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部下にアドバイスしてはいけない3つの理由

2024.03.21

部下へのアドバイスは「いいもの」だと思われる方、多いのではないでしょうか。ところが部下へのアドバイスがときに逆効果に。部下の成長を促すために実施したと思っていても、結果として部下が成長しなくなる要因になることもあります。

もちろんアドバイスは手段ですので、使い方によっては社員の成長のためになることもあります。そんな諸刃の剣のアドバイスを本記事では取り上げます。

理由(1)上司である自分が部下の責任範囲を誤解させてしまう

「他責思考、指示待ち、思考力が弱い、主体性が無い、社内評論家、etc…。」

どんな上司でも一度は部下に対してアイツは〇〇だよな、と思ったことがあるのではないでしょうか。でもそんな部下を生んでしまっているのは上司である自分が、部下の責任範囲を誤解させてしまっているからかもしれません。ぜひ「あなたの責任範囲はどこまでか」を部下と確認し、定期的に認識がズレていないかチューニングすることをお勧めいたします。

この理由は大前提、多くの社員がプロであるからです。誰であれ、会社で働くということは人様のお財布からお金を頂いているということになります。お金をいただいている以上、結果を出すまで責任範囲であり(売上、見込み客の獲得、お客様満足度の向上、社内運営の円滑化など)、結果が出るまでのプロセスをやったからOKなのではない(言われたことはやった、自分なりにはやった、頑張った、遅くまでなどの類です)ということを、正しく部下認識させることが上司の役割です。

ここで注意したいのは上司が“方法論”のアドバイスをし過ぎると、上司に言われたことを実行したのに結果が出ない、だから上司のせいで自分の責任ではない、という誤解を部下に与えてしまう点です。上司のアドバイスがあろうとなかろうと最初から最後まで結果を出すことが部下の責任(部下というより全てのビジネスパーソンは結果を出すまでが責任)なのにもかかわらず、部下を誤解させるようなアドバイスはしてはいけない、となります。

ここで前提条件として抑えておきたポイントが二つあります。一つ目は、人間は易きに流れる生き物である、という認識を持つことです。誰からも管理されず、自然状態の人間は易きに流れていきますので、結果がついて来ないことから目を背け改善活動を途中で辞めてしまいます。従って上司として部下の成長のために、結果に対して責任を負っている、プロセスだけではない、ということを定期的に認識させ直すことが重要です。二つ目は、部下に出して欲しい結果を解釈のズレが起きないように設定することです。極端ですが「強化する」「円滑に」「効率よく」などの曖昧な表現は金輪際、ビジネスシーンにおいては使わない事をお勧めします。結果の解釈がズレれば、私の認識では結果が出ていますが成立してしまい、責任範囲の誤認識につながるためです。誰が見ても認識がズレない結果設定が絶対条件になります。

理由(2)上司である自分が役割と権威を混同する

自分が発したアドバイスを部下が頷いて聞いてくれる瞬間って気持ちいいですよね。場合によってはありがとうございます!やってみます!なんて言われたりしてさらに悦に入る。この悦を感じる瞬間はどんな上司も感じたことが一度はあると思いますが気を付けなければいけません。その理由は正しいアドバイスを送り部下を成長させることは上司の役割であって(上司の義務)、自分が偉いから貴重な自分の過去の経験を披露してやっている(権威)ではないからです。間違ったアドバイスには、自分に権威が与えられた、自分は権威のある人間だと、上司自身を誤解させる可能性をはらんでいます。上司は組織上の機能(役割りの一つ)であるため、そこに偉い、偉くない、人間的に優れている、劣っている、という価値観を織り交ぜてはいけません。上司の役割は部下に正しい責任範囲を認識させ、部下を成長させることでチームを勝利(目標達成)に導くことです。その役割を果たすうえで手段としての正しいアドバイスが取れているかを定期的に見直しましょう。

上司も人間です。自然状態では易きに流れアドバイスを送っている自分に酔い仕事をしている気になってしまいます。そんな上司を部下はよく見ており、あんな人にはなりたくない、あの人の下で働きたくない、また一人で熱く語っているよ、となるのは火を見るよりも明らかです。

そうならないために下記4つだけは外さないようにしましょう。

1.部下に求められている結果を正しく認識させ
2.事実とのギャップ(目標からの不足)を自責で捉えさせ
3.次なる打ち手を考えさせ
4.実行した先にどんな結果が出るイメージを持っているのか確認する。

この4つが出来ていれば、あとは実行したのか確認だけでOKです。

理由(3)上司である自分が役割を演じきれない

部下にアドバイスを送り続けている上司が、率いているチームや部下の結果が出ないことがしばらく続くと、次第に上司としての肩身が狭くなるのを感じ、居ても立ってもいられないという状況に陥る可能性があると思います。気持ちは痛いほどわかります。まずこの結果が出なくて肩身の狭い思いをする、ここからなんとか状況を変えたい、という思いは実は正しい感情です。従って上司として正面から向き合い乗り越えていきたいところなのですが、その乗り越え方を誤ってしまう可能性があります。誤った方法とは、今まで以上に部下にアドバイスを加えて、いい人、いい上司、困っていれば助けてくれる人だと思われたい、上司も頑張っていると周りから思われたいという、本質的ではない上司としては間違った承認欲求の満たし方です。

上司としての自分ではなくいち人間としての自分を満たす方法は、ビジネスシーンにおいては間違っていると言わざるを得ません。淡々と、自我を満たすことは後にして、部下の成長とチームの結果のために、(1)(2)で記載した内容を実践していきましょう。

本稿では、部下にアドバイスしてはいけない3つの理由を記載させて頂きました。繰り返しにはなりますが、部下を誤解させる間違ったアドバイスはしてはいけません。その理由は記載の通りです。一方でこれも記載のとおりですが、部下に正しい認識を持たせ目標達成のために思考、行動をさせるアドバイスは正しいアドバイスで必要です。成長させるための手段であるアドバイスを正しく使い、チームをさらに飛躍させていきましょう。

この記事はマネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研」による寄稿記事です。

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