電動キックボードに適したナビを開発
LUUPはナビタイムジャパンと連携して電動キックボードに適したルートを表示するナビ機能を開発。3月最終週から東京エリア限定で表示を開始する。これは試験提供であり、走行データやフィードバックを活かしてさらに完成度を高めていくという。
なぜLUUPは他社に先駆けて、いち早く専用ナビの試験提供が可能になったのだろうか。それには2つの理由があると岡井さんは語る。
「まず、先に目的地を決めてスマホで予約するという方式は弊社独自のもので他社にはありません。ルートの表示には2点間を結ぶ必要があります」
さらにシェアサイクルにスマホホルダーが付いていることは稀であり、その理由に走行中スマホの画面を注視すると危険だからという理由が想像できる。これに対してLUUPは全車スマホホルダーが装着されている。
「これもヒアリングしてみると実際は初めて行く観光地などはスマホを見ないと行き着けないことが分かりました。そこで警察庁とも話し合ったのですが、ナビを見るためにスマホを片手で持って見ながら運転する方が危険、専用ホルダーでスマホを固定して、注視しないように地図を確認する方が安全という判断になりました」
交通量の多い大通りを避けてより安全性の高いルートを提案してくれる
自転車ルート検索機能を活用
具体的にはナビタイムジャパンが提供する「NAVITIME API」の自転車ルート検索機能を活用してルートを生成している。歩道走行については不可としてルートには選ばれないようになっている。また、走行中の現在地の表示はできるが、リルート機能は搭載されておらず、経由地の指定などもできない。岡井さんによれば、まずはなるべくシンプルに使えることを重視しているという。もし、ルートが5本表示されてユーザーが選ぶシステムにすると、ほとんどの人は選ぶのが面倒になりナビ自体が使われなくなるそうだ。
「将来的には、みちびき(準天頂衛星システム)を使ってGPSの精度を高めて誤差数センチ単位になればいろいろな機能が実装できます。例えば位置情報とセンサー技術を活用して、LUUPが歩道を走行した場合に注意喚起するだけでなく、速度を強制的に落とすなどの物理的な機能を搭載することも考えています」と岡井さんは語った。
左が専用ナビを使って神田駅近くのポートを指定したルート。右はGoogleMapのナビ機能で自転車を指定して目的地を神田駅にした場合のルート。専用ナビは交通量の多い大通りを避けて道を選んでいることが分かる
写真・文/ゴン川野