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「賜物」とは、何らかの試練を乗り越えたことで得られる、良い結果などを指す言葉です。また、異なる意味もあります。
この記事では、賜物の意味や、「賜物です」「賜物と存じます」などの使い方を解説します。あわせて類語・言い換え表現、対義語表現も確認しましょう。
賜物とは?意味や例文などの基礎知識
■「賜」の読み方と意味
賜物の読み方は「たまもの」ですが、「物」をつけずに「賜」とだけ書いた場合の読み方も「たまもの」です。また、「賜」とだけ書いた字を音読みした場合は「シ」、「賜る」と書いた場合には「たまわる」と読みます。
「賜」という漢字の意味は、「上位の者が下位の者に物などを与えること」などです。
賜物と賜、どちらでも「たまもの」と読むものの、一般的には賜物と表記することが多いようです。
■意味は試練を乗り越えて得られる良い結果
賜物とは、「何らかの試練を乗り越えて得られる良い結果」などを意味します。この場合、「苦労の賜物」や「努力の賜物」などと表現することが多いです。
また、「恩恵や祝福として与えられたもの」という意味もある言葉です。このような意味を表現したい場合には、「水は天からの賜物だ」などと用います。
また、目上の人からの恩恵によって良い結果を得られたときに、「ご指導の賜物です」などと表現します。
賜物の使い方
では、使い方をさらに詳しく見ていきましょう。
■ビジネスシーンでの使い方を例文で確認
賜物は、ビジネスシーンでもよく用いられている表現です。大勢の人の前でスピーチをおこなうときなどに、「努力の賜物」「ご支援の賜物」「ご尽力の賜物」「お力添えの賜物」などの表現が定型文のように使われています。
・このような賞をいただけたのは、ひとえに皆さまからのご支援の賜物です。深く感謝申し上げます。
・ここまで仕事を続けてこられたのは、皆さまからのご指導の賜物です。
・今回の研究による発見は、日頃からのお力添えの賜物と存じます。この場を借りて深く感謝申し上げます。
・彼の作品がこれほどまでに評価されたのは、偶然ではなく長年の努力の賜物だと思います。
■賜物を使用する際の注意点
賜物を使用する際は、相手との関係性に注意が必要です。
一般的に、賜物は目上の人が部下など周りの人の成果を褒めるときや、目上の人が周りへの感謝を伝える場合に用いることが多い表現です。
もしも、目上の人が良い結果を出したときに「努力の賜物ですね」と伝えてしまうと、相手に対して礼を欠いた言動になってしまいます。
目上の人に使う場合には、「賜物と存じます」などのように自分をへりくだる謙譲語表現をすると良いでしょう。
賜物の類義語・言い換え表現や対義語
あわせて、賜物の関連語も確認しておきましょう。
賜物の類義語・言い換え表現や対義語表現は、以下のとおりです。
<賜物の類義語・言い換え表現>
・恩恵
・賜り物
・頂き物
・産物
・結晶
<賜物の対義語表現>
・弊害
・悪影響
・不都合
それでは、これらの言葉の意味などを詳しく解説します。
■賜物の類義語・言い換え表現
賜物の類義語・言い換え表現は以下のとおりです。
・恩恵……目上の人から得た良いこと。恵み。
・賜り物……頂いたもの。もらったもの。
・頂き物……人からもらったもの。
・産物……努力や行動によって生み出した結果。
・結晶……小さな分子や原子が集まり、一つの形を成したもの。小さな積み重ねによって生み出した結果。
賜物の持つ意味のうち、「恩恵や祝福として与えられたもの」という意味に近い表現が「恩恵」「賜り物」「頂き物」です。「何らかの良い結果」という意味には、「産物」「結晶」などが近いといえます。
ただし、「賜り物」「頂き物」は目に見える品物を受け取った場合にしか使えません。また、「結晶」は本人が積み重ねたことによる結果にしか使えないことなど、使い方には違いがあります。
■賜物の対義語
一方で、賜物の対義語表現は以下のとおりです。
・弊害……行動や制度などによって引き起こされる予期しない問題や悪い影響。
・悪影響……悪い方向へと影響を与える事柄。
・不都合……何らかの問題が生じること。
賜物とは、恩恵や祝福として与えられたものや何らかの試練を乗り越えて得られる良い結果を指します。その反対の意味を持つ対義語は、何らかの悪い影響や悪い結果などを表す言葉だといえるでしょう。
賜物を適切な場面で使おう
「たまもの」と漢字表記したい場合、賜物と表記しても、賜とだけ表記しても、どちらでも間違いではありません。賜物と表記するケースが多いでしょう。
賜物は、大勢の人の前でスピーチを行なうときなどによく用いられている表現です。ビジネスシーンで良い結果を残せたときに、「皆さまのご支援の賜物と存じます」などと自然に伝えられるように、言葉を理解して正しく使いましょう。
構成/chihaya