和歌山県串本町にて、民間企業「space-one(スペースワン)」の製造するロケット「カイロス」の打ち上げが行われたのは2024年3月13日のこと。
ロケットの打ち上げが見られるなんて、一生に一度あるかどうかかもしれない!…そう思い、クロスカブに飛び乗って現地の様子を見に行って参りました。
打ち上げ場が作られた荒船海岸の過去の様子と共に、打ち上げ日のレポートをお送りします!
ロケットがやってきた!
本州の最南端に位置する街、和歌山県串本町。2019年、人口1万4000人ほどのこの町にロケットの発射場が作られることが決定しました。
複数の候補地から串本町が選ばれたのは、ロケットが安全に発射されるための条件「半径1kmが恒常的に無人である」「発射店から南方に陸地や島が存在しない」「本州の後方から低コストで物資輸送が可能」に当てはまる上に、地元住民の熱意が決め手となったのだそう。
実際に町内には「ロケットの町 串本」という横断幕やのぼりが多数かかげられ、地元住民が盛り上がり、またロケット目的で訪れる観光客を歓迎してくれている様子が窺えました。
――さて、串本にスペースワンがやって来たことを筆者が知ったのは、誘致から2年後の2021年のこと。打ち上げ場が作られたエリア「荒船海岸」付近に、そうとは知らずにツーリングで訪れたことがきっかけでした。
荒船海岸とは串本町の東側にのびるエリアで、荒々しい波に削られた奇岩が並ぶダイナミックな景色が特徴です。3kmほどの道が作られかつては小規模な集落があったそうで、筆者が訪れた際も舟が置かれていたりキャンプ場の跡地が残されていたりと、人々の営みの気配が残されていた思い出があります。
一部を除いては車1台分ほどの幅のガードレールのない道が続き、スリルを感じながらも臨場感ある景色や、顔に直接吹き付ける潮の香りに大興奮。あまりの狭さに車であれば楽しんで走る余裕がなかったかもしれませんが、身軽なバイクで来たからこそ冒険心がくすぐられ、これまで走った中でも有数のお気に入りスポットとなりました。
ロケットの発射場が作られたのは、そんな荒船海岸沿いの山の中。
山へ向けて伸びる道の入り口に「この先スペースポート紀伊 ロケット発射場用地につき 関係者以外立ち入り禁止」と書かれた看板が建っていたことから、筆者はロケット発射場の存在を知りました。
当時はまだ発射場ができたばかりで、具体的なスケジュールは未定。そのため筆者も「ふーん」と思っただけで現実的に捉えられず、そのまま3年近くもスペースワンの存在を忘れてしまっていたのでした。
ちなみに打ち上げ当日の荒船海岸への入り口は封鎖されており、関係者以外の侵入は禁止。
もしかしたらこの写真を撮影した時(打ち上げから約3時間後)は、この奥でちょうどスペースワンの社員さんたちが打ち上げ後の現場調査をしていたのかもしれませんね。