簡単に質問するだけで膨大な知識から回答してくれる生成AIだが、信憑性が求められる仕事上の情報収集には活用できるのだろうか。AI活用コーチの谷口恵子さんは「3つのコツを押さえれば、精度の高い情報収集ができる」と言う。具体的なプロンプトやGPTsの便利ツールを教えてもらった。
AI活用コーチ
谷口恵子さん
AI活用コーチ・英語学習コーチとして各種メディアで情報発信を行なう。ChatGPT・AI活用コミュニティ代表、プチ・レトル株式会社代表取締役なども兼任する。
昨年にリリースされたGPTsを活用すべし
ChatGPTなどの生成AIは、いくつものソースから情報をまとめたうえで回答する。それにより、従来の〝手間がかかるWeb検索(たくさんの検索結果をひとつずつ見て、使える情報、使えない情報を判断する作業)〟から我々を解放してくれた。また日常で話すような自然言語で質問しても、意図するような回答が導き出されるのも大きなメリットだ。
「生成AIでの情報収集には、昨年(2023年11月)リリースされたGPTs(GPT Builder)の使用がおすすめです。これは、ユーザー自身が目的に合わせてChatGPTをカスタマイズする機能ですが、便利なものがいくつも公開され、自由に使うことができます。例えば、『Consensus』というGPTsは2億件以上の学術論文をもとに回答が生成され、その出典も明記されているため、情報の確認が容易です」(谷口恵子さん)
GPTsは現在ChatGPT Plus(有料)ユーザーのみに公開されている。情報の鮮度も含め、情報収集への活用なら有料版への移行も検討したい。
新製品のマーケティング施策を探るための調査をしたい
2億件以上の論文からAI検索
有料(ChatGPT Plus)/個人加入
導入方法:(1)ChatGPT Plusへ加入 (2)Explore GPTsから「Consensu」と検索
2億件以上の学術論文データベースを検索し、回答を生成するGPTs。専門的な知識がなくても、学術的な知識が理解しやすい形で提供されることと、論文へのリンクが回答に示されていることが特徴だ。
STEP1|目的と背景、立場を説明したうえで検索する
[Good]ソースを明記したうえで検索結果を表示
通常のChatGPTを使用する時と同様に、目的や背景、自分の立場をプロンプトに入力することで、より最適化された回答が得られる。それぞれの文章の最後には出典リンクが公開年とともに示されており、もとの論文が確認できる。
STEP2|壁打ち・要約・分析を繰り返す
[Good]
ChatGPTとの会話を繰り返すことで、欲しい情報の方向性が明確になり、企画がよりブラッシュアップされる。まるでチームメンバーとブレストしているような感覚だ。
[Good]
ChatGPTには、具体的な事例を挙げさせることもできる。「Consensus」を利用すれば、その出典に当たれるため、企画書などビジネス文書の信憑性が高められる。
【Point】高精度の回答を導くための3要素
具体性
AIは人間のように想像して察することはないため、具体的に知りたいことを指示することが必要。最適なフレーズでないとしても、とりあえず入れてみて、回答によって修正していけばよいだろう。
立場・目的
ビジネスでの利用であれば、「○○業界の中堅メーカーとして」「新入社員を教育する目的として」など、自分や自社の立ち位置や目的を指示することで、より明確な回答が得られる。
背景
複雑な問題や専門的なトピックについて尋ねる際には、時代や場所、状況といった背景の情報が重要。これにより誤解が防げ、より精度が高く専門的な知識を反映した回答を得ることができる。