2023年10月1日から、インボイス制度(適格請求書等保存方式)が開始しました。取引先への配慮などにより、免税事業者から課税事業者へ移行した個人事業主の方もたくさんいらっしゃるでしょう。
課税事業者は消費税の申告・納付義務を負うため、新たに課税事業者となった方は税負担が増えます。しかし「2割特例」の適用を受ければ、2026年分(2027年3月31日までに申告)の申告分まで消費税の負担を軽減できるかもしれません。
本記事ではインボイス制度の「2割特例」について解説しますので、消費税の確定申告を控えている個人事業主の方は参考にしてください。
1. インボイス制度の「2割特例」とは
インボイス制度の「2割特例」とは、課税事業者が消費税を納付する際に、取引先等から受け取った消費税額の2割に相当する額を納付すれば足りるとする特例です。
インボイス制度において、適格請求書を発行するには、課税事業者となった上で税務署長の登録を受ける必要があります。そのため、多くの免税事業者が課税事業者への移行を選択しました。
「2割特例」の目的は、免税事業者から課税事業者へ移行した小規模事業者につき、税負担の急激な増加を抑えることです。多くの小規模事業者は「2割特例」の適用を受けることで、通常の課税事業者よりも消費税の負担が軽くなります。
2. 「2割特例」の対象となる個人事業主
「2割特例」の適用を受けられるのは、2023年10月1日から2026年9月30日までの日の属する課税期間において、免税事業者が適格請求書発行事業者となる場合です。
個人事業主の場合、前々年の課税売上高が1,000万円以下であるのに、税務署に対して課税事業者への移行を選択する届出を行って課税事業者となった年については「2割特例」の適用を受けることができます。
2割特例の対象となるのは、2023年度(申告期限:2024年4月1日)から2026年度(申告期限:2027年3月31日)までの申告です。
これに対して、前々年の課税売上高が1,000万円を超えている年については、インボイス制度の有無にかかわらず課税事業者となるため、「2割特例」の適用は受けられません。