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近年、『CEO』という役職を取り入れる企業が増えています。CEOとは、どのようなポジションなのでしょうか?
CEOの役割や、広まった背景などを紹介します。混同しがちな『COO』などとの違いも把握し、知識を深めましょう。
CEOの役割と日本で広まった背景
『CEO』は、従来の日本企業にはなかった役職であるため、どのような存在なのか、よく理解していない人もいるでしょう。主な役割や、日本企業に取り入れられるようになった背景を紹介します。
■CEOとは企業の経営における責任者
CEOは、英語の『Chief Executive Officer』の頭文字をつなげた略称です。日本語では『最高経営責任者』や『代表取締役』と訳され、企業のトップに位置する人物を指します。
近年は、CEOの肩書を使用している企業が増えていますが、日本の法律で明確に規定されているわけではありません。そのため、社長という意味でCEOを使用している企業や、代表取締役という意味で『President and CEO』という表記を使用している企業など、肩書の取り入れ方はさまざまです。
■CEOを取り入れるようになった背景
日本企業では、長きにわたって、代表取締役が企業経営や遂行を監督する『監査』と、業務遂行に関わる意思決定と遂行を行う『執行』の二つの役割を務めてきました。
しかし、1991年ごろのバブル崩壊とそれに続く経済低迷によって、従来の企業統治方法を疑問視する人が増え、改革の必要性が認識されたのです。改革に当たり、アメリカの企業統治制度を参考にした企業がCEOを使ったことが、日本で広まるきっかけになったといわれています。
また、アメリカの企業統治制度を取り入れて、個々の役割を明確化し、透明性のある経営を行なうことが投資家の信頼を得ることにつながるというのも、広まった背景といえるでしょう。
CEOが担う仕事の内容
CEOが重要な役割を担っていることは分かっていても、実際に行なっている業務をよく知らない人は少なくありません。主な仕事内容を把握し、職種への理解を深めましょう。
■経営戦略の策定・業務執行の統括
取締役会などで決定した内容に基づき、目標に向けて具体的に何をするのか経営戦略を練る役割があります。また、目標達成のために経営ビジョンを明確にし、社内に浸透させる役割も担っています。
会社全体の業務執行を統括するのも、大切な仕事です。『COO(最高執行責任者)』や『CFO(最高財務責任者)』などの役職が在籍する場合でも、各部門の業務の執行状況などを把握し、管理・統括する役割があります。
■ステークホルダーとのコミュニケーション
企業の持続的な成長を実現するためには、ステークホルダーの信頼を確保することが必要です。ステークホルダーとは、株主・投資家・金融機関・取引先など、企業との利害関係者を指します。
CEOにとって、ステークホルダーとコミュニケーションを取り、企業情報を適切に開示することも重要な役割の一つです。2015年に金融庁と東京証券取引所によって策定された『コーポレートガバナンス・コード』においても、経営の透明性を高めるための企業情報の開示が求められています。
CEOと似て非なる役職とその役割
CEOと混同しがちな、役割が異なる役職を三つ紹介します。それぞれの主な役割も確認し、違いを把握しましょう。
■COOは責任の範囲が違う
COOは英語の『Chief Operating Officer』の頭文字をつなげた略称で、日本語では『最高執行責任者』と訳されます。CEOが決定した経営方針に基づき、業務を執行するうえでの統括を行なうのがCOOの役割です。
CEOとCOOは、責任の範囲も異なります。CEOが経営における全ての責任を負うのに対し、COOの負う責任は限定的です。アメリカ企業では、会長がCEO、社長がCOOを兼任するケースが多く見られます。
■代表取締役はとの違い
日本では、CEOが代表取締役として使用されていることが珍しくありません。しかし、代表取締役は日本の会社法で取締役のトップとして定義されているのに対し、CEOは定義されていないという大きな違いがあります。
代表取締役は対外的な企業のトップで、法的な責任と権限を有する重要な地位ですが、CEOの場合は法律に基づいた責任や権限を有するかは不明です。また、CEOは1社に1人が一般的ですが、代表取締役は複数人いる場合もあります。
■社長との違い
続いては、社長との違いについてです。社長とCEOは、日本の会社法で定められていない点は同じです。また、規定はないものの、企業のトップに位置する人を指すことが多い点もCEOと変わりません。
明確な定義がないため、社長の権限は企業によって異なります。社長がCEOよりも下の権限を持つケースや、社長がCEOやCOOの権限を兼ねているケースなど、さまざまです。
ちなみに、会長や副社長なども会社法で定められておらず、責任や権限は企業ごとに異なります。
CEOとは日本の法律にはない役職
CEOは『最高経営責任者』や『代表取締役』と訳され、企業のトップに位置する人物のことです。アメリカの企業統治制度を参考に取り入れられた役職で、日本の法律で定義されていません。
CEOには、経営戦略を練ったり、業務執行の統括をしたりなど、重要な役割があります。ステークホルダーとコミュニケーションを取り、良好な関係を継続できるように努めるのも役割です。
構成/編集部