる。女性の30代はストレスが溜まりやすいことを知り、上手にストレスと付き合う方法を準備しておくとよいかもしれない。
調査概要
調査期間/2022年4月1日~2023年3月31日
調査対象/ドクタートラスト・ストレスチェック実施サービス2022年度契約企業・団体の一部
有効受検者数/13万1912人
関連情報
https://www.stresscheck-dt.jp/stella/
構成/清水眞希