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なぜ〝FE〟スマホで流行っているのか?GalaxyやXperiaに込められたメーカー側の狙い

2024.03.19

■連載/法林岳之・石川 温・石野純也・房野麻子のスマホ会議

スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回は新スマホ「Galaxy S23 FE」「Xperia 10 V FE」と、アップルの「Vision Pro」について会議します。

ソニー、サムスンから相次いで登場した〝FE〟スマホ

房野氏:ソニーの「Xperia 10 V Fun Edition」、サムスンの「Galaxy S23 FE」と、立て続けに〝FE〟の名を冠したモデルが登場していますが、メーカーやキャリアにはどのような狙いがあるのでしょうか。

Xperia 10 V Fun Edition

Galaxy S23 FE

房野氏

石野氏:厳密に言えば、Xperiaは「Fun」、Galaxyは「Fan」と、綴りが違うんですよね。Galaxyは正式に言っているわけではありませんが、以前はファンやGalaxy好きの人たちが納得する性能にしましたという意味のモデル名でした。一方でXperiaは、Fun。楽しむためのモデルということで、Google Oneがついてくる。日本人的には発音で区別が難しいので誤解をしてしまいがちですが、英語だと、GalaxyとXperiaは、〝ファン〟の発音・意味が違うんですよ。

石野氏

房野氏:ちょっとわかりにくいかも(笑)。ところで、端末の特徴はいかがですか?

石野氏:Galaxy S23 FEは、1世代前のハイエンドモデルを安く作りましたという形です。

法林氏:名前に「S23」とついているけれど、中身はS22+S23って感じだよね。それでいて、8万8000円で買えるのはお得。画面サイズも、「Galaxy S23」よりも大きくなっているといった、プラス要素もあります。

法林氏

石野氏:その分、ベゼルも太くなっていますけどね。

Galaxy S23 FE

法林氏:位置づけ的には、「Galaxy A54」の上になる。auの販売価格は8万8000円なので、スタンダードなiPhone 15を買うよりもいいよねっていう演出はできます。絶妙な値付けです。

Galaxy A54

石野氏:新しい割引規制に合わせて、4万円で購入できるようになっています。

法林氏:そうだね。各社で子ども向けのケータイやスマートフォンを使っていた層がが進学するタイミングで、MNPしてGalaxy S23 FEを買うといった狙いがあるはずです。

石野氏:サムスン的には、Galaxy Aシリーズのユーザーに、Galaxy SシリーズやGalaxy Zシリーズに移ってもらいたいけれど、性能と価格のギャップがあってハードルが高いので、間にFEを作ったというイメージです。

法林氏:Galaxy FEシリーズは結構前からグローバルにあって、注目を集めたのは「Galaxy Note 7」の販売が中止された後。バッテリーに問題があった端末だけど、発注済みのパーツはあるはずだし、「問題を解決したバッテリーを搭載して、発売し直せばいいのに……」なんて話をしていたら、「実はFEモデルというのがグローバルにあって……」と教えてもらった。それ以降、FEモデルはグローバルでずっと展開しているし、日本市場ではタブレットのFEモデルがすでに発売されているので、ついにスマートフォンも持ってきたんだねという印象。お買い得感はあるし、今の市場の情勢を見ると結構いい端末だと思います。

石野氏:過剰な機能を省いて必要な機能を載せた端末。今のハイエンドなスマートフォンを否定するわけではありませんが、カメラやディスプレイの性能を少し落としつつ、そこそこ高い処理性能を搭載しています。搭載チップセットも、Snapdragon 8 Gen 1と、2年前のハイエンドチップです。

Galaxy S23 FE

法林氏:Galaxy S22と同じチップセットだよね。

石川氏:型落ちのパーツを上手に使って、その代わりに価格を抑える。日本の場合は、最初から8万8000円の価格設定で作るぞ! という感じですね。

石川氏

房野氏:ところで、最新のSnapdragon 7シリーズよりも、型落ちのSnapdragon 8シリーズのほうが高性能なんですか?

