カリフォルニアで開催される世界最大の野外音楽イベント『Coachella』の2024年ラインナップが公開された。日本からはYOASOBI、初音ミク、Atarashii Gakko!(※新しい学校のリーダーズの海外名義)が選出。
『Coachella』史上、日本人アーティストの参加数としては最多だ。この数は、K-POPアーティストの選出数に等しく、J-POPが世界的に受け入れられていることを示している。
世界が認識する、日本初「ネオガラパゴスな音楽」とは
なぜ今、日本のJ-POPが海外で人気を博しているのか。
その理由を説明する理由のひとつとして、昨今頻出するワードが「ネオガラパゴス」だ。「ネオガラパゴス」とは、日本の技術や文化が独自の進化を遂げた様子を指すポジティブな言葉。かつての「テクノロジーのガラパゴス化」と揶揄するネガティブな意味とは対極に位置している。
そして、この言葉が象徴するように、アニメ・マンガ・食事など独自の進化を遂げたエンタメ文脈だが、大本命である音楽も、その影響力を誇示する時がきた。
■携帯電話の歴史にある「ガラパゴス」のトラウマ
2000年代初頭、日本の携帯電話は国際基準と異なる独自の技術やサービスを多数搭載しており、「ガラパゴス携帯」と呼ばれていた。Google創業者で技術オタクのラリー・ペイジが日本を訪れた際、大量にガラパゴス携帯を買っていった逸話から見ても、まさに高い技術の下で独自の進化を遂げた不思議な携帯だったのだろう。
ところが、だ。周知の通り、その後スマートフォンの登場により「ガラパゴス携帯」は駆逐され、絶滅した。スマートフォンなどの技術的な製品・商品はいかに便利かどうかが重要な差別化要素だ。ゆえに、独自の進化や文化は求められず、画一的なプロダクトに収束する傾向にある。一番良いプロダクトさえあればいいのだ。
海外では、スマートフォンという言葉は一般的ではない。この言葉が日本にのみ定着している事実こそ、「ガラパゴス」が日本のトラウマとしてよく映し出されているように感じる。
■なぜエンタメにおいて「ガラパゴス」は歓迎されるのか
だが、エンタメは違う。サッカーとアニメの2つが好きなことに違和感はない。好きなエンタメがいくつあってもいいのだ。さらにエンタメとしてどれだけオリジナリティがあるかが作品のクオリティを決め、それがユーザーのアイデンティティにもなる。
その条件下で、嫌でもオリジナリティになる「ガラパゴス」は相性が良い。エンターテイメントにおいて、「ガラパゴス化」は歓迎条件なのである。
そして日本独自の文化として育ったガラパゴスエンターテイメントは、「ネオガラパゴス」と名付けられ、海外で人気を博している。