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「高みの見物」の意味はなんとなくわかるものの、正しく理解できているか自信がない方も多いのではないでしょうか。使うシーンによっては失礼になる場合もあるため、注意が必要です。
本記事では「高みの見物」の意味や類義語・対義語をご紹介します。例文で使い方も解説しますので、参考にしてください。
「高みの見物」の意味とは?
「高みの見物」とは、「たかみのけんぶつ」と読みます。第三者の立場から、興味本位に物事の成り行きを傍観しているという意味です。自分には直接関係がないため、状況を気楽に眺めている様子を表します。
似たような意味に「対岸の火事(たいがんのかじ)」がありますが、意味のニュアンスは異なります。
ここでは、「高みの見物」の意味や「対岸の火事」との違いをみていきましょう。
■言葉の意味
「高みの見物」の「高み」は、「周囲よりもずっと高い」という意味合いがあります。そのようなはるかに高い場所から、下で起こっている騒ぎを見物することを指す言葉です。
自分とは直接関係のない安全なところから、物事の成り行きを興味本位に傍観している様子を表します。
ただ自分に関係のないことを見るという意味ではなく、関わりがないため、他人事として気楽に見ていられるという意味で使います。
参考:デジタル大辞泉
■「対岸の火事」との違い
「高みの見物」と似た言葉に、「対岸の火事」があります。自分にはまったく影響がなく、痛くもかゆくもないことを、川の向こう側で起こる火事にたとえた言葉です。
どちらの言葉も「自分とは関係ないこと」と考えている点で共通していますが、ニュアンスが異なります。
「対岸の火事」は自分とは無関係なことをただ眺めているという意味合いですが、「高みの見物」は、離れた場所から騒ぎを面白がって眺めているというニュアンスがあります。
「高みの見物」には、人の不幸を興味本位で見下すというネガティブな意味合いがあるため、使う際は注意した方がよいでしょう。
【「対岸の火事」の例文】
・隣国の混乱は次第に大きくなってきており、日本も対岸の火事と油断してはいられない
・他部署で起きたトラブルを対岸の火事とせず、教訓にしなければならない
参考:デジタル大辞泉
「高みの見物」の例文
「高みの見物」の意味について、実際の例文をみながら確認していきましょう。
・課長とAさんの言い争いはエスカレートしており、他の社員は高みの見物をしている
・自分もトラブルに巻き込まれる可能性があり、高みの見物ではいられない
・彼はすでに内定をもらっていたので、ほかの学生が就活で苦労している様子を高みの見物で眺めていた
「高みの見物」の類義語
「高みの見物」には、次のような類義語があります。
・野次馬(やじうま)
・傍観(ぼうかん)
・他人事(ひとごと)
・余所事(よそごと)
他人事は、自分には関係ないが、他人にとっては重大な物事という意味です。余所事は、直接には自分と関わりがないことを指します。
どれも自分とは関係がないという意味で、「高みの見物」と似た言葉です。使うシーンに合わせて、より適した言葉を選ぶとよいでしょう。
ここでは「高みの見物」の類義語である野次馬と傍観について、詳しくみていきましょう。
■野次馬
野次馬とは、自分とは関係ないにもかかわらず、興味を持って騒ぐことを指します。「おやじ馬」(年老いた馬)が略された言葉です。
人に慣れずに騒ぐばかりの暴れ馬も、年老いた馬と同じく役に立たないことから「おやじ馬」と呼ばれるようになり、そこから興味本位に騒ぐ人のことを「野次馬」と呼ぶようになったということです。
【例文】
・事件の現場は、騒ぎを聞きつけた野次馬で占拠されてしまった
・派手なけんかをしていたので、瞬く間に野次馬が集まってきた
参考:デジタル大辞泉
■傍観
傍観とは、関わらないでそばで見ているという意味です。「高みの見物」のような、興味本位や「見下す」といったネガティブなニュアンスはありません。
物事に対して関係のない立場で手や口を出さず、ただそばで眺めている様子を表します。
【例文】
・彼は傍観者に徹して、チームの行動に口を出すことはなかった
・人が困っているときに何もせず、ただ傍観しているような態度は良くない
参考:デジタル大辞泉