企業がクラウドファンディングを利用することが当たり前になりつつある時代
ここ数年、企業が商品のクラウドファンディングを行うという事例が増えている。
たとえば2021年にはパナソニックが当時試作段階であった家庭用ペットロボットの購入権をクラウドファンディング経由で発売したことが話題となった。
購入権は320台分用意されていたが、わずか7時間で完売。目標金額も達成となっている。
大手企業がクラファンを活用するという事例が、2021年には既にあったということになるが、そもそもなぜパナソニックがこの手法を採ったのかについては、同年6月26日の日本経済新聞に明るい。
「大手企業、なぜクラウドファンディング 市場調査に活用」という記事の中に、企業がクラファンを活用するメリットに関して、「市場性を確認するテストマーケティングのため」と説明がなされていた。
従来のような商品化アンケートを例に考えていただけると分かりやすいかもしれない。
消費者が「こういう商品が欲しい」と声を寄せて、実際商品化してみると存外売れないということは、どんなジャンルの商売においても“あるある”と化している。
欲しいという声と、実際に購入に踏み切る意思とは、似ているようでかなり異なるもので、この2つの間にはなかなか見抜きにくい隙間があると考えても良いかもしれない。
だからこそ、企業がクラファンを活用するメリットが出てくる。
実際に欲しいから買うという人を数字で顕在化できるため、商品化に関しても間違いのない選択をしやすくなるというわけだ。
クラファンでペットフードの新たな販路開拓!しかもフードロス対策にも…
さらに最近では、企業がただ商品のテストマーケティングをするだけでなく、さらにプラスアルファの価値を付与したクラファンに挑戦する事例も増えている。
関東圏を中心に国内外でトリミングやペットホテルなどを手掛けるソプラ銀座株式会社のオリジナルペットフードブランド「ウィズミール」は、2024年の1月26日から2月20日にかけて行った「ペットサロンと漁師さんの共同開発!いわしとさばのお魚丸ごとペットフード」というクラウドファンディングを実施。
無事に目標金額である300,000円の支援が達成され、現在は終了となっている。
この「お魚丸ごとペットフード」は商品化するにはサイズが合わないことから、漁獲したものの市場に出す機会のなかった三陸気仙沼産のサバ、イワシを丸ごと活用して作られたもので、フードロス対策としても非常に意義深い商品になっている。
あわせて魚は犬や猫にとっても嗜好性が高い食材であるので、飼い主目線でも嬉しい商品になっている。
今回は、このクラファンを立ち上げた経緯について、ソプラ銀座株式会社代表者代表取締役社長の須田哲崇さんに話を聞いた。