日本のエンタメで世界が熱狂する理由
ではなぜここ10年、日本のエンタメが海外で人気なのか。それは2つの理由がある。
一つには、日本という国が持つ魅力が大きく寄与している。西欧諸国から見ると、日本は「神秘のベールに包まれた国」とされている。アインシュタイン、チャップリン、スティーブ・ジョブズなど、欧米で尊敬される偉人たちが日本文化を称賛していることも、このイメージを強化している。
先日は、FaceBook共同創業者のマーク・ザッカーバーグが来日して日本刀の制作体験に勤しんだことが話題にもなった。つまり、外から見た日本の文化は、それ自体がもともと興味の対象として見られ続けてきたのである。
日本人が西欧文化を真似た文化やエンタメに、彼らは興味がない。しかし、日本独自の文化には敬意を払う。神秘の国である日本が作る独自のエンタメが、「ネオガラパゴス」として評価されるにはこういった背景がある。
もうひとつには、インターネットの進化が、日本の売出しの不得意をカバーしている。
誰でもどこからでもインターネットを介して情報にアクセスできるようになったのは大きな意味を持つ。気になる音楽があればSpotifyで聞けるし、アニメが見たければNetflixやCrunchyRoll (北米最大のアニメストリーミングサービス) にアクセスすれば良い。日本語がわからなくてもDeepLで翻訳すればいい。エンタメコンテンツを消費する土壌は整っているのだ。
日本は昔から、商品が良ければ勝手に売れていくという「プロダクトファースト」な思想が強い。対して海外 (特に北米)はマーケティング・ブランディングを基軸として「どうやって届けるか」に重きを置く傾向にある。
この「届ける」弱点が、先述したインターネットの功により補完され、日本の独自性の高いエンターテイメントがユーザーに届くようになった。