扶養控除額縮小?
2024年度分に適用される令和6年度税制改正では、扶養控除に係る変更はされないことが決まった。
2026年度分に適用される令和8年度税制改正で、扶養控除に係る変更が話し合われる予定だ。
財源確保のため、扶養控除を縮小するかどうか話し合われ、2025年末には内容が確定するだろう。
扶養控除のような所得控除は、所得が低い人よりも所得が高く税率が高い人の方が恩恵は大きい。
一方、児童手当は、所得に関係なく一律の金額で受取る事ができるため、所得の過多に関係なく子どもの年齢で平等に給付を受けられる。さらに、これまで高所得だと子どもがいても児童手当が減額または支給なしとなっていたが、2024年12月以降には所得制限がなくなり、所得に関係なく児童手当が受けられるようになった。
2026年以降、扶養控除額を16以上18歳未満で現行の所得税38万円から25万円(2027年から住民税33万円から12万円)へ縮小する案が出ているが、その場合扶養控除額が所得税で13万円(住民税は21万円)減額することになる。
そして、16歳以上18歳未満の子に対する扶養控除額減少分13万円×税率分(住民税21万円×10%)増税となり、所得税率の5~45%でかけると、13万円×5%=0.65万円~13万円×45%=5.85万円、住民税21万円×10%=2.1万円と、2.75万円~7.95万円の増税となる。
一方、児童手当の所得制限撤廃、受給額増額により、16歳~19歳未満では年間12万円、第3子であるなら、36万円受け取れるようになることから、どの所得の人も扶養控除額縮小したとしても児童手当の受給額が多くなり、特に第3子がいる人は大きく恩恵を受けることができる。
児童手当の増額は子どもがいない人にとっては不平等に感じるかもしれないが、年金や健康保険制度、介護保険制度は働いている現役世代が保険料を納めないと成り立たない制度であることから、少子化により急激に働き手がいなくなれば将来制度が維持できなくなる。児童手当が増えたからといって単純に子どもが増えるとはいえないが、結果的には、少子化対策はどんな状況の人にとっても利益がある政策となるはずだろう。
(参考)
扶養控除の見直しについて(22年度改正) : 財務省 (mof.go.jp)
日経新聞2024年2月16日 「少子化対策法案とは 誰でも保育所、高校生にも児童手当」
文/大堀貴子