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どこまで進んでいる?企業における「リスキリング」「学び直し」推進の実態

2024.03.09

企業における経営・人事課題の解決および、事業・戦略の推進を支援するリクルートマネジメントソリューションズでは、一般社員・管理職552名に対し、「企業における『リスキリング』『学び直し』の推進に関する実態調査【個人調査編】」を実施。

「過去1年の新しい知識・スキルの習得機会やその理由」「所属企業における支援制度や仕組み」など、調査結果から見える実態について、調査データと併せて発表した。

本稿では、その概要をお伝えする。

仕事に関する新しい知識・スキルの習得が必要と回答したのは約6~7割

・新しい知識・スキル習得の必要性について、必要である(「大いに必要である」「やや必要である」)との回答は、「A.現在携わっている仕事に直結する知識やスキル」(69.0%)から「D.別の仕事や働き方へのキャリアチェンジにつながる知識やスキル」(58.9%)まで緩やかに減少するが、いずれも6~7割程度が必要と認識。「全く必要ない」はいずれの知識・スキルにおいても1割前後。

・過去1年の習得機会については、「A.現在携わっている仕事に直結する知識やスキル」の選択率が最も高く、「大いにあった」~「あまりなかった」との回答は83.7%、「全くなかった」とした回答は16.3%のみであった。

・A、B、C、Dの順に習得機会があったとする選択率は低下するが、もっとも選択率が低い「D.別の仕事や働き方へのキャリアチェンジにつながる知識やスキル」においても、「大いにあった」~「あまりなかった」との回答は68.8%で、約7割は何らかの新しい知識・スキルの習得機会を持っていた。

・A、B、C、Dの4つとも習得機会が「全くなかった」を選択したのは13.9%であった。すなわち、9割近くにのぼる86.1%はA、B、C、Dのいずれか1つ以上の新しい知識・スキルの習得機会があったことになる。

・4つとも、必要性が習得機会を上回っているが、そのギャップはA、B、C、Dの順に大きい。

図表1 仕事に関する新しい知識・スキル習得の必要性と1年間の習得機会
[習得の必要性]仕事に関して、今後、新しい知識やスキルを学ぶ必要を感じていますか。
[過去1年の習得機会]過去1年で、仕事に関する新しい知識やスキルについて学ぶ機会がどのくらいありましたか。<単一回答>

学んだ理由は必要性が7~8割と最多、興味や楽しさから学んだ人も6~7割

・過去1年の仕事に関する新しい知識・スキルの習得(図表1)において、いずれかに「大いにあった」「少しあった」と回答した人に学んだ理由を聞いたところ、「とてもあてはまる」「少しあてはまる」の選択率が高かったのは、「1.業務上で必要だったから」(78.0%)、「2.将来、いろいろなことに役立つから」(74.3%)、「3.将来の仕事に役立つから」(72.5%)、「4.自分のキャリア形成につながるから」(70.5%)といった必要性を感じたことによるもの。

・「7.その内容が知りたいから」(72.0%)、「8.新しいことを学ぶのが楽しいから」(64.2%)といった興味や楽しさから学んだ人も6~7割程度。

・「11.学んでおかないと不安だから」(63.6%)などの不安、「14.学ぶことに使える時間ができたから」「15.偶然、学ぶ機会が得られたから」(いずれも55.5%)などの環境変化や機会提供が学ぶきっかけとなった人も半数を超える。

・一方、「17.学ばないとまわりの人がうるさいから」(39.9%)などの周囲からのプレッシャーが学びにつながったとする回答は4割に満たない。

図表2 仕事に関する知識・スキル習得の理由
過去1年で、仕事に関する新しい知識やスキルについて学ぶ機会があったという方にお聞きします。あなたが学んだ理由として、次のことはどの程度あてはまりますか。
<単一回答/n=346>
※過去1年の仕事に関する知識・スキル習得機会のいずれかの設問において、「大いにあった」「少しあった」と回答した人

■過去1年に仕事における新しい知識・スキルの習得機会があった人は、会社からの教育訓練プログラムの提供や費用面での支援などの導入割合、役立ち割合が高い

・過去1年の仕事に関する新しい知識・スキルの習得(図表1)において、いずれかに「大いにあった」「少しあった」と回答した「学びあり群」と、「大いにあった」「少しあった」が1つもなかった「学びなし群」に分け、自社の知識・スキル習得支援の制度や仕組みとして導入されているもの、役立っているものの選択率を確認した。

・選択肢として挙げたすべての制度や仕組みにおいて、導入割合、自身の成長や学びの役に立っている割合は、「学びあり群」が「学びなし群」を統計的に有意に上回った。

・2群間の得点差が大きかったのは、導入割合、役に立っている割合ともに「1.教育訓練プログラムの提供」(導入割合:学びあり群49.4%、学びなし群23.8%、得点差25.6pt/役に立っている割合:学びあり群23.7%、学びなし群7.8%、得点差15.9pt)、「4.費用面での支援」(導入割合:同38.7%、17.5%、21.3pt/役に立っている割合:同18.2%、4.4%、13.8pt)。

