オフィスでできる3つの尿トレ方法
頻尿や尿失禁、排尿困難、残尿感の一因は膀胱の筋肉が柔軟性を失ったり衰えたりして起きる。そのため、堀江先生は効果的な「尿活トレーニング」を提唱している。今回はビジネスパーソンがオフィスでもできる、簡単で効果のある3つのトレーニングを紹介しよう。
その1)座ったまま肛門エクササイズ
膀胱は身体の背面、お尻の近くにあるため、肛門エクササイズは間接的に膀胱の筋肉までストレッチされ、膀胱の血行が良くなり、膀胱の柔軟性が復活する。
やり方)
イスに座って足を肩幅に開いて足裏を床につけるようにする
肛門周りの筋肉を締める
(締める時間は最初は5秒ぐらい。5秒力を入れて緩める、を繰り返して10回を目安に行う)
力の入れ方が感覚でわかるようになったら、男性は尿道や陰部全体を引き上げるイメージで力を入れることがポイント。また、ぎゅっと締める時間は5秒から少しずつ増やしてもよい。男性の「ちょい漏れ」に効果がある。
その2)トイレに行ったら尿道エクササイズ
トイレを我慢すると膀胱の筋肉が自然にストレッチされる。トイレに行くことを我慢しすぎるのは、膀胱炎の原因となるので、日常生活で普通にトイレに行った時にやることがポイント。
やり方)
トイレに入って排尿をする直前に、3から5秒間、尿を出すのを意識的に止めて我慢する
男性だけでなく女性にも効果がある方法だが、あくまでも「トイレに行くこと自体を我慢する」のではなく、尿を出そうとする前に止めて我慢すること。
その3)快尿エクササイズ、スクワット
下半身の筋肉を鍛えることで膀胱だけでなく、前立腺肥大の予防にも効果的。エクササイズは正しい姿勢で行うことが重要で、肛門を引き締めながらお尻を後ろに引いて、かかとに体重を乗せるようにする。膝が内側や外側に向かないことがポイントで、膝の向きと人差し指の向きを揃えると上手く行く。
やり方)
まずは足を肩幅に広げ、安定感があるイスを使って「座る、立ち上がる」を繰り返す。こうして正しいスクワットの動きを身に付けることができたら、イスの背もたれをもってスクワットをする。
スクワットの姿勢を身に付けるために、イスに「座ったり立ったり」を繰り返す時、まっすぐイスに座るのではなくお尻を後ろに引くようにしながら座るのがポイント。慣れてきたらイスを使わずにできるようになる。一日10回が目安。
これらの運動は堀江先生が監修したキッセイ薬品工業の「尿活トレーニング~笑顔でスッキリ~おしっこ新ライフ」でエクササイズの動画がアップされているのでぜひ参考にしたい。新刊書では上記3つの他にも骨盤底筋体操、プランクなど尿活に効果があるエクササイズも紹介されている。
こうした運動は単に尿活に役立つだけでなく、血管をさび付かせないためのトレーニングでもある。堀江先生によると、男性では42歳が血管年齢の曲がり角であり、42歳になるとそろそろ血管がさび付いてくる傾向にあると教えてくれた。最近は血管年齢という言葉が流行っているが、いかに血管の細胞をさび付かせないかが長寿の秘訣である。尿が教えてくれる血管の衰えを自覚したら、ぜひ堀江先生の尿活トレーニングを始めよう。
堀江重郎先生
泌尿器科医、医学博士。1960年生まれ。東京大学医学部卒業。日米の医師免許を取得し、米国で腎臓学の研鑽を積む。2003年帝京大学医学部主任教授、2012年より順天堂大学大学院医学研究科泌尿器外科学主任教授。腎臓病・ロボット手術の世界的リーダーであり、科学的なアンチエイジングに詳しい。日本抗加齢医学会理事長、日本Men’s Health 医学会理事長。新刊書「尿で寿命は決まる 泌尿器の名医が教える 腎臓・膀胱 最高の強化法」(SBクリエイティブ発刊、定価1540円)
キッセイ薬品工業
尿活トレーニング~笑顔でスッキリ~おしっこ新ライフ
文/柿川鮎子