ほとんどのフリーランスは、企業と取引をして収入を得る。企業の中の人とやり取りする上では、最低限のビジネスマナーやコミュニケーション能力が必要だ。そのため、社会人経験があると役に立つ場合が多い。
では実際のところ、フリーランスになる前に社会人経験がある人はどれくらいいるのだろうか?
GMOクリエイターズネットワークはこのほど、フリーランスに特化した金融支援サービス「FREENANCE byGMO」のユーザー649名を対象に「フリーランスになる前の会社員経験」をテーマにしたアンケートを実施し、その結果を発表した。
約90%がフリーランスになる前に会社員を経験
フリーランスとして活動する前に、会社員を経験したかを尋ねると、88.9%が「経験した」と回答した。近年は会社勤めを経験せずフリーランスになる「新卒フリーランス」という働き方が存在することも浸透しつつあるが、この調査では会社員経験者が圧倒的に多いことがわかった。
会社員経験者に、フリーランスとして活動する前に会社員を経験してよかったと思うかと質問すると、「思う」が81.8%で、「やや思う」と合わせると95.8%となった。ほとんどの回答者が、会社員時代の経験をポジティブにとらえていることがわかった。
会社員時代の経験で最も役立っているのは、言葉遣いなど「社会人の基本マナー」
会社員を経験したフリーランスに、会社員時代に身につけることができてよかったことを質問した。「社会人の基本マナー」が最も多く74.9%を占め、「人脈」「PCスキル」などを上回る結果となった。フリーランスとして活躍するにはスキルも重要だが、上司や先輩がいる会社だからこそ学べる基本マナーのありがたみを実感する傾向にあるようだ。
具体的にどのような基本マナーが役に立ったかを、本調査の回答者一部に後日調査したところ、「メールの書き方。社外の人に対する敬語表現などを学んだ(エンジニア)」「電話とメールの使い分け。内容やタイミングによって電話とメールのどちらが適切か判断できるようになった(ライター)」「独立前に経験した接客業で顧客に対する言葉遣いや態度を学んだ。一方で、対面での接客が中心だったためメールの作法を深く知らず、独立後、メールを送る際に敬称の使い方を間違ってしまった(士業)」などの声があった。
フリーランスになる前に経験しておきたい会社の部署は「営業や経理」
将来フリーランスになるなら会社員時代にどの部署を経験しておくのがいいかを尋ねると、「営業・マーケティング部」が61.7%で最も多くなり、顧客と接する機会が多くマナーやコミュニケーション能力が身につきやすいため、多くの人が経験しておきたいと考えたと推測される。次点は「経理・財務部」で、お金の知識を習得できる部署が挙がった。
独立するまでの会社員経験の期間の長さ「関係ない」
最後に、フリーランスになる前に会社員を経験した人に、どのくらいの期間会社員を経験するのが理想的かと質問すると、「期間は関係ないと思う」という回答が40.4%となり最も多くなった。会社員時代の経験はフリーランスになって役立つことは実感していても、期間は気にしない人も多いようだ。
まとめ
今回の調査から、新卒フリーランスという働きが存在することも定着しつつある中、多くのフリーランスは会社員としての経験を重要視しており、フリーランスにとっての成功において、技術的スキルだけでなく、ビジネスコミュニケーションやマナーが非常に重要であると考えていることがわかった。
また、会社員としての経験は期間の長さが重要なのではなく、個人が得た学びや準備が整った期間次第によるため、どのようなタイミングでキャリアを形成していくかについては、柔軟な考え方であるということがわかった。
<調査概要>
調査テーマ:フリーランスになる前の会社員経験に関するアンケート
調査対象:「FREENANCE byGMO」に登録しているユーザー649名
調査期間:2024年2月14日(水)~2月19日(月)※一部後日追加調査あり
有効回答数:649件
調査方法:インターネットによる調査※一部後日電話による追加調査あり
調査主体:「FREENANCE byGMO」
構成/こじへい