高齢化が進む日本において、病院をはじめとした医療機関の需要が途絶えることはまずないだろう。しかしながら現在、医療機関の倒産が相次いでいるという。その理由はいったい何なのだろうか?
帝国データバンクはこのほど、「医療機関」の倒産発生状況について調査・分析を行い、その結果を発表した。
病院、歯科医院で大型倒産が発生、負債総額は過去10年で最大に
2023年の医療機関(病院・診療所・歯科医院)の倒産は41件となり、2年連続で40件を超えた。2000年以降でみると、2009年(52件)、2007年(48件)、2019年(45件)に次ぐ高水準。コロナ前の2018年(40件)、2019年(45件)は高水準で推移していたが、コロナ支援策の効果で2020年(27件)は大幅に減少。しかし、翌2021年(33件)から再び増加に転じた。
負債総額は253億7200万円となり、過去10年で最大となった。病院として過去3番目の負債規模となった医療法人社団心和会(千葉、4月民事再生法、負債132億円)や、歯科医院として過去最大の負債となった医療法人社団友伸會(東京、9月民事再生法、負債37億円)が全体を大きく押し上げた。
業態別にみると、「病院」が3件(負債147億1900万円)、「診療所」が23件(同55億9700万円)、「歯科医院」が15件(同50億5600万円)となり、「診療所」は2009年(27件)、「歯科医院」は2018年(23件)、2022年(16件)に次いで多かった。
負債規模別では34件(構成比82.9%)が「5億円未満」、態様別では心和会と友伸會の民事再生法の2件を除く39件(同95.1%)が「破産」となった。
2024年の医療機関の倒産は、引き続き高水準で推移することが予想される。特に診療所は経営者の高齢化や健康問題を理由に事業継続を断念する施設が増加する中で、過剰債務などを理由として廃業ではなく、法的整理を選択するケースが増える可能性がある。
<調査概要>
集計期間:2024年1月31日まで
集計対象:負債1000万円以上法的整理による倒産、および休廃業・解散となった企業
調査機関:株式会社帝国データバンク
出典元:帝国データバンク
構成/こじへい