医師とのうまい対話術
医師などの医療関係者とは、どのように話せば良いか。何かコツのようなものが知りたい。そこで本調査を監修した京都大学大学院医学研究科健康情報学 中山健夫教授にインタビューを行った。
●初診で医師に病状や健康状態を話すときのポイント
「初診のとき、医師はカルテで年齢や住所、看護師さんの簡単な聞き取り(予診)があれば、それらを見た上で『こんにちは、〇〇です』と簡単な挨拶をして、『どうされましたか?』と尋ねてくるでしょう。初診ではこれから適切な診断を行うために必要な情報を患者さんから聴き取ります。これを問診と言います。
問診で医師にとって大切なことは『受診した理由(主訴)は何か?』『症状の具合、性状はどうか? どこが、どのように、いつから、どんなときに強まるか、弱まるか?』の確認です。また『以前または今、どんな病気をしたか(既往歴)?』も診断のために大切です。患者さんは、医師が適切に診断できるように、これらの内容をお伝えください。時間の経過をメモにしておくと役立つことがあります」
●医師との対話における心構え
「患者さんに良い治療を提供するために、医師はまず適切な診断を行おうとしています。限られた時間で大きな病気を見逃さないために、専門知識からいろいろな場合を考え、患者さんから必要な情報を集めて、病気の可能性を絞り込んでいく、ということをしています。
つらい症状を抱えて受診される患者さんに、いろいろな期待をすることはむずかしい場合もありますが、先に述べたように医師の診断を助けるような情報を伝えると良いでしょう。
診断がついて治療することになれば、治療の注意点を医師に確認しておくと良いですね。薬を服用してから、何か不具合を感じたり、しばらく続けても医師から伝えられた期待する改善がないと感じたら、自分の判断だけで調節せずに、遠慮なく医師、もしくは看護師や薬剤師にお伝えください。以前は『医師にお任せ』が普通でしたが、今は医師や他の専門家と協力して、より良い治療結果を目指せる時代になりましたので、お互いの情報のやり取りというコミュニケーションが今まで以上に大切と言えるでしょう」
医師との対話などに苦手意識を感じていた人は、ぜひヒントにして実践に活かしたい。医師が何を知りたいのか、医師の診断を助けるような情報を伝えることがポイントといえる。
【取材協力】
中山健夫氏
京都大学大学院医学研究科健康情報学 教授
東京医科歯科大学医学部卒業後、東京厚生年金病院(現在東京新宿メディカルセンター)や国立がんセンター研究所がん情報研究部 室長などを経て現在は京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻健康管理学講座健康情報学 教授を務める。健康情報学を専門とし、医学・看護学のほか、情報学、心理学なども研究フィールドとし、健康情報の伝達・コミュニケーションの研究に従事している。
【調査出典】
ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 メディカル カンパニー「人生100年時代 × デジタル社会の総合的なヘルスリテラシー国際調査」
文/石原亜香利