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「不躾ながら……」と、言葉を切り出す表現はビジネスシーンでよく聞かれます。また、「不躾ながらメールにて失礼いたします」のように、手紙や口頭などさまざまなシーンで使われています。
「不躾ながら」の正しい使い方や言い換えの表現を紹介します。礼を欠くことを謝りたい場面などで活用してみてください。
「不躾ながら」の読み方と意味
「不躾ながら」とは「ぶしつけながら」と読み、「無作法にもかかわらず」や「礼を欠いてはいるが」の意味を表します。なお、「不躾」は「不仕付け」と表記することもあります。
「無作法であることを自分でも理解しています」という意味があるため、相手に礼を欠く可能性がある行為や発言をする前につけることが一般的です。いくつか例文を見ていきましょう。
・不躾ながら、お名前を尋ねてもよろしいでしょうか。
・不躾な態度でしたね。申し訳ありません。
また、相手が非礼である時にも「不躾」を使うことがあります。
・彼の不躾な質問には驚いた。
・彼女は不躾にも、会ってすぐに「何歳?」と聞いてきた。
なお、「躾(しつけ)」「仕付け」とは、礼儀作法のこと、もしくは礼儀作法を相手が身につくように教え込むことです。つまり、「不躾」とは、礼儀作法ができていない状態、あるいは礼儀作法が身につくように教えられていない状態を指します。
参考:デジタル大辞泉
「不躾ながら」を使ったビジネスでよくある表現
「不躾ながら」は、ビジネスシーンでもよく用いられる表現です。使う場面によっても異なりますが、次の3つのパターンに大別できます。
・相手に不快感を与えないための前置き
・相手への敬意を示すための前置き
・相手にお願いごとをする時の前置き
それぞれのパターンについて見ていきましょう。
■不躾ながらメールにて失礼いたします
自社の製品やサービスを紹介するのは、自社にとってはメリットになりますが、相手にとっては迷惑になるかもしれません。紹介する前に「不躾ながら……」と前置きをすることで、無作法であることを重々承知していることを相手に示せ、失礼な態度を前もって謝れます。
・不躾ながらメールにて失礼いたします。
・不躾ながらお電話で新商品をご案内したいのですが……。
相手にとって迷惑になるだろうと思われる時は、「不躾ながら」や「不躾とは思いますが」と前置きすることで、失礼なことだと理解している態度を示しましょう。
■不躾ながらご連絡いたしました
「不躾ながら」は敬語ではありませんが、相手に対して礼儀正しく接したいという意志を表現できるため、遠回しではありますが敬意を示せることがあります。相手に何かの行為や発言をする前に、「不躾ながら」と前置きしてみてはいかがでしょうか。
・不躾ながらご連絡いたしました。
・不躾ながら、こちらにご連絡先を書いていただいてもよろしいでしょうか。
■不躾ながらお願いしてもよろしいでしょうか
気軽にお願いできる間柄ではない時には、「不躾ながら」と前置きをすることで印象を和らげられるかもしれません。
・不躾ながら、こちらに来ていただいてもよろしいでしょうか。
・不躾ではありますが、お願いしてもよろしいでしょうか。
「不躾ながら」の言い換え表現を例文でご紹介
「不躾ながら」は、次の表現と言い換えられることがあります。
・失礼ですが
・恐縮ですが
・僭越ながら
・申し訳ありませんが
それぞれ不躾ながらとまったく同じ意味の言葉ではないため、状況によっては言い換えとして用いられないことがあります。どのような場面で使うのか、具体的に見ていきましょう。
■失礼ですが
失礼(しつれい)は礼儀に欠けるという意味ですが、問いかける時や詫びる時、別れる時などに、礼儀から外れないために「失礼ですが」「失礼します」と使うことがあります。
・失礼ですが、どこかでお会いしましたか?
・失礼ですが、どのようなご用件でお越しですか?
「失礼」は日常会話でもよく用いる単語のため、「不躾ながら」と比べると、かしこまらずに相手に話しかける際に使えます。
参考:デジタル大辞泉
■恐縮ですが
恐縮(きょうしゅく)とは、相手に迷惑をかけたり相手の厚意を受けたりして、申し訳なく思うことです。迷惑をかけそうな時や、相手の厚意を当てにした行動をする時に、「恐縮ですが……」と一言添えることがあります。
・恐縮ですが、もう一度お尋ねしてもよろしいでしょうか。
・恐縮ですが、窓を開けていただいてもよろしいでしょうか。
「不躾ながら」と同じく、改まった印象があるため、打ち解けていない相手に対しても使える言葉です。
参考:デジタル大辞泉
■僭越ながら
僭越(せんえつ)とは、自分の地位や立場を越えて出過ぎたことをすることです。「僭越ながら」と文頭に述べることで、立場をわきまえようという意志があることを示せます。
・僭越ながら、本日の司会を務めさせていただきます。
・僭越ながら、提出日は明日のようです。
相手に対する敬意を示しつつも、何かを行動・発言する必要がある時に「僭越ながら」と一言添えてください。
参考:デジタル大辞泉
■申し訳ありませんが
申し訳(もうしわけ)とは、申し開きや言い訳のことです。相手に対する謝罪の意味を込めて、「申し訳ない」や「申し訳ありません」「申し訳ございません」といいます。
・申し訳ありませんが、私の担当ではありません。
・申し訳ありませんが、ほかの人に尋ねてもらえませんか?
参考:デジタル大辞泉