3. 国際ロマンス詐欺に関する弁護士広告には要注意
国際ロマンス詐欺の被害金は、弁護士に依頼したとしても、上記の事情により回収が困難であることは変わりません。
それなのに、あたかも高額の被害金を回収できると誤認させるような広告を行い、国際ロマンス詐欺の被害者からの依頼を集めている弁護士が複数出現しています。
このような弁護士に依頼すると、回収の見込みがないにもかかわらず、高額の着手金をさらに支払うことになります。これは国際ロマンス詐欺の二次被害にほかなりません。
国際ロマンス詐欺に関する不適切な弁護士広告については、東京弁護士会や愛知県弁護士会が公式HP上で注意喚起を行っています。
また、国際ロマンス詐欺に関する非弁提携※の疑いで、弁護士が懲戒請求を受けたり、逮捕されたりする事案も報道されています。
※非弁提携:弁護士が、弁護士もしくは弁護士法人でない者から事件の周旋を受け、または弁護士もしくは弁護士法人でない者に自己の名義を利用させること
国際ロマンス詐欺の被害金は回収困難であることを踏まえて、被害金の回収に対する期待を過度に煽る弁護士広告には十分ご注意ください。
参考:国際ロマンス詐欺案件を取り扱う弁護士業務広告の注意点|東京弁護士会
参考:国際ロマンス詐欺等の案件を取り扱う弁護士業務広告にご注意ください!|愛知県弁護士会
参考:国際ロマンス詐欺の被害回復で弁護士法違反か 弁護士の懲戒を請求 依頼者1800人から9億円超える着手金 資格ない従業員が依頼者対応 過度な期待を持たせる広告も|カンテレ
参考:「ロマンス詐欺の被害金回収」かたり1億円集めたか、名義貸した弁護士ら4人を逮捕|讀賣新聞オンライン
4. 国際ロマンス詐欺に遭わないための注意点
国際ロマンス詐欺の被害に遭わないためには、SNSなどで突然メッセージを送ってくる人は相手にしない、会ったこともない人の口座にお金を振り込まないなど、詐欺に関する基本的な心構えを徹底することが大切です。
ただし、詐欺業者は被害者を巧みな話術で洗脳しようとしてくるので、騙されてしまいそうになることがあるかもしれません。
万が一騙されそうになった場合に備えて、家族や友人など、信頼できる相談相手を決めておくとよいでしょう。
お金を振り込むように言われた際に信頼できる相手へ相談すれば、詐欺被害に遭うリスクを大幅に減らすことができます。
取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
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