目次
カタカナ英語のなかでも、正しい言葉の意味や使い方を把握していないケースは珍しくない。「コンテクスト」も、そんな言葉の一つだ。使われている場面から、状況や雰囲気を表すことは推察できるものの、使う場面や対象物まではわからない人が少なくないのではないだろうか。
そこで本記事では、「コンテクスト」の正しい意味や使用シーン、業界ごとの「コンテクスト」の意味を解説する。最後に紹介する「コンテクスト」に関連する用語も、ぜひこの機会に覚えておこう。
「コンテクスト」とは
まず、「コンテクスト」の意味をわかりやすく説明しよう。実際に使えるよう、コンテクストの使用シーンもぜひ参考にしてほしい。
意味
コンテクストは、日本では「文脈」を意味する。
例えば、商談相手と話すなかで相手の言葉の背景や裏の意図を考えることを、「コンテクストを読む」と表す。また、英語「Context」は、文脈だけでなく状況や背景、場面を意味する言葉であるため、日本で使われる「コンテクスト」と同じような意味を持つ。なお、IT用語として使う場合は、コンテクストではなく「コンテキスト」と発音されることが多い。
使用シーン
コンテクストは、コミュニケーションをとる相手の意図や背景の把握が必要な場面で使われる表現だ。どういった行動をとればいいのかを判断するために相手の意図や考え方を読み取る際には「コンテクストを読む」、自身の視点を加えた文脈をつくる際には「コンテクストを生成する」などと表す。
【例文】
「コンテクストを読んで、彼はサービスの提案をした」
「コンテクストを生成するには、多くの意見が必要だ」
「商談成功には、相手のコンテクストを読み取らなければならない」
業界ごとの「コンテクスト」の意味
次に、業界ごとのコンテクストの意味を紹介する。特に、取引先の業界で使われているものはぜひ確認しておこう。
1. IT分野のコンテクスト
IT分野のコンテクストは、タブレットやPCなどのデバイスに組み込まれているプログラムの実行に必要な設定・情報を指す。データ同士を関連づけて流れを作ることを指す「コンテキスト化」などの言葉もある。
2. 建築分野のコンテクスト
建築分野の「コンテクスト」は、建物のまとまり、または建物の観察時にわかる状況や関連しているデータを意味する。
具体的には、建物の設計や都市計画を策定するケースにおいて、「町のコンテクストを読んで設計する必要がある」などと使われる。
「コンテクスト」に関連する用語
最後に、コンテクストに関連する用語を紹介する。社会人として使える言葉の知識を増やすのに、ぜひ役立ててほしい。
1. ハイコンテクスト
ハイコンテクストとは、当然とされる知識や文化があり、雰囲気や相手の表情など言葉以外の情報でコミュニケーションが行われることを意味する。
特に日本は「ハイコンテクスト文化」があり、「空気を読む」風潮がある。例えば、何かをお願いした際に「難しい」と相手から言われた場合は、難しいのではなく「頼まれたこと自体ができないこと」を指す。
2. ローコンテクスト
ローコンテクストとは、言葉以外の情報が少なく、言葉メインでコミュニケーションを行うことを意味する。
日本と異なり、欧米はローコンテクスト文化だ。そのため、文字や言葉として表現されていない場合はすべてなかったことになるケースもあるため、あらかじめ契約書を交わしておくなどの注意が必要だ。
3. コンテクストマーケティング
コンテクストマーケティングとは、ユーザーの背景や状況を考えて行うマーケティング手法のこと。顧客が商品やサービスを求める理由を考えて追究するのが重要とされている。
考えるポイントとしては、購入するタイミングや場所、購入客の心理状態、購入後の満足感などだ。具体的には、顧客の検索履歴やWebサイト内でのクリック箇所を踏まえて自動的に配信される、リターゲティング広告やリスティング広告が挙げられる。
4. コンテクストデザイン
コンテクストデザインとは、デザイナーが作ったデザインをユーザーの意見でさらにブラッシュアップさせること。ユーザーがデザインを磨くことを意図して、あえて未完成なデザインを発表する。
ユーザーの「ここはこのように改善すべきではないか」「この部分にこの機能を追加してほしい」といったアドバイスを商品に反映させることで、ユーザーが満足する商品・サービスに改良できる点がメリットだ。
5. 社会的コンテクスト
社会的コンテクストとは、国籍や性別を問わず、より良い人間社会を一緒に築いていこうとする構想を指す。具体的には、相手のことをわかろうとする姿勢、自分を理解してもらおうとする協調性などがある。なお、社会的コンテクストは流動的であるため、時流によって変化する点が特徴だ。
6. コンテクストメニュー
コンテクストメニューとは、項目が変化するメニューを表すIT用語だ。具体的にはマウスを右クリックすると表示されるメニューを指し、右クリックメニューとも呼ばれる。
作業内容や項目によって表示されるメニューの内容が変わることから、「状況」の意味を持つコンテクストを使いコンテクストメニューと名付けられている。
キーボードを使って表示させるには、アプリケーションキーまたはショートカット「Shift」+「F10」キーを押す必要がある。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部