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「ご覧ください」という言葉は、「ご覧になる」と「ください」をあわせた丁寧な敬語表現です。ビジネスなどの失敗したくないシーンでも使う表現であり、正しく表現するにはどうすれば良いのか迷うケースがあるでしょう。
この記事では、「ご覧ください」の意味や敬語表現の種類、「ください」「下さい」の違い、使い方の注意点、例文を解説します。あわせて類語・言い換え表現も確認しましょう。
「ご覧ください」とはどんな言葉?
「ご覧ください」の読み方は、「ごらんください」です。ビジネスシーンなどで使う言葉で、使用する際は漢字表記や表現などに注意すべきポイントがあります。
はじめに、ご覧くださいという言葉の基礎知識を解説します。言葉を正しく理解していきましょう。
■「見てください」を意味する敬語
「ご覧ください」とは、見るように依頼する意味の敬語表現です。見てくださいという言葉自体もすでに敬語ですが、ご覧くださいはそれをより丁寧にした表現だといえます。相手への尊敬を伝える言葉であり、上司や取引先の相手にも問題なく使えます。
なお、「ご覧ください」の「覧」とは、「よく見る」「眺める」という意味の言葉です。
■「ご覧ください」は尊敬語を用いた丁寧な表現
「ご覧ください」は、「ご覧」と「ください」を組み合わせて使っています。「ご覧」とは「見ること」の尊敬語で、「ください」とは「くれ」という動詞の尊敬語です。「ください」は「くださる」の命令形でもあり、相手に物事を請求する意味があります。
なお、「ご覧になってください」を省略した言葉が「ご覧ください」です。
「ご覧ください」の使い方
意味を理解したところで、言葉の使い方を整理していきましょう。
■「ください」と「下さい」はどっちが正しい?
「ください」という表現は、「下さい」と漢字で表記するケースがあります。「ください」と「下さい」の違いは、以下のとおりです。
・ください
動詞の補助として、「〜してください」と相手に物事を要求する意味で用いる
・下さい
「もらう」という意味がある表現。何かが欲しい場合には漢字表記にする
「ご覧ください」と伝える場合には、何かが欲しいわけではありません。「〜してください」と相手に伝えたい時に使います。そのため、「ご覧下さい」という漢字表記ではなく、「ご覧ください」とひらがなで表記するのが適切です。
■「ご覧になられる」とは表現しない
敬語表現にする際は、敬う気持ちを伝えようとするあまり二重敬語になってしまわないように気をつけましょう。「ご覧ください」に関連して、敬語として間違えやすい表現に、「ご覧になられる」があります。
ご覧になられるは、以下のとおり「ご覧になる」と「られる」をあわせた言葉です。
・ご覧になる
「見る」という意味の尊敬語
・られる
尊敬語の助動詞
同じ種類の敬語を重ねて使うと二重敬語になってしまいます。そのため、「ご覧になられる」は正しくない敬語表現です。「られる」をあわせずに、「ご覧になる」と伝えましょう。
同様に、「ご覧になられましたか?」と相手に確認を取りたい場合には、「られる」を外して「ご覧になりましたか?」と表現します。
■「ご覧ください」の例文
それでは、実際の使い方を例文でも確認しておきましょう。
・事前にお送りした資料をご覧ください。
・ただいま北海道フェアを開催しております。店内ごゆっくりとご覧くださいませ。
・お忙しいところ恐縮ですが、ご覧くださいますようお願いいたします。
先述のとおり、「ご覧ください」という言葉は正しい敬語であり、上司などの目上の人に問題なく使える表現です。ただし、人によっては命令されたようなニュアンスだと受け取ってしまう可能性があります。
語尾に「ませ」をつけて「ご覧くださいませ」としたり、「どうぞ」をつけて「どうぞご覧ください」と伝えたりすれば、より柔らかい印象になります。また、さらに丁寧にしたいシーンでは、「ご覧くださいますようお願いいたします」と伝えると良いでしょう。
「ご覧ください」の類語・言い換え表現
あわせて、関連する言葉も確認しておきましょう。
「ご覧ください」の類語・言い換え表現は、以下のとおりです。
1.ご参照ください
2.ご高覧ください
「見てください」を意味する敬語表現は、これらのほかにも「ご確認ください」「お目通しください」「ご査収ください」などがあります。
それでは、「ご覧ください」の類語・言い換え表現をさらに詳しく解説します。
1.ご参照ください
「ご覧ください」を言い換えたい時には、「ご参照ください」と表現可能です。
「ご参照ください」の「参照」とは、ほかのものと照らしあわせて参考にすることを指します。そのため、「ご参照ください」はすでに資料を配布している時などのように、照らしあわせて参考にできるものがある場合に使いましょう。
・詳しくは資料をご参照ください。
■2.ご高覧ください
「ご高覧ください」も、「ご覧ください」を言い換えたい時に用いられる表現です。一般的に、話し言葉よりも書き言葉として、ビジネス文書などで用いることが多くあります。
「ご高覧ください」は、「ご覧ください」よりもさらに丁重度を高めた表現です。さらにかしこまった場面で、相手への敬意を強く表現したい時に使いましょう。
・先日お伝えした資料を送付いたします。ぜひご高覧くださいませ。
適切な場面で「ご覧ください」を使おう
「ご覧ください」は「見てください」を丁寧にした表現であり、ビジネスシーンなどではよく使われています。「見る」を敬語表現にする際は、「ご覧になられる」とは表現しないなど、二重敬語にならないように気をつけましょう。また、「ください」を漢字表記しないよう注意が必要です。
言い換えられる言葉は、「ご参照ください」「ご高覧ください」「ご確認ください」など複数あります。ただし、似た表現であってもニュアンスや使い方の違いがあります。
使い方を間違えることのないよう、意味や似た表現との違いを確認して正しく使いこなしましょう。
構成/chihaya