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ビジネスシーンにおける「俯瞰」とは何か?俯瞰力が必要とされる理由

2024.05.02
ビジネスシーンでは、俯瞰力や俯瞰的視点が求められます。
『俯瞰』には、高所から下方を見下ろす意味のほかに、比喩的な意味があるのをご存じでしょうか?俯瞰の意味や言葉の使い方、ビジネスパーソンに欠かせない俯瞰力を解説します。

俯瞰とは?意味や読み方を解説

言葉そのものは見聞きしたことがあっても、意味や読み方、使い方がよく分からない言葉は多いものです。『俯瞰』は、本来の意味とビジネスシーンで用いられる際の意味が異なります。

■本来の意味は「高い場所から下方を見ること」

俯瞰の読み方は『ふかん』です。高い場所から下方を見ることを意味し、『俯瞰する』のような形で用います。俯瞰の腑と瞰には、それぞれ以下のような意味があります。

  • 俯(ふ):うつむく・伏せる・かがんで下を向く
  • 瞰(かん):上から下を見る

俯瞰には『(上から)下を見る』『見る』という意味が含まれているため、『俯瞰して見る』『俯瞰で見る』『上から俯瞰する』は誤りです。会話では誤りに気付かないケースもありますが、文面では相手に冗長な印象を与えます。

■ビジネスシーンで用いられる際の意味

ビジネスシーンでは、『俯瞰して考える』や『俯瞰的に捉える』という表現が使われます。この場合の俯瞰は、『広い視野で見る』『大局的に考える』『物事の全体像を把握する』と同義です。

高い場所に上ると全景が見えるのと同じように、視座を上げれば物事の全体像を捉えられます。本来の意味から派生した比喩的な表現といえるでしょう。

会話はもちろん、ビジネスメールでのやりとりでもよく登場するため、意味と使い方を覚えておく必要があります。

俯瞰の使い方を例文でチェック

文章を書く

(出典) pixta.jp

俯瞰には、『上から下を見下ろす』という物理的な意味と、『広い視野で見る』という比喩的な意味があります。それぞれの使い方を例文で確認しましょう。

■物理的な意味での使い方・例文

物理的な意味での俯瞰は、高い山に登って下界を見下ろすときや、壇上に立って客席を見下ろすときなどに使えます。上空から地上を見下ろすように描く図を『俯瞰図(ふかんず)』と呼ぶことも覚えておきましょう。俯瞰を使った例文を紹介します。

【例文】

  • 講演者は壇上に立ち、客席を俯瞰した
  • 展望台から俯瞰した街は、まるでミニチュアのようだった
  • 日本で初めてドローンによる俯瞰撮影に成功した
  • 開発を進めるには、街の俯瞰図が必要だ

■ビジネスシーンでの使い方・例文

ビジネスシーンでは、物事を俯瞰することによって、問題の本質が見えてくる場合があります。『俯瞰力』『俯瞰的視点』『俯瞰的に捉える』などは、ビジネスシーンでよく登場する言い回しです。例文をチェックしましょう。

【例文】

  • チームリーダーに求められるのは、プロジェクト全体を見渡せる俯瞰力だ
  • 事業計画書の作成には、俯瞰的視点が必要である
  • 世の中を俯瞰的に捉えてこそ、新たなニーズに気付ける
  • 他人のミスにはよく気付くのに、自分自身のことは俯瞰できていない

「俯瞰」の類語

辞書を開く

(出典) pixta.jp

俯瞰と似た意味を持つ言葉には、『鳥瞰』『大局的』『包括的』などがあります。類語ではありますが、全く同じ意味ではない点に留意しましょう。

■鳥のように見下ろす「鳥瞰」

『鳥瞰』の読み方は、『ちょうかん』です。

本来の意味は、高所から広範囲を見下ろすことですが、ビジネスシーンでは、全体を一目で観察することの意味で使われるケースが多いでしょう。空を飛ぶ鳥の目なら、どこで何が起こっているかが一目瞭然です。

【例文】

  • 彼は業界を鳥瞰できる人材だ
  • 歴史を鳥瞰すると、時代によって価値観が異なることが分かる
  • 現在の状況を鳥瞰して自分自身の立ち位置を把握する
  • 市が作成した鳥瞰図を見れば、避難場所や小高い場所がすぐに分かる

地図の技法のうち、上空から地上を斜めに見下ろしたように描くものは『鳥瞰図(ちょうかんず)』と呼ばれます。

■1つ上の立ち位置から「大局的」

『大局的(たいきょくてき)』とは、物事の一部ではなく、全体を見て判断・行動するさまを意味します。ビジネスシーンでは、『大局的見地』や『大局的視点』という言い回しがよく用いられるでしょう。

俯瞰的と大局的は、どちらも広い視野で物事を捉えることを意味します。大局的には、今後の成り行きや将来の変化を見据えるニュアンスも含まれることが違いです。

【例文】

  • 持続可能な開発目標を達成する上で、企業はより大局的な視点を持つ必要がある
  • 目先の利益にとらわれず、大局的見地から検討していかなければならない
  • この問題は、もっと大局的に捉えた方がよい

■全体をまとめる「包括的」

『包括的(ほうかつてき)』とは、全体をひっくるめるさまを意味します。

ビジネスシーンでは、『包括的に見る』や『包括的に考える』という言い回しがよく登場するため、使い方を覚えておきましょう。俯瞰と異なり、高所から下方を見る意味はありません。

【例文】

  • 社会的弱者に対しては、包括的な支援を行うことを決定した
  • 包括的に見て、彼はリーダーにふさわしい人材だと思う
  • 個別具体的ではなく、包括的に眺めた上で検討してほしい

包括的の類語は、『総括的(そうかつてき)』です。複数の物事を一つに収めるさまや、全体をまとめて締めくくることを意味します。

「俯瞰」の対義語

ビルを見上げる

(出典) pixta.jp

俯瞰には、物理的な意味と比喩的な意味の2通りがあります。反対の意味を持つ言葉として、『仰視』を『近視眼的』を取り上げます。例文を見ながら、使い方をチェックしましょう。

■低地から高いところを見る「仰視」

仰視(ぎょうし)は、『低いところから高いところを見る』『仰ぎ見る』という意味で、物理的な意味での反対語に当たります。

  • 仰(ぎょう):仰ぐ・見上げる
  • 視(し):見る・注意して見る

仰視の同音異義語には、じっと見つめることを意味する『凝視』があります。会話では、どちらの意味を指しているのかが相手に伝わりにくい可能性があるでしょう。

【例文】

  • 出張で初めて上海を訪れたA氏は、目の前にそびえる高層ビルを仰視した
  • 関係者は空を仰視し、ロケットの打ち上げを見守った

■目先に捉われる「近視眼的」

近視眼的(きんしがんてき)とは、目先にとらわれ、大局的な見方ができないことを意味します。俯瞰的はプラスの意味合いで用いられますが、近視眼的はマイナスの意味合いで用いられるケースが大半です。使う相手や、シチュエーションに注意しましょう。

【例文】

  • そのような近視眼的な発想では、競合他社には勝てるわけがない
  • 近視眼的な判断をせずに、大局的な視点を心掛けよう
  • 上司から「近視眼的な考え方を避けるように」という助言があった

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