図表3 知識・スキル習得支援の制度や仕組み(過去1年の学び程度別)
現在お務めの会社での知識・スキル習得支援の制度や仕組みについて伺います。
1.現在の会社で導入されているもの
2.そのうち、ご自身の成長や学びの役に立っているもの
について、あてはまるものをすべてお答えください。
<複数回答>

■過去1年に仕事における新しい知識・スキルの習得機会があった人は、上司へのキャリア相談、働く場所の柔軟な選択、希望する研修・講習の受講など個人選択型HRMの導入割合が高い

・社内キャリアや働き方における個人の選択を重視する「個人選択型HRM」の導入割合を、図表3と同様の「学びあり群」と「学びなし群」に分けて確認した。

・選択肢として挙げたうち、9つの施策において、導入割合、自身の成長や学びの役に立っている割合は、「学びあり群」が「学びなし群」を統計的に有意に上回った。

・2群間の得点差が大きかったのは、「12.面談などで上司にキャリアについて相談できる制度」(学びあり群26.9%、学びなし群12.1%、得点差14.7pt)、「2.テレワークなど、働く場所を柔軟に選べる制度」(同40.8%、27.7%、13.1pt)、「13.希望する研修や講習を受講できる制度」(同25.7%、13.6%、12.1pt)、「7.社内公募など、他部署へ手挙げで異動を希望する制度」(同28.6%、18.0%、10.7pt)

図表4 個人選択型HRMの導入状況(過去1年の学び程度別)
次のような人事施策のうち、あなたの所属企業で現在導入されているものとして、あてはまるものすべてをお選びください。
<複数回答>

■約7割が新しい知識・スキル習得に関する会社から従業員への期待を感じているが、具体的なメッセージの発信があるという認識は約4 割にとどまる

・従業員に新しい知識・スキルを身に着けることの会社からの期待を感じている(「強く期待するメッセージを、経営者やマネジメント層から出している」~「具体的なメッセージはないが、経営者やマネジメント層からの期待がある」)のは、73.1%。

・具体的なメッセージの発信(「強く期待するメッセージを、経営者やマネジメント層から出している」「ある程度期待するメッセージを、経営者やマネジメント層から出している」)は41.8%。

・【企業調査編】とほぼ同様の傾向。

図表5 会社からの新しい知識・スキル習得を期待するメッセージの発信
あなたの所属企業において、従業員に新しい知識・スキルを身に着けることを期待するメッセージはどの程度発信されていますか。
<単一回答>

【企業調査編】出所:リクルートマネジメントソリューションズ(2024)企業における「リスキリング」「学び直し」の推進に関する実態調査
貴社において、従業員に会社主導の「リスキリング」および個人主導の「学び直し」それぞれを期待するメッセージはどの程度発信されていますか。
<単一回答/n=182/%>

■会社から発信されているメッセージの内容は、会社の変化への備え、事業・市場創造、DX、既存事業のため不可避、個人のキャリアの可能性の拡大など

・会社から発信されているメッセージの内容としては、「2.会社が今後起こりうる変化に備えるために必要なこと」(51.0%)、「3.自社が新しい事業や市場を創造するために必要なこと」(42.8%)の選択率が高く、「4.自社のデジタル・トランスフォーメーションのために必要なこと」(37.6%)、「1.既存事業を維持するために避けられないこと」(30.9%)、「8.個人のキャリアの可能性を広げる手段となるもの」(27.8%)がそれに続く。

・【企業調査編】では、企業主導の「リスキリング」と個人主導の「学び直し」ごとに一部傾向の違いはあるものの(「9.個人の主体性に任せた自己啓発的なもの」など)、設問間の高低については、おおむね個人調査と企業調査は同様の傾向。

図表6 メッセージの内容
従業員が新しい知識・スキルを身に着けることについて、会社から、どのようなメッセージが発信されていますか。あてはまるものをすべてお選びください。
<複数回答>
※前問で「強く期待するメッセージを、経営者やマネジメント層から出している」「ある程度期待するメッセージを、経営者やマネジメント層から出している」を選択した人が回答

調査概要
調査対象/従業員規模300名以上の企業で働いている正社員のうち、入社して1年以上が経過している、20~59歳の一般社員・管理職
調査方法/インターネット調査(※調査実施は株式会社クロス・マーケティングに委託)
調査期間/2023年9月8~10日
有効回答数/552名

◎「企業における『リスキリング』『学び直し』の推進に関する実態調査」(2024年1月15日公表)はこちらから。
https://www.recruit-ms.co.jp/press/pressrelease/detail/0000000424/

関連情報
https://www.recruit-ms.co.jp/press/pressrelease/detail/0000000428/

構成/清水眞希

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