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ビジネス用語の中には、言葉の生まれた背景や状況がそのまま由来となっているものが少なくない。シリコンバレー発祥の「エレベーターピッチ」もそのようなビジネス用語の一つだ。時間に追われるビジネスパーソンにとっては、エレベーターでの移動時間もビジネスチャンスに繋げられることを示す、起業の本場らしいアグレッシブな言葉と言えるだろう。
そこで本記事では、「エレベーターピッチ」の意味やメリット、作り方について解説する。
「エレベーターピッチ」の意味は?
「エレベーターピッチ(英:elevator pitch)」とは、エレベーターに乗るくらいの短い時間(15~30秒程度)で自己紹介や自社製品の売り込み、企画の提案などを行うことを意味する。フロア間の移動手段としておなじみの「elevator」と、売り込みや宣伝を意味する「pitch」を合わせた言葉だ。
分刻みでスケジュールが決まっている大物の投資家や起業家に簡潔に自分を売り込む手法として、アメリカのシリコンバレーで生まれたと言われる。
■「エレベーターピッチ」のメリット
売り込み手段のイメージが強いエレベーターピッチだが、「普段は投資家や起業家と接する機会などない」というビジネスパーソンにとっても、エレベーターピッチを身に付けると、仕事上のメリットがある。エレベーターピッチのメリットは、主に以下の通り。
・言いたいことを簡潔に伝える能力が高まる
・自分の考えを整理し、言語化できる
・多忙な相手に話を聞いてもらうチャンスが増える
・打ち合わせの時間を短縮できる
■アジャイル開発でも使われる「エレベーターピッチ」
エレベーターピッチは、ソフトウェア開発手法の一つである「アジャイル開発」でも行われる。新規の事業や製品・サービスを開発する際、アジャイル開発では、はじめにプロジェクトの全体像を定義する10種のドキュメント「インセプションデッキ」を作成する。インセプションデッキの中でサービス・プロダクトの定義を行うドキュメントを「エレベーターピッチ」と言い、そのサービスやプロダクトによって解決したい課題、製品としてのメリットや独自性を明らかにする目的で作られる。
「エレベーターピッチ」の作り方や例文
ビジネス一般におけるエレベーターピッチは、自己紹介などのコミュニケーションをはじめ、自社製品の売り込み、企画の提案といったさまざまな場面に応用できる。一回のエレベーターピッチは15~30秒程度で、文字数にすると130~250文字程度。話せる内容に限りがあるため、設計図とテンプレートに沿って内容を組み立てる方法がおすすめだ。
■「エレベーターピッチ」の設計図とテンプレート(フォーマット)
エレベーターピッチを作る際は、はじめにGTCと呼ばれる設計図を作成する。
【エレベーターピッチの設計図(GTC)】
・G(goal):自分の目的や望み。何を得たいか。
・T(target):相手が得たいもの。何をしてほしいと思っているか。
・C(connect):GとTをつなぐ接点。
次に、GTCに沿った内容をエレベーターピッチのテンプレート(フォーマット)に当てはめ、話すべき内容を考えよう。
【エレベーターピッチのテンプレート(フォーマット)】
1.つかみ(フック):自己紹介で身分を明らかにし、問題提起やデータの活用で相手の注意を引く。
2.要点となるポイント:メリットや解決策を提示する。15秒の場合はポイントを言うだけにとどめ、30秒の時間がある場合は、それぞれのポイントの解説も考える。
3.クロージング:最後に相手の行動を促す言葉を添える。
■「エレベーターピッチ」を作る際の手順
エレベーターピッチのテンプレートに書く内容は、以下の手順で考えるとスムーズに決めやすい。
1.思いつくすべてのポイントを洗い出す
2.目的と相手をつなぐポイントは何か考え、3つ程度に絞る
3.クロージングを考える
4.フックを考える(ポイントとクロージングから逆算するのがおすすめ)
5.テンプレートにまとめた内容をチェックする
■「エレベーターピッチ」の例文(サンプル)
以下に製品セールス用のエレベーターピッチの例文を記載する。
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※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部