石野氏:その判断って難しいですよね。

法林氏:用途によるかな。

石野氏: Snapdragonの7シリーズって、世代によって性能にばらつきがあるんですよ。8シリーズはいつもトップに君臨していますが、7シリーズは6シリーズの性能に寄せている時もある。以前シャープは、「AQUOS sense8」に搭載するチップセットで迷ったと言っていました。結局、Snapdragon 6 Gen 1を搭載しましたが、7シリーズのほうがマーケティング的にはいいけれど、さほど性能が変わらないのにコストが上がりすぎるとのことです。

石川氏:マーケティングでの数字の使い方と、実力値の兼ね合い、そして発表するタイミングと……って感じでバランスを取らなきゃいけない。結構、難しいんですよね、判断が。

法林氏:チップセットの性能が飽和状態になってきているから、Gen 1とGen 2の違いとか、7シリーズと8シリーズの違いが微妙な差になってきている。Gen 1だとできないけれど、Gen 2だとできるという状況はそこまで多くないから、チップセットの違いはそこまで気にしなくてもいいかも。

房野氏:今後のチップセットはAI性能に差が出るという話もありますよね。

法林氏:それでいうと、Galaxy S24シリーズに搭載されるSnapdragon 8 Gen 3は、NPUが強化されているので、AI性能でジャンプアップがあるかもしれない。

石野氏:ISPの違いが大きいですよね。

石川氏:まあ、石野さんみたいにマニアックなことを気にしない人のためのモデルが、FEです(笑)

法林氏:Galaxy S23 FEは、〝細かい部分はあまり気にしないけれど、とはいえ性能差を多少は意識する人〟でも満足いくように作られていると思います。一方のXperiaのFEは、手抜きと言われてもしかたないと思う。もともとあったXperia 10 Vから何も変わっていない。色くらいでしょ?

石野氏:あまりにも仕様が同じですよね。

法林氏:中身は一緒。Google Oneが1年間無料で使える特典が付くけれど、Spotifyは抽選で500名限定。月980円のサービスが500名限定って……微妙すぎる。

石野氏:〝楽しい〟という意味のファンエディションなら、ソニーピクチャーズの映画の1本くらい、あらかじめダウンロードしておいてくれればいいのに。

房野氏:Xperia 10 V Fun Editionの狙いはどこですか。

法林氏:学生がメインターゲットでしょうね。Xperia 1、Xperia 5シリーズが〝スマートフォン好きを極めた人〟たちに寄せすぎてしまったので、多くの一般的なユーザーがついていけなくなってしまっています。もちろん、Xperiaのファンはいるから安いXperia 10シリーズは売れるけれど、もっと若い世代にXperiaユーザーを増やしておかないと、将来的にXperia好きを極めるユーザーにはなってもらえない。

ドコモ的に言えば、Xperia 10 Vはそこそこ売れているけれど、単純に増産する訳にはいかない。だからGoogle Oneを1年分無料にして、ある程度の台数を狙おうという思惑でしょう。

房野氏:Xperia 10 V Fun Editionの販売価格は、いくらくらいですか?

法林氏:ドコモなら7万9860円。端末購入サポートプログラムを利用すると、その半額が目安です。

石川氏:メーカーが新しいスマートフォンを製作するにあたって、通常は2年くらい前から部材を調達しなければならない。Xperiaは相当部材が余ったのかなと邪推してしまいます。

石野氏:あと、昨年はスマートフォン市場全体で端末の出荷台数がかなり減っています。なので、各メーカーに部材がだぶついている可能性は高いと思います。特に日本メーカーは、日本市場でだぶついてしまうと大変なので、手を変え品を変えで消化していかないと苦しい。

石川氏:ソニーから3月に発売される、カメラに装着するポータブルデータトランスミッターも、Xperia 1 Vの余った部材で作っているんじゃないかな。パネルとチップが同じなんですよね。

石野氏:コンセプトはいいですが、どうしても在庫を何とかしようとしている風に見えてしまう。ポジティブに言えば有効活用、ネガティブに言えば余っていたのでしょう? と。

法林氏:まあ、今回のXperia 10 V Fun Editionを〝FE〟としてひとくくりにすると、サムスンが怒りそうな気もしますが。

石野氏:名前もそうですけど、特典がもう少しなんとかならなかったんですかね。

法林氏:Spotifyが500名抽選とかありえないよね。

石野氏:ドコモ側からも何かサービスしても良かったと思います。dマガジンとかどうですか?

石川氏:でも、ドコモはどんどんサービスやめちゃうから……。

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