RIZAPグループの初心者向けのコンビニジムchocoZAPが転換期を迎えています。2023年10-12月に11億7700万円の営業利益を出したのです。chocoZAPブランドを開始してから、四半期単体で利益を出したのは2024年3月期3Qが初めて。資金調達も順調で将来に期待できるように見えますが、課題もあります。
フィットネスブームに終焉の兆し?
店舗数以外の差別化要因がない?
RIZAPグループの2023年4-12月の売上高は前年同期間比6.7%増の1229億8800万円、47億6900万円の営業損失(前年同期間は25億9500万円の営業損失)を計上しました。2024年3月期通期の売上高は前期比11.0%増の1720億円、18億円の営業損失を見込んでいます。
当初は通期で45億の営業損失を予想していましたが、27億円分の赤字が圧縮される見通しとなりました。ライザップは、chocoZAP事業の収益が好調に推移していることを要因に挙げています。
chocoZAPは2022年7月に事業を本格的にスタート。スマートフォンで簡単に入会手続きができ、24時間365日いつでも使い放題という手軽さが最大のセールスポイントのフィットネスジムです。アクティブ会員だけで110万人を突破しています。
フィットネスジムは専属のパーソナルトレーナーがつく高額タイプと、chocoZAPのようなトレーニングマシンをいつでも使えるセルフ型の廉価タイプの2極化が進んでいます。ライザップはトレーニング初心者の囲い込みに動きました。
出店スピードは極めて速く、事業を本格スタートしてから1年半ほどで店舗数は1000を超えました。
※決算説明資料より筆者作成
chocoZAPは一定の広さを持つ店舗に、トレーニングマシンやゴルフの練習器具を設置するだけであり、競争力が強いビジネスモデルではありません。「結果にコミットする」タイプのフィットネスジムはトレーナーの育成や、結果を出すためのノウハウが必要。chocoZAPに専門人材の確保は必要なく、特別な店舗オペレーションもいりません。
ただし、差別化できる要因が一つだけあります。会員の利便性です。大量に出店しておけば、会員が旅行や出張、遠出した際にもジムを利用することができます。北海道から沖縄県まで全国津々浦々に出店したのは、店舗単位での採算性よりもユーザーの利便性と差別化を図ることの意味が大きいでしょう。
chocoZAPは月額税込3278円のサービス。入会する会員の数とともに、継続率が重要なのです。