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近年は、ビジネスシーンで『BPM』の取り組みが注目されています。
BPMがどのようなものなのか、注目されている理由や重要性とともに紹介します。メリットだけでなく、デメリットや注意点も把握し、理解を深めましょう。
ビジネスシーンで注目される「BPM」とは?
『BPM』と聞いても、何のことなのか分からない人もいるのではないでしょうか?そこで、まずは言葉の意味など概要を紹介します。
■継続的な業務管理手法
BPMは、『Business Process Management(ビジネス・プロセス・マネジメント)』の略です。企業活動におけるさまざまな業務プロセスを整理して、問題点の発見や分析をし、継続的に改善して最適化していく業務管理手法を指します。
簡潔に言うと、現行の業務プロセスを見直し、より適した形に改善していくことを繰り返すことです。BPMによる業務プロセスの可視化により、課題を見つけて継続的に改善しやすくなるというのが強みです。
■BPMとPDCAサイクルの関係
BPMを導入する上で重要なポイントが、『PDCAサイクル』を実行することです。PDCAサイクルは、『Plan(計画)』『Do(実行)』『Check(評価・分析)』『Action(改善)』の四つの工程の頭文字を取ったものです。
ビジネスシーンでは広く知られているフレームワークで、最初に目標を設定し計画を立て、次に計画を実行します。実行した内容を評価・分析し、その結果を受けて改善や対策をするという流れです。
四つの工程を順番に実行することで、継続的に業務プロセスを改善していくことが可能になります。
■BPRとの違いは業務改善する範囲
BPMと混同しがちなのが、『BPR』です。『Business Process Reengineering(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)』の略で、業務プロセスを根本的に再構築することを指します。
BPMが業務プロセスごとにPDCAサイクルを繰り返しながら継続して業務改善を行なうのに対し、BPRは一度の取り組みで全社的な業務改革を実施します。経営戦略なども含めた広範囲な改善です。
また、BPMは現場からの声などボトムアップで実施されるのに対し、BPRは上層部が方向性を示し主導する、トップダウンであるという違いもあります。
BPMが注目される理由と重要性
近年、なぜBPMが注目されているのでしょうか?主な理由と重要性について見ていきましょう。背景を知ることは、現代社会や企業に求められていることを理解するのにも役立ちます。
■ビジネスにおいてBPMが注目される背景
BPMが注目されている主な理由は、急速に変化するビジネス環境に対応するためです。グローバル化やテクノロジーの進化など、業務環境は急速に変化しています。コロナ禍によるリモートワークの普及もその一例です。
変化の激しい環境で多様化する顧客のニーズに素早く対応するためには、柔軟な業務プロセスが求められます。PDCAサイクルを繰り返しながら、業務プロセスを継続して最適化していくBPMは、変化の激しい現代のビジネスシーンに適していることから注目されているのです。
■企業にプラスの効果をもたらすBPM
業務プロセスを整理・分析することで、課題や改善点が明確になり、業務の効率化や生産性の向上などが期待できます。効率性や生産性が上がることは、売上の確保や経費削減にもつながります。
また、上質なサービスを迅速に提供できるようになり、顧客満足度の向上も期待できるでしょう。業務プロセスを明確に管理することで、コンプライアンスへの対応もしやすくなります。
業務プロセスを最適化し続ければ、改善策や新たなアイデアが生まれやすい環境が整い、イノベーションの促進も期待できるでしょう。
BPMを実施することによるメリット
多くの企業がBPMを実施しているのは、多くのメリットがあるためです。具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?主なメリットを三つ紹介します。
■業務プロセスを標準化できる
業務プロセスを整理・分析する工程で、業務の手順が可視化され、業務プロセスを標準化することが可能です。これにより、複雑なプロセスが整理され、迅速に作業が進められるようになります。
引き継ぎや新入社員への教育もスムーズに行なえます。また、予期せぬトラブルが起きたときにも迅速で的確な対応がしやすくなるのもメリットです。
業務プロセスが安定することで、品質やサービスも安定し、最終的には顧客満足度の向上につながります。
■問題を発見して解決に導く
BPMでは業務プロセスを可視化し、一つずつ分析します。その過程で問題の原因を発見し最適化していくため、本質的な問題の解決に導けます。
例えば、大企業では多くの部署が存在し、業務プロセスが複雑化していることが珍しくありません。複雑化していることで問題が発見されず、そのまま放置されている可能性も考えられます。
また、業務が複雑化することで、一部の人しか業務プロセスの全体像を把握していないケースも見られます。BPMによって明確になった問題を、関係者全員が議論することで、本質的な問題解決ができるのもメリットです。
■業務を俯瞰できる
部署をまたいだ業務の流れが可視化されることで、その業務に関わる社員全員が業務全体の流れを把握できるようになります。日本企業の多くは縦割りの組織で、部署をまたいだ全体像が見えにくいというマイナス面があります。
業務全体の流れが見えることで、社員同士のコミュニケーションが活発になり、組織全体の活性化にもつながるでしょう。また、円滑なコミュニケーションにより、問題や課題の解決策も見いだしやすくなるのもメリットです。