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『ベンダー』は、よく耳にするビジネス用語の一つですが、意味を理解していない人もいるのではないでしょうか?
ベンダーの意味を、間違えやすい言葉とともに紹介します。ベンダーが付く用語も把握し、理解を深めましょう。
ベンダーの意味と対義語は?
『ベンダー』とは、どのような意味なのでしょうか?まずは、正しい意味を紹介します。対義語もよく耳にする用語であるため、併せて見ていきましょう。
■ベンダーとは「販売会社」を指す
ベンダーは、英語の『vendor』の片仮名語で、販売会社や供給業者(サプライヤー)、売り手という意味があります。つまり、商品やサービスなどを提供する側がベンダーです。例えば、日用品などを仕入れて販売している店舗は、消費者にとってのベンダーです。
少しずつ意味は異なりますが、さまざまな業界で使われている用語で、特にIT業界では頻繁に使われています。
ソフトウェアやシステムなどIT関連製品を販売する『ITベンダー』や、システム開発を含む販売会社を指す『開発ベンダー』という用語もあります。
■対義語は「ユーザー」や「エンドユーザー」
ベンダーの対義語は、片仮名語である『ユーザー(user)』や『エンドユーザー(end user)』です。消費者や買い手という意味で、ベンダーが販売する商品やサービスを購入して利用する人を指します。
ユーザーが商品やサービスの購入者・消費者全般を指すのに対し、エンドユーザーは最終的に利用する人を指します。例えば、小売業者を介して商品を販売する場合は、小売業者がユーザーで、小売業者から商品を購入し利用する人がエンドユーザーです。
ベンダーが付くビジネス用語を解説
ベンダーが付くビジネス用語も確認し、知識を深めましょう。耳にすることが多い、三つの用語の意味を解説します。知っておくと、ビジネスシーンなどで役立つでしょう。
■ネットワーク機器に付与される「ベンダーコード」
ベンダーコードとは、ネットワーク機器の製造元を識別する番号のことです。『OUI(Organizationally Unique Identifier)』とも呼ばれており、米国電気電子学会である『IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)』によって管理されています。
パソコンなどのネットワーク機器には、それぞれ固有の『MAC(Media Access Control)アドレス』が付与されており、その中にベンダーコードが含まれています。ベンダーコードは、MACアドレスの前半部分です。
■ユーザーを失わないための「ベンダーロックイン」
ベンダーロックインは、特定のベンダーが自社のユーザーを他社製品などに移行しづらいように囲い込むことを意味します。例えば、競合他社と互換性のない独自のシステムや製品を開発し、他社製品へ切り替えづらくすることです。
ベンダーロックインされると、後継システムも同じベンダーの製品しか使用できないなど、製品やサービスの選択肢が狭まります。他社製品に切り替える場合は、莫大な費用がかかることも珍しくありません。
■取引メーカー数を表す「シングル・マルチベンダー」
シングルベンダーは、特定の企業1社の製品のみを扱う企業を指し、系列企業などに多く見られます。主なメリットは、製品同士の互換性があるため、不具合などのトラブルが起こりにくい点です。
マルチベンダーは、複数の企業の製品を扱う企業を指します。多種多様な製品を提供でき、ユーザーの要望に添う製品やサービスを提供しやすく、ユーザーの獲得にもつながります。ユーザーにとっても、選択肢が広がるのがメリットです。
ただし、製品同士の互換性がなく、不具合などが発生しやすいというデメリットもあります。
ベンダーと間違えやすい言葉
ベンダーと混同しがちなのが、『メーカー』と『サプライヤー』です。それぞれの正しい言葉の意味や違いを理解し、使い分けられるようになりましょう。
■メーカーとの違いは販売まで行なうかどうか
メーカーとは、製品の製造や開発をする企業を指し、製造業者や製造元と呼ばれることもあります。ベンダーとの大きな違いは、販売まで行なうかどうかです。
車・コンピューター・アプリなどを製造・開発し、販売を担うベンダーやサプライヤーに渡すまでが、メーカーの役割です。販売は、ベンダーが行ないます。
ただし、営業・販売部門があるメーカーでは、ベンダーを介さずに自社製品を直接販売することもあります。
■サプライヤーが指すものは業界によって異なる
サプライヤーは、製品を供給する企業や個人を指し、供給元や供給者と呼ばれることもあります。業界によって意味が変わり、製造業では部品や材料を供給する業者を指します。小売業では、メーカーがサプライヤーです。
製造業者と店舗の間に卸売業者が介入している場合は、卸売業者にとってのサプライヤーが製造業者で、店舗にとってのサプライヤーが卸売業者になります。このケースでは、卸売業者が店舗への販売を担っているため、ベンダーとも呼ばれます。
IT業界では、ベンダーとサプライヤーが同じ意味合いで使われていることが珍しくありません。
ベンダーの正しい意味を知ろう
ベンダーは、さまざまな業界で使われているビジネス用語で、販売会社を指します。メーカーやサプライヤーと間違えやすいですが、意味が異なるため注意しましょう。
ベンダーロックインやシングルベンダー、マルチベンダーは、ビジネスシーンで耳にする可能性がある用語です。意味をきちんと把握しておくと、戸惑わずに済むでしょう。
構成/編